ロールス・ロイス初のBEV「スペクター」がワールドプレミア

ロールス・ロイスがブランド初の電気自動車「スペクター」を発表。オールアルミニウムの「ロールス・ロイス3.0」アーキテクチャーに、暫定値で最高出力430kW/最大トルク900Nmを発生する電動パワートレインを搭載し、航続距離はWLTPモードで約520kmを実現。市場投入は2023年第4四半期を予定

 英国ロールス・ロイス・モーター・カーズは2022年10月18日(現地時間)、ブランド初の電気自動車で、従来のファントム・クーペの実質的な後継モデルとなる「スペクター(SPECTRE)」を初公開した。

▲ロールス・ロイス・スペクター ブランド初の電気自動車で、従来のファントム・クーペの実質的な後継モデル。ボディサイズは全長5453×全幅2080×全高1559mm、ホイールベース3210mm、車重は2975kgに設定。市場投入は2023年第4四半期を予定

▲ロールス・ロイス・スペクター ブランド初の電気自動車で、従来のファントム・クーペの実質的な後継モデル。ボディサイズは全長5453×全幅2080×全高1559mm、ホイールベース3210mm、車重は2975kgに設定。市場投入は2023年第4四半期を予定

 

 スペクターの基本骨格には、従来の「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」と称するオールアルミニウム製スペースフレーム・アーキテクチャーを電動パワートレイン向けに適合させて再設計した「ロールス・ロイス3.0」を採用。また、アルミニウム押出材セクションとバッテリーの車両構造への一体化により、従来のロールス・ロイス車比で30%高い剛性を確保し、合わせてフロアをシル構造の上や下ではなく、その中間に配置して駆動用バッテリーとフロアの間に配線や空調配管のためのチャンネルを設けて、滑らかなアンダーフロア形状と低重心化、そして高い遮音効果を実現した。一方でパワートレインに関しては、暫定値で最高出力430kW、最大トルク900Nmを発生するモーターに大容量のリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、航続距離はWLTPモードで約520kmを実現。性能面では、0→100km/h加速が4.5秒の俊足ぶりを発揮するという。

▲基本骨格には従来の「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」と称するオールアルミニウム製スペースフレーム・アーキテクチャーを電動パワートレイン向けに適合させて再設計した「ロールス・ロイス3.0」を採用

▲基本骨格には従来の「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」と称するオールアルミニウム製スペースフレーム・アーキテクチャーを電動パワートレイン向けに適合させて再設計した「ロールス・ロイス3.0」を採用

 

 足回りについては、プラナー(Planar)サスペンションと称する新システムをセット。ドライバーのインプットや路面状況に応じてアンチロールバーの切り離しやダンパーの自動調整を行い、同時に18個のセンサーを使ったステアリング、ブレーキ、パワーデリバリー、サスペンションや4輪操舵システムと統合制御し、ロールス・ロイス車の乗り心地の特徴である“ワフタビリティ(waftability、浮遊感の意)”を具現化した。

▲パワートレインには暫定値で最高出力430kW、最大トルク900Nmを発生するモーターに大容量のリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、航続距離はWLTPモードで約520kmを実現。足回りにはプラナー(Planar)サスペンションと称する新システムを組み込む

▲パワートレインには暫定値で最高出力430kW、最大トルク900Nmを発生するモーターに大容量のリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、航続距離はWLTPモードで約520kmを実現。足回りにはプラナー(Planar)サスペンションと称する新システムを組み込む

 

 エクステリアは後ろヒンジ式のドアを配した2ドアクーペボディを基調に、モダンなヨットのコンセプトに着目してデザインしたラインの明瞭さと正確さ、反射のインテリジェントな使い方、シルエットに情感を与えるテーパーの付け方といった要素を採用する。フロント部はロールス・ロイス史上最もワイドなステンレススチール仕上げのパンテオングリルと、22個のLEDで裏側を照らす滑らかな断面のサンドブラスト仕上げベーン、ジュエリーボックス風のダーククロムのハウジングを配したスプリットヘッドライト処理、そして新デザインの“スピリット・オブ・エクスタシー”マスコットなどを配して、先進的で威風堂々としたマスクを創出。一方でサイドビューは、シャープで垂直なノーズラインやヨットのデザインからインスパイを受けた“ワフト”と称する下側のライン、船首が緩やかに持ち上がる様子をイメージした前方に進みながら上に向かう緩やかな曲線などによって、躍動感と力強さを主張する。足もとには、約100年ぶりに23インチサイズの大径ホイールを装着した。そしてリアセクションは、流れるようなルーフラインが後端へと連なるファストバックのフォルムに、上から見ると徐々に絞り込まれる特徴的なテール部、筋肉質なショルダーライン、縦長の宝石のようなLEDコンビネーションランプなどを採用して、美しくかつ印象的な後ろ姿を具現化している。

 スぺクターは空力特性も最大限に重視され、ゆっくりと角度をつけたボディ前端や約830時間かけて空力的な特性を煮詰めたフードマスコット、Aピラーからラゲッジコンパートメントまで続くワンピースのボディパネル、なだらかな面構成、リアへと続くファストバック処理などによって、空気抵抗係数(Cd値)は0.25という優秀な数値を実現。ボディサイズは全長5453×全幅2080×全高1559mm、ホイールベース3210mmに設定した。

