【最新モデル試乗】滑らかで速いと評判。ボルボの上級車、XC60リチャージHV・T8AWDが目指す新地平

ボルボXC60リチャージ・プラグインHV・T8AWDインスクリプション XC60シリーズは日常ユースでEVとして使えるプラグインHVのT8と48VマイルドHVのB5&B6系をラインアップ 駆動方式は全車4WD インスクリプションは快適装備満載の上級グレード
ボルボXC60リチャージ・プラグインHV・T8AWDインスクリプション XC60シリーズは日常ユースでEVとして使えるプラグインHVのT8と48VマイルドHVのB5&B6系をラインアップ 駆動方式は全車4WD インスクリプションは快適装備満載の上級グレード

ボルボXC60リチャージ・プラグインHV・T8AWDインスクリプション 価格:8SAT 949万円 試乗記

日本仕様はすべて電動車。プラグインHVの走りはEV感覚

 ボルボは2030年までに EVメーカーに変身し、それまでに全世界で段階的にハイブリッド車を含む内燃機関搭載車を廃止する――今年3月、スウェーデン本社からの発表は、エンジンにきっぱりと「三下り半」を突き付ける内容だった。
 BEVこそ未設定なものの、日本市場で販売する全モデルの電動化はすでに完了している。試乗車は、XC60のトップモデルとなるプラグインハイブリッド仕様だ。

 ターボとスーパーチャージャーの「ツイン過給」により最高318psを発する2リッター直列4気筒のガソリンエンジンと組み合わされたのは、前後2モーターの外部充電可能なハイブリッドシステム。駆動用バッテリー(11.9kWh)は、センタートンネル内にレイアウトされ、1充電当たりのEV走行可能距離は39.4kmに達する。

 リアアクスルに接続された後輪用モーターの最高出力は65kW(88ps相当)。スタートの瞬間から発せられる最大トルクは240Nmに達するため、街乗りで必要とされる緩加速発進は強力。バッテリー充電量に余裕がある限り、エンジンのサポートを必要としない完全なEVとして振る舞う。

全長×全幅×全高4690×1900×1660mm 車重2180kg 走りはスムーズ&パワフル
全長×全幅×全高4690×1900×1660mm 車重2180kg 走りはスムーズ&パワフル
スタイルは端正なロングノーズ 環境負荷を抑えたオールラウンダーという性格
スタイルは端正なロングノーズ 環境負荷を抑えたオールラウンダーという性格

自宅に充電環境があればガソリン補給の手間から解放される!

 満充電状態で金沢市内のホテルを出発し、最寄りのインターから高速道路に乗って充電量を使い切ったのは30km強を走った後だった。その後はハイブリッド車として走る。エンジン始動や停止に伴うショックは皆無だが、状況によって4気筒ならではのノイズが耳に届くのは、949万円という価格を考えると、あと一歩の改善余地がありそうだ。

 標準ポジションと考えられるハイブリッド・モードを選択して走行していると、下り坂での回生などでバッテリー充電量が上昇するたびにEV走行が復活する。一方、エンジン出力を併用するパワーモードでは逞しい加速感が楽しめた。ゴージャスな装備群やエアサスペンションの標準採用などもあり2トンをはるかに超える車両重量を、どのような走行シーンでも忘れさせてくれる。

 タイヤは20インチの大径サイズ。逞しい印象のエクステリア実現に貢献している。その一方で、ときにばね下の重さを意識させる要因にもなっているようだ。もちろん、舗装の行き届いた高速道路では、快適なクルージングシーンを演じてくれる。
 XC60のプラグインハイブリッドは、自宅に充電環境があって日常的には「ちょい乗り」がメインというユーザーにとって大いに魅力的だ。ガソリン補給の手間とコストから解放される。
 新たなる多様性を身に着けたXC60の新世代フラッグシップモデルである。

インパネ造形は機能的 中央に縦型液晶モニターを配置 安全・運転支援機能はクラストップ級
インパネ造形は機能的 中央に縦型液晶モニターを配置 安全・運転支援機能はクラストップ級
シートは上質なファインナッパレザー標準 サポート性/座り心地ともに優秀 室内はゆったり&静粛設計
シートは上質なファインナッパレザー標準 サポート性/座り心地ともに優秀 室内はゆったり&静粛設計
ラゲッジ空間は使い勝手に優れた設計 後席は6対4分割 リアゲートは電動式
ラゲッジ空間は使い勝手に優れた設計 後席は6対4分割 リアゲートは電動式
8速ATのセレクターはクリスタル製 走行モードはピュア/ハイブリッド/パワーの3タイプ
8速ATのセレクターはクリスタル製 走行モードはピュア/ハイブリッド/パワーの3タイプ
2リッターエンジン(318ps)はターボとスーパーチャージャーでツイン過給 前後2モーター方式 走りはパワフル
2リッターエンジン(318ps)はターボとスーパーチャージャーでツイン過給 前後2モーター方式 走りはパワフル
充電リッドは左フロントフェンダーに配置 普通充電のみに対応する
充電リッドは左フロントフェンダーに配置 普通充電のみに対応する
255/ 45R20タイヤ+8本スポークアルミ装着 足回りはエアサス仕様
255/ 45R20タイヤ+8本スポークアルミ装着 足回りはエアサス仕様

ボルボXC60リチャージ・プラグインHV・T8AWDインスクリプション 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=XC60リチャージ・プラグインHV・T8AWDインスクリプション
価格=8SAT 949万円
全長×全幅×全高=4690×1900×1660mm
ホイールベース=2865mm
トレッド(フロント×リア)=1650×1655mm
最低地上高=215mm
車重=2180kg
エンジン=1968㏄直4DOHC16Vターボ+SC(プレミアム仕様)
最高出力=233kW(318ps)/6000rpm
最大トルク=400Nm(40.8kgm)/2200〜5400rpm
フロントモーター最高出力=34kW/2500rpm
リアモーター最高出力=65kW/7000rpm
フロントモーター最大トルク=160Nm/0〜2500rpm
リアモーター最大トルク=240Nm/0〜3000rpm
駆動用バッテリー電圧=350V
駆動用バッテリー容量=34Ah
WLTCモード燃費=12.6km/リッター(燃料タンク容量70リッター)
(市街地/郊外/高速道路:15.3/9.6/14.4km/リッター)
EV走行換算距離(等価EVレンジ)=39.4km
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ディスク
タイヤ&ホイール=255/45R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.7m
主な燃費改善対策=プラグインハイブリッドシステム/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/ブレーキエネルギー回生システム/アイドリングストップ
主要装備=シティセーフティ(プリクラッシュブレーキ+歩行者&サイクリスト&大型動物検知機能+対向車対応機能+ステアリングサポートほか)/インテリセーフサラウンド(ステアリングアシスト付きブラインドスポットインフォメーション+クロストラフィックアラート+被追突時警告機能)/全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール/パイロットアシスト/パークアシストパイロット/フルアクティブハイビーム/360度ビューカメラ/ケアキー(速度制限付きリモコンキー)/180km/hスピードリミッター/電動パーキングブレーキ/ヒルスタート&ヒルディセントコントロール/電子制御4輪エアサスペンション&アクティブパフォーマンスシャシー/ファインナッパレザーシート/前後席シートヒーター/タッチスクリーンHDDナビゲーション/ハーマンカードン・プレミアムサウンドオーディオ/ヘッドアップディスプレイ/新車時5年保証/ETC2.0車載器
装着メーカーop=電動パノラマサンルーフ21万円
ボディカラー=デニムブルーメタリック(op9万2000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は2万6900円

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