森永卓郎のミニカーコラム「ポピニカ、シトロエンのルパン三世仕様」

キャラクターグッズが得意な異色のミニカー・ブランド

 ポピニカは、ポピーがリリースした乗り物のシリーズだ。ポピーというメーカーは、1971年にバンダイからスピンアウトする形で設立された玩具メーカーで、一時は本家のバンダイを売り上げで陵駕するほどの急成長を見せた。

 1983年にバンダイに吸収されて、バンダイの一事業部となるまで、さまざまなキャラクターグッズをリリースした。事業の二本柱は、ロボットやヒーローをダイカストで再現する超合金と、乗り物と基地モノをリリースするポピニカだった。もちろん、乗り物といっても、ポピニカが取り上げるのは、基本的にはキャラクター関連のものだ。唯一の例外が、ホンダCB750というオートバイだった。

もりながたくろう/1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する“博物館(B宝館)”を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日開館)

 だから、ボクにはポピニカがミニカーだという認識がなかった。おもちゃに近い存在だったと考えていたのだ。いま手もとにあるポピニカは、わずか4台だけだ。ところが、時が経つと、ポピニカもなかなかいいなと思うようになった。少々デフォルメが強いものの、ミニカーメーカーが作るモデルと遜色のないレベルの作品になっているからだ。

 そんなポピニカの中で、いまいちばんのお気に入りが、シトロエンのルパン三世仕様だ。シトロエンH(アッシュ)バンのルーフを開けると、ロケット砲を構えたルパンが登場し、実際に砲弾が打てるギミックが付いている。

 また、シトロエンのブダブルシェブロンマークをデザインしたフロントグリル(エンジンルームカバー)は開閉式である。

 ルパン三世に登場するシトロエンとしては、カリオストロの城に登場したシトロエン2CVが有名で、ホットウィールなどがモデル化している。シトロエンHバンのほうは、ポピニカが唯一である。リリースされたHバンは、写真の黒色のほかに、青とシルバーが存在している。

 トミカダンディと比べると、若干精度は落ちるものの、ミニカーとして見ても、十分なクオリティを持っている。だから本来なら、全色揃えたいところなのだが、最近は、ポピニカが高騰していて、このシトロエンも箱付き美品だと、数万円で取り引きされている。

ポピニカPBのNo.61として発売された製品。シトロエンHバンはアニメ『ルパン三世』Part2第5話『金塊の運び方教えます』に登場する。ルパン三世関連のポピニカはPB-62としてメルセデス・ベンツSSKがラインアップされている

 超合金ブームが波及しているのかもしれないが、ポピニカはおもちゃとしての性格が強かったため、大部分が遊びに使われ、完全な製品があまり残っていないことが取り引き価格に反映されているのかもしれない。  残念ながら、ボクのポピニカコレクションは、なかなか前に進まないのだ。

 

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