▲フロント部はロールス・ロイス史上最もワイドなステンレススチール仕上げのパンテオングリルや22個のLEDで裏側を照らす滑らかな断面のサンドブラスト仕上げベーンなどを配して、先進的で威風堂々としたマスクを創出

▲フロント部はロールス・ロイス史上最もワイドなステンレススチール仕上げのパンテオングリルや22個のLEDで裏側を照らす滑らかな断面のサンドブラスト仕上げベーンなどを配して、先進的で威風堂々としたマスクを創出

▲リアセクションは流れるようなルーフラインが後端へと連なるファストバックのフォルムに、上から見ると徐々に絞り込まれる特徴的なテール部、筋肉質なショルダーラインなどを採用して美しくかつ印象的な後ろ姿を演出

▲リアセクションは流れるようなルーフラインが後端へと連なるファストバックのフォルムに、上から見ると徐々に絞り込まれる特徴的なテール部、筋肉質なショルダーラインなどを採用して美しくかつ印象的な後ろ姿を演出

▲空力性能も踏まえた新デザインの“スピリット・オブ・エクスタシー”マスコットを装着

▲空力性能も踏まえた新デザインの“スピリット・オブ・エクスタシー”マスコットを装着

▲ジュエリーボックス風のダーククロムのハウジングを配したスプリットヘッドライト処理を採用

▲ジュエリーボックス風のダーククロムのハウジングを配したスプリットヘッドライト処理を採用

▲縦長の宝石のようなLEDコンビネーションランプを装備

▲縦長の宝石のようなLEDコンビネーションランプを装備

▲足もとには約100年ぶりに23インチサイズの大径ホイールを組み込む

▲足もとには約100年ぶりに23インチサイズの大径ホイールを組み込む

 

 内包するインテリアは、4名乗車のレイアウトを基本に、夜空の永遠の神秘からインスピレーションを得た、これまでで最も技術的に進んだビスポークを提供する。具体的には、4796個の淡く光る星を組み込んだスターライトのドアやルーフの内張、5500個以上の星の集まりとSPECTREロゴを配した助手席前のパネルによって、幽玄な夜をテーマとするキャビン空間を演出する。従来のロールス・ロイス車と同様、エクスクルーシブで多様なレザーやカラーリング、ステッチや刺繍、ウッドおよびメタルパネルなども選択可能だ。

 一方、「スピリット(SPIRIT)」と称する最新のデジタルアーキテクチャーをロールス・ロイスらしい洗練されたスタイルで導入したことも、スペクターの訴求点だ。スピリットはクルマの機能を管理するだけでなく、ブランド独自のアプリケーション「Whispers」とシームレスに統合。車内だけでなく遠隔操作でもアプリケーションの利用が可能で、ラグジュアリーインテリジェンススペシャリストによる厳選した情報をリアルタイムで受け取ることができる。

▲インテリアは「スピリット(SPIRIT)」と称する最新のデジタルアーキテクチャーをロールス・ロイスらしい洗練されたスタイルで導入。従来のロールス・ロイス車と同様、エクスクルーシブで多様なレザーやカラーリングなどが選択できる

▲インテリアは「スピリット(SPIRIT)」と称する最新のデジタルアーキテクチャーをロールス・ロイスらしい洗練されたスタイルで導入。従来のロールス・ロイス車と同様、エクスクルーシブで多様なレザーやカラーリングなどが選択できる

▲電動パワートレインの搭載に即した新デザインのメーターディスプレイを配備

▲電動パワートレインの搭載に即した新デザインのメーターディスプレイを配備

▲5500個以上の星の集まりとSPECTREロゴを配した助手席前のパネル

▲5500個以上の星の集まりとSPECTREロゴを配した助手席前のパネル

▲新デザインのアナログタイプ時計を装備

▲新デザインのアナログタイプ時計を装備

▲インフォメーションシステムの切替などはダイヤルで操作できる

▲インフォメーションシステムの切替などはダイヤルで操作できる

▲ロールス・ロイス車の伝統装備である収納式アンブレラを踏襲

▲ロールス・ロイス車の伝統装備である収納式アンブレラを踏襲

▲室内は4シーターのレイアウトで構成。ドアは後ろヒンジ式で、4796個の淡く光る星を組み込んだスターライトを配する

▲室内は4シーターのレイアウトで構成。ドアは後ろヒンジ式で、4796個の淡く光る星を組み込んだスターライトを配する

▲ルーフの内張にもスターライトを配備し、幽玄な夜をテーマとするキャビン空間を演出

▲ルーフの内張にもスターライトを配備し、幽玄な夜をテーマとするキャビン空間を演出

 

 ちなみにロールス・ロイスによると、同社の共同創業者であるチャールズ・ロールズが1900年にコロンビア電気馬車という電気自動車を手に入れて乗車した際、「充電インフラさえ整えば、電気自動車はクリーンで騒音を発しないクルマとして、内燃機関搭載車にとって代わる存在になる」ことを予見していたという。それから120年以上が経った今、現在のロールス・ロイスによって創業者の予言を成就するときが到来したわけだ。

 なお、ロールス・ロイス・スペクターの市場投入は2023年第4四半期を予定している。

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