森永卓郎ミニカーコラム「トミーテック・スカイライン1800/ラジオカー」

中継の機動性を高め、街の様子をライブに伝えたラジオカーの思い出

 テレビ離れさえ進んでいる若者たちからみたら、ラジオが中心の暮らしというのは、想像もつかないかもしれない。ただ、ボクにとってラジオというのは、特別な存在だ。自分自身がいまでも6本のレギュラー番組を持っているという事情は、もちろんあるが、何といってもボクらの青春時代はラジオを中心に回っていた。朝のニュース番組に始まって、深夜放送までラジオに噛り付いていたし、パナソニックのクーガーやソニーのスカイセンサーといった高性能受信機は、持っているだけでステータスだった。

森永卓郎さん似顔絵

もりながたくろう/1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する“博物館(B宝館)”を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日開館)

 ボクが中学生の頃のラジオ放送には聴取率が20%を超えるお化け番組がゴロゴロあった。その番組の中で、大きな役割を果たしていたのがラジオカーだ。

 ラジオの特徴は、リスナーとの距離が近いということだ。それを実現する手段のひとつがラジオカーだ。レポーターやパーソナリティがラジオカーに乗って、街角に出かけ、リスナーと交流する。ボクも何度か乗ったことがあるのだが、放送機材がぎっしりと詰め込まれ、大きなアンテナや放送中を示す警告灯がついたラジオカーは愛着のある存在なのだ。

 ミニカーの世界では、ダイヤペットも複数のラジオカーをモデル化しているが、圧巻はトミーテックがリリースしたトミカリミテッドヴィンテージのラジオカーだろう。ニッポン放送、TBSラジオ、文化放送、ラジオ関東の民放各社の仕様を発表しているほか、ニッポン放送に関しては、スカイライン、ローレル、ブルーバード、と、3車種のモデルをリリースしている。小スケールモデルなので小ぶりだが、細かい部品も含めて作り込んでいるので、出来はすこぶるよい。

 ちなみにパッケージには、いまなお現役を続ける伝説のパーソナリティ、高嶋秀武氏の写真と高嶋氏のインタビュー記事まで掲載されているという手の込みようだ。

 モデルの年式は不明だが、AMラジオは1978年から近隣諸国との混信を避けるため、10キロヘルツ間隔を9キロヘルツ間隔に変更しており、78年以降のニッポン放送は1242キロヘルツになっているから、これは、それ以前のモデルということになる。 単独で飾っても楽しいのだが、各社のラジオカーをずらりと並べると、華やかで、もっとコレクションにさらに深みがでること請け合いだ。

 

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