森永卓郎のミニカーコラム「永大グリップテクニカのトヨタ・セリカ・リフトバック」

永大グリップ・シリーズの持ち味

永大グリップテクニカのトヨタ・セリカ・リフトバック

1970年代後半の日本は「スーパーカー・ブーム」に沸いていた グリップテクニカのラインアップには写真のセリカの他にスーパーカーやスポーツカー/F1などが揃っていた

 グリップ・シリーズのミニカーをリリースした永大は、70年代後半に現れて、多くの種類のミニカーをリリースした後、10年足らずで、彗星のように消えてしまったメーカーだ。

 永大のミニカーは、ボクが知る限り、すべて「グリップ」から始まる3シリーズがあった。第1は、グリップキャラクターで、すべてが映画やテレビに登場する車両のモデル化だ。『サンダーバード』や『ジョー90』に登場する車両や『ウルトラマンタロウ』の車両などがモデル化された。全長は80mm前後で、トミカより一回り大きいサイズだった。

森永卓郎さん似顔絵

もりながたくろう/1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する"博物館(B宝館)"を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日)

 

グリップテクニックは最高級シリーズ

 ただ、グリップキャラクターは、クルマだけでなく、キャラクターのフィギュアもシリーズ内で展開しているので、厳密にはミニカー・シリーズとはいえないかもしれない。

 第2はグリップゼッケンで、消防車や建設作業車などの特殊車両をモデル化した。全長は、100mm前後だった。

 そして最高級グレードのシリーズが、グリップテクニカだ。ダイカスト製の本格モデルで、当時としては、最高の品質を誇っていた。写真は、46番のセリカ・リフトバック2000GTだ。少しぼってり感はあるものの、細かいところまでよく作り込んでいる。

 タイヤが少し劣化しているが、それはゴムタイヤを履いているからだ。70年代のミニカーだから、当然メイドインジャパンである。

 グリップテクニカは、国産車だけでなく、外国車のスーパーカーやF1マシンにまでラインアップを広げたが、突然姿を消してしまった。

28分の1という特殊なスケール

 理由はよくわからないのだが、グリップテクニカに関していえば、「28分の1という独自スケールが大きな原因になったのではないか」と、ボクは考えている。それだけ大きなサイズになると、確かに実車の再現性を上げることはできるのだが、コレクションを展示するのに大きなスペースが必要になる。

 また国際的には43分の1の標準スケールの上は、24分の1というのが慣習になっていて、グリップテクニカは、そうしたミニカーと並べて展示することもできない実に中途半端なスケールだったのだ。

 魅力的な車種が多く、それなりのラインアップが揃っているのだが、コレクターが少ないので、50年近く昔のモデルであるにもかかわらず、数千円で買えるお買い得モデルになっている。

 正直いうと、ボクはまだ数台しか持っていないが、今後少しずつ増車したいと思っている。

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