電動パワートレインを搭載したボルボの新しいフラッグシップSUV「EX90」が生産開始

ボルボが電気自動車の新世代フラッグシップSUVモデル「EX90」の生産を米国チャールストン工場でスタート。米国では本年後半からユーザーへの納車を開始する予定

 ボルボ・カーズは2024年6月5日(現地時間)、2022年11月にワールドプレミアを果たした新世代のフラッグシップSUVモデルとなる「EX90」の生産を、米国サウスカロライナ州チャールストン郊外に居を構える工場で開始したと発表した。

▲ボルボが電気自動車の新しいフラッグシップSUV「EX90」の生産を米国チャールストン工場で開始

▲ボルボが電気自動車の新しいフラッグシップSUV「EX90」の生産を米国チャールストン工場で開始

 

 ボルボは2030年までに2018年を基準として車1台あたりのCO2出量を75%削減することを目指し、さらに2040年までには温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするクライメート・ニュートラル(Climate neutral=気候中立)な企業になるという高い目標を掲げている。その方向性を明示する電動フラッグシップSUVとして、パラダイムシフトとなるボルボ初のコアコンピューティングテクノロジーを搭載して開発したのが、今回生産を開始した旗艦SUVのEX90である。

 ボルボの米国初の製造工場であるチャールストン工場は、2018年夏に米国で最も歴史と由緒ある都市のひとつであるチャールストン郊外で操業。同工場では現在、EX90とS60を生産しており、年間最大15万台の生産能力を確保する。EX90を生産するに当たって、ボルボは車体工場と塗装工場を大幅に刷新・拡張。また、工場内には最新のバッテリーパック生産ラインも導入した。

▲ボルボはチャールストン工場でEX90を生産するに当たって、車体工場と塗装工場を大幅に刷新・拡張。また、工場内には最新のバッテリーパック生産ラインも導入する

▲ボルボはチャールストン工場でEX90を生産するに当たって、車体工場と塗装工場を大幅に刷新・拡張。また、工場内には最新のバッテリーパック生産ラインも導入する

▲デニムブルーに塗られたEX90の第1号車がラインオフ

▲デニムブルーに塗られたEX90の第1号車がラインオフ

 

 改めてEX90の特徴を紹介していこう。

 グレードはツインモーターとツインモーター パフォーマンスの2タイプを設定。パワートレインはツインモーターにシステム最高出力300kW/最大トルク568ft.lbsを発生する2基の前後モーターと容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを、ツインモーター パフォーマンスにシステム最高出力370kW/最大トルク671ft.lbsを発生する2基の前後モーターと容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する。一充電あたりの航続可能距離は、現地モードで300マイル(約483km)以上を実現。充電に関しては、AC普通充電と最大250kWのDC急速充電に対応させた。一方、基本骨格は新開発のSPA2プラットフォームと、約15%の再生スチールや約25%の再生アルミニウム、そして48kgの再生プラスチックとバイオベース材料を使用した専用ボディで構成。1台あたりの再生プラスチックの使用比率は、これまでのボルボ車では最高レベルの総量当たり約15%を成し遂げたという。

▲グレードはツインモーターとツインモーター パフォーマンスの2タイプを設定。パワートレインはツインモーターにシステム最高出力300kWを発生する2基の前後モーターと容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを、ツインモーター パフォーマンスにシステム最高出力370kWを発生する2基の前後モーターと容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する

▲グレードはツインモーターとツインモーター パフォーマンスの2タイプを設定。パワートレインはツインモーターにシステム最高出力300kWを発生する2基の前後モーターと容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを、ツインモーター パフォーマンスにシステム最高出力370kWを発生する2基の前後モーターと容量111kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する

 

 エクステリアは機能が形をつくる新しいスカンジナビアンデザインを採用。SUVスタイルを基調に多用途でスタイリッシュなファミリーカーに仕立て、合わせてコアコンピューティングやコネクティビティ、電動化などの最先端技術と組み合わせて、安全性、効率、デザインを最適化する。新しいトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプやクローズドタイプのグリル、C字型のLEDコンビネーションランプとリアピラー後端左右に縦型に配したランプ、空力特性を考慮した独特な造形のアルミホイールなども目を引く部分だ。ボディサイズは全長5037×全幅2039×全高1747mmと既存のXC90に比べてロングかつワイドにアレンジし、一方でホイールベースは2984mmと同寸に設定している。

▲エクステリアは機能が形をつくる新しいスカンジナビアンデザインを採用したSUVスタイルで仕立てる。ボディサイズは全長5037×全幅2039×全高1747mm/ホイールベース2984mmに設定

▲エクステリアは機能が形をつくる新しいスカンジナビアンデザインを採用したSUVスタイルで仕立てる。ボディサイズは全長5037×全幅2039×全高1747mm/ホイールベース2984mmに設定

 

 インテリアに関しては、インパネ上部を水平基調にアレンジして前方視界を高めたうえで、Epic Games社の3Dツール「Unreal Engine」を用いた高品質グラフィックスのメータースクリーンおよびヘッドアップディスプレイを配備する。また、バーチカルマウントの14.5インチサイズのセンタースクリーンを採用し、インフォテインメントシステムとして最新のGoogleを搭載。さらに、ヘッドレスト一体型スピーカーを組み合わせたBowers&Wilkinsのオーディオシステムや、スマートフォンが車両のキーとなるフォンキーテクノロジーなどの新機能も採用した。一方、キャビン空間自体は2/3/2名乗車の3列式シートで構成。シート表皮にはリサイクル素材を使用したテキスタイルを導入する。さらに、インテリア全体にもサステナブルな素材や責任ある方法で調達された天然素材を使用した。

 最新のセンシングテクノロジーによって既存のボルボ車を上回る高い安全性を実現したことも、EX90の訴求点。高性能なカメラやレーダー、そしてLiDAR(ライダー)などの最新センサーを新設計のコアコンピューターに接続し、AI用のNVIDIA DRIVEプラットフォームXavierやOrinなどがボルボの社内製ソフトウェアを実行して、リアルタイムに360度ビューを作り出す。これが安全性を高める運転情報の提供や危険回避に役立てられ、車線変更時のステアリング操作のサポートや運転支援機能のパイロットアシストの信頼性および性能の向上を実現した。なお、EX90は将来の自動運転に対応するハードウェアを備えた最初のボルボ車というキャラクターも有し、コアコンピューターが新しいデータから常時学習するとともにアップデートを繰り返して、走行距離と時間を経るごとにより賢く、より安全なシステムへと進化するという。

▲インテリアはサステナブルな素材や責任ある方法で調達された天然素材を使用したうえで、スマートかつエレガントなデザインに仕立てる

▲インテリアはサステナブルな素材や責任ある方法で調達された天然素材を使用したうえで、スマートかつエレガントなデザインに仕立てる

▲キャビン空間は2/3/2名乗車の3列式シートで構成。シート表皮にはリサイクル素材を使用したテキスタイルを張る

▲キャビン空間は2/3/2名乗車の3列式シートで構成。シート表皮にはリサイクル素材を使用したテキスタイルを張る

 

 EX90の生産開始に当たってボルボ・カーズのジム・ローワン(Jim Rowan)CEOは、「EVのボルボEX90は、ボルボにとって安全性、サステナビリティ、人間中心のテクノロジーの面でまさに新時代の幕開けとなる1台です。EX90は米国で生産され、サウスカロライナ州や米国市場に対する私たちの長期的なコミットメントを表しています」とコメントしている。

 

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