学生時代に聴いた「音楽の経験値」がドライバーを意識した選曲に役立っている。中西哲生さんが語る『クルマと音楽』

1980~1990年代に学生時代を過ごした中西さんのマイ・サウンド・グラフィティ

  TOKYO FMで毎週金曜日・午後3時からオンエアしている「TOKYO TEPPAN DRIDAY supported by Ginza Sony Park」のパーソナリティを務める中西哲生さんは、サッカー選手からスポーツジャーナリストに転身し、ラジオの世界でも活躍している。

 1969年生まれの中西さんが、最初にハマった音楽は「おニャン子クラブ」だった。おニャン子クラブは1985年から87年にかけて活動した女性アイドルグループで、テレビ番組「夕やけニャンニャン」のアシスタントとしてスタート。85年にデビューシングル「セーラー服を脱がさないで」がヒットし、大きなブームになった。

「通っていた高校にサッカー部がなかったので、クラブに通っていました。クラブの練習がない月曜日、水曜日、木曜日は見ていました」と振り返る。

 おニャン子の後は、ポップスに興味が向かい、デュラン・デュランやカルチャークラブなどを聴くようなった。中西さんは中学1年生のとき、米国で暮らしており、帰国後は「アメリカと同じ音楽が聴けるのか」と感じたという。

 大学に入ってからはサッカー部の寮生活になり、空いている時間を見つけてはエアチェックした音楽をカセットテープの編集に当てた。FMラジオの専門誌「FM STATION」(1981~1995年)のカセットレーベルを活用したのは懐かしい思い出だと語る。

「大学生の当時は、久保田利伸、杉山清貴、永井真理子、サザンオールスターズ、渡辺美里、長渕剛などをよく聴いていました」というから、FMステーション誌の恒例企画「好きなアーチスト、きらいなアーチスト」を思い出すミュージシャンが並んでいる。

 ラジオパーソナリティとしては「クルマを運転中に聴いてもらう音楽、という点と時節を考慮して選曲しています。過去にたくさんの音楽を聴いてきた経験が、自分自身で選曲するときに役立っていると思います」と中西さんは語っていた。

 中西さんにお気に入りの5曲を挙げてもらった(順不同、楽曲解説は編集部)。

渡辺美里『Lovin' you』


 1986年7月に発売された2枚目のアルバム『Lovin' you』に収録されている曲。このアルバムは、全20曲2枚組という大ボリュームで、発売当時のインタビューで「制作時にいい楽曲がたくさん集まったので全部収録して2枚組で発売しようという話が出たから」と語っている。このアルバムでは大ヒット曲『My Revolution』が有名だが、2枚目の最後に収録されたこの曲は、スローテンポのバラードで、心に染みいるように熱く歌われ、隠れた名曲として名高い。

Superfly『マイベストオブマイライフ』


 2009年5月に発売された7枚目のシングル曲。天海祐希が主演した刑事ドラマ『BOSS』の主題歌に起用され、2010年の第82回選抜高校野球大会の入場行進曲にも選ばれている。約6分にもなる壮大なバラードで、Superflyにとって『愛をこめて花束を』『Eyes On Me』に次ぐヒット曲になっている。この曲の歌詞に対して作詞をしたボーカルの越智志帆は「タイトルの『My Best Of My Life』とは“I'll do my best of my life”を略したスラングで“ベストを尽くすぞ!! ”という決意表明の意」と語っている。

Mr.Children『しるし』


 2006年11月に発売された29枚目のシングル曲。志田未来が主演した未成年の妊娠と出産をテーマにした社会派ドラマ『14才の母』の主題歌で、オリコンシングルチャートで初登場1位になっている。歌詞が愛にあふれていて素晴らしいと人気が高いバラードで、桜井和寿は、「浮かんだメロディから曲を形作って、そのメロディを大事にしながら、歌詞をのせていった。最高のラブソング」と述べている。

SEKAI NO OWARINI『炎と森のカーニバル』


 2014年4月に発売されたメジャー6枚目(通算8枚目)のシングル曲。NTT『ひかりTV』のCM曲で、当時は頻繁にテレビから流れ、大ヒットとなり2014年の『第56回日本レコード大賞』で優秀作品賞を受賞している。ミュージックビデオでは夜の森の中を演奏をしながら歩くメンバーの周囲に大道芸人や踊り子たちが登場。カーニバルを盛り上げるようなアップテンポな曲調で、どこかドキドキするような場所に行く前に聴くと、気分を大いに盛り上げてくれる。

スピッツ『涙がキラリ☆』


 1995年7月に発売された12枚目のシングル曲。TBS系の『COUNT DOWN TV』のオープニングテーマ。シャープの『シャープMD』のCM曲に採用され、大ヒット。約98万枚を売り上げ、トリプルプラチナに輝いた。発売当時、メンバーは「クリスマスばかりが恋人たちの特別な日とされる風潮に対抗して、七夕をクローズアップさせたいから7月7日に発売した」と述べている。全編が一定のミドルテンポのリズムで進み、それに草野マサムネのちょっとかすれた声がのり、BGMとしても心地よく楽しめる。

 中西さん選んだ5曲、「どれも好き」「どれも思い出がある」といった名曲ぞろい。あらためて聴き返してみましょうか。

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