森永卓郎ミニカーコラム「ファースト43シリーズの持ち味」

コスパ最強のミニカー

森永卓郎さん160.jpg■プロフィール もりながたくろう●1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する"博物館(B宝館)"を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日)

2021年3月号 森永卓郎さん写真.jpg▲ファースト43はコレクションビギナーを対象にしたブランド ファミリーカーからスポーツカーまで古今の日本車をラインアップしている

 最近のミニカーは、出来栄えのよいものが多いのだが、最大の難点は、価格が驚くほど高騰しているということだ。小スケールで3000円、標準スケール(43分の1)だと1万円近い商品も多い。そんなに高いと、いくらほしくてもなかなか買い揃えられない。その点、とても良心的だなと思うのが、ファースト43のミニカーだ。

 発売元は国際貿易で、さまざまなミニカーブランドを手がける老舗の輸入商社だ。ファースト43のラインアップはすべて国産車で、税込み3850円に価格が統一されている。この値段は、標準スケールのモデルとしては、いまや格安といってよい。

 この低価格であっても、他の高級ブランドと同様にペーパースリーブと硬質プラスチックのクリアケースでパッケージされている。しかも、写真を見てもらえばわかるように、造形や仕上げも完璧といえるほど出来がよいのだ。

 その秘密は、製造元がixo(イクソ)ブランドを手掛けるマカオのPCT社だからだ。

 ポルトガルのミニカーメーカー、ビテスが経営破たんした際に、PCT社が事業を受け継いだといわれていて、ビテスの精緻な作風がそのまま残されている。

 ixoブランドの日本での輸入元が国際貿易だから、その縁で、国際貿易主導で、国産車をモデル化するファースト43が生まれたのだろう。

 ファースト43は、2015年に発売された新興ブランドで、旧車から新車まで幅広い車種選択をしている。

 多くの新興ブランドは、日産GT―Rのような皆が憧れる「売れ筋」の車種ばかり発売する傾向がある。ところが、ファースト43は、「普通」のモデルを多く扱っている。写真のマツダCX-5も、そのひとつだ。

 ファースト43の最大の問題は、生産が一度きりで、売り切れてしまうと、その後再生産されないという点にある。だから、発売されたら、できるだけ早く入手しておかないといけない。

 ブランドが誕生して日が浅いので、専門店の流通在庫や、ネットオークションなどを活用すれば、いまからでも全車種を集めることが可能だと思う。ただ、1車種で2色くらいの色違いもあるので、価格が安いといっても、全車種を揃えるには、かなりの費用がかかる。

 ボクは、いまのところ、気に入ったモデルだけ購入しているのだが、発売される車種が、本当に食指を動かされるものばかりなので、どれを選ぶのか、悩みは深い。

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