森永卓郎のミニカーコラム「フランクリンミント製キャデラック・エルドラド」

シュコー・ピッコロ「タンカー」

 シュコー社は、1912年にドイツのニュルンベルクで創業した歴史ある玩具メーカーだ。当初はゼンマイ仕掛けのぬいぐるみを作っていたが、1936年からゼンマイ仕掛けの自動車模型を作るようになった。シュコーマイクロレーサーの源流だ。そして1958年に90分の1スケールのピッコロ・シリーズが誕生した。

森永卓郎さん似顔絵

もりながたくろう/1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する“博物館(B宝館)”を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日開館)

 ピッコロ・シリーズは、通常のミニカーと異なり、一体成型の金属の塊で、窓は塗装で表現されているため、ずっしりと重い。そのため、一時は鉛製といわれたこともあったが、実際には亜鉛合金製で、通常のダイカストモデルと同じだ。

 ピッコロ・シリーズは、1960年代で一度発売を終了したのだが、1990年代になって、当時の金型を使って、同じ製法で作られたモデルが、再発売された。箱まで当時のものを再現しているため、当時ものか、復刻版なのか判別するのはむずかしい。ただ、ネットオークションやフリマアプリで流通しているものの大部分は、復刻版のほうだ。

 写真は、1960年代の当時もののピッコロ・シリーズで、メルセデス・キャブのシェルのタンクローリーだ。なぜ当時ものとわかるのかというと、60年代当時に購入した人から直接譲り受けたものだからだ。

 また、このモデルもご多分に漏れず復刻版が出ているのだが、オリジナルでは別部品だったタンク上部の部品が、復刻版では一体成型になり、ホイールキャップも赤塗装になっている。ひと言でいうと、「復刻版はちゃちい」感じがするのだ。

 それに対してオリジナルは、90分の1の小さなスケールでありながら、ピッコロ特有のずっしりとした重さが、タンクローリーの重量感をよく表現しているし、経年劣化のせいもあるのかもしれないが、なんともいえない風格を醸し出している。黄色と赤のシェルカラーのツートーン塗装も美しく、60年前のモデルとは思えない仕上がりだ。

 実はボクは、ピッコロ・シリーズはあまり本気で集めていなかったのだが、このモデルを見てから、少しずつ買い増しをするようになった。ただ、ピッコロは歴史が古いだけでなく、いまだに新製品がリリースされ続けている現役モデルだから、バリエーションの数は、とてつもなく多い。しかも、高いものだと5000円を超える価格がついている。

 もしコンプリートを目指そうと思ったら、とてつもない資金が必要になるので、あくまでも少しずつ増車の方針だ。

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