
2000年式ホンダS2000。S2000は1995年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「SSM」の市販バージョン。開発責任者は初代NSXを担当した上原繁氏。ボディは独自のXボーンフレーム構造
ホンダS2000は、本田技研工業の創業50周年を記念して開発されたオープン2シータースポーツ。「地球環境への配慮、安全性など複数の価値を高い次元で実現した、21世紀に向けた新しいホンダのシンボル」(当時の吉野浩行社長)という意気込みを持って、1999年4月にデビューした。
S2000の魅力は、1997ccの超高回転型エンジン。レブリミットは量産エンジンとして異例の9000rpm。エンジンブロックはFRM(ガラス繊維強化金属)スリーブを採用した高剛性タイプ、ピストンは鍛造。ホンダ独自のVTEC機構とストレートインテークマニホールド、ステンレス製大径デュアルエグゾーストなど、レーシングエンジンに匹敵する贅沢なメカニズムが投入された。
スペックは250ps/8300rpm、22.2kgm/7500rpm。トランスミッションはクロースレシオの6速MT(ATは未設定)で、モノグレード構成だった。
ボディは「ハイXボーンフレーム構造」を採用した高剛性設計。駆動方式はFR。前後重量配分を50対50とし、インホイール式4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションで自在なハンドリングを追求した。パワーステは省燃費に有効な電動アシストタイプ。タイヤは専用設計のBSポテンザS-02。メーカーオプションとして、1本当たりの重量が標準比約2kg軽いBBS製5本スポークアルミを用意していた。
S2000は、2000年7月、車速と舵角に応じてステアリングギア比が無段階に変化し、シャープな操縦性を追求したタイプVがデビュー。01年9月のマイナーチェンジで、電動ソフトトップのリアウィンドウがガラス製に変更された。03年10月には足回りの設定を見直し、17㌅タイヤが標準装備(それまでは16インチ)になった。
改良はその後も続き、05年11月、エンジンの排気量が2156cc(242ps/22.5kgm)にアップ。07年10月には大型リアスポイラーを標準装備したタイプSが登場する。
S2000は、09年8月に生産を終了。総生産台数は10万8747台。このうち2万1616台が国内で販売された。
取材車は、2000年1月登録の初期型モデル。走行距離1万㎞未満のフルオリジナル車。当時オプションだったBBS製アルミ、本革シート、DVDナビ、リアスポイラーを装着しており、貴重なアルミ製ハードトップも付属する。ボディカラーはシルバーストーンメタリック。
コンディションは抜群。内外装ともに新車同様の状態をキープしている。ボディにキズはいっさいなく、塗装の具合は良好。シートにシワ、ヘタリは見られず、本革巻きステアリングのグリップ部の「擦れ」もない。電動トップはスムーズに開閉した。各部は四半世紀もの時間が経過しているとは信じられないほどクオリティが高かった。
前オーナーは「初代ホンダSシリーズをはじめ、多くのスポーツカーを所有するコレクター」だそうで、このS2000は屋内ガレージで大切に保管されてきたという。
車両は全体的にメンテナンスが施されており、バッテリーは新品。ただしタイヤは新車時のままだった。サイド部にヒビ割れはないが、経年劣化を考えると交換したほうが無難だろう。
走りはフレッシュな魅力にあふれていた。エンジンの吹き上がりはシャープで、加速性能は強力。魅力的なエグゾーストノートをBGMにしたドライビングは痛快だった。ボディサイズ(4135×1750×1285mm)は適度にコンパクトで、車両感覚は把握しやすい。
S2000は、現在のホンダ・ラインアップにはないFR2シータースポーツ。走行距離が少ない取材車は、新車時の興奮が味わえる貴重な1台である。
