【新世代スポーツ研究】SUVの皮を被ったパフォーマー、ホンダZR-Vはリニアリティあふれるハンドリングを持っている!

ホンダZR-V 価格/293万2600〜410万3000円 試乗記

ホンダZR-V・e:HEV・Z。ZR-VはSUVのイメージを超える「意のままの走り」を追求。開発スタッフはホンダ屈指のクルマ好きが集結。小柄に見えるがボディサイズはミディアム級

ホンダZR-V・e:HEV・Z。ZR-VはSUVのイメージを超える「意のままの走り」を追求。開発スタッフはホンダ屈指のクルマ好きが集結。小柄に見えるがボディサイズはミディアム級

ドライバーの意思に忠実に反応するかどうか、それが重要

 ホンダZR-Vを「気持ち昂ぶる、新世代スポーツ」と呼んだら、あなたは訝しがるだろうか?いうまでもなくZR-VはSUVである。重心高の高いSUVはハードコーナリングで不安定な姿勢になりやすいというのが定説。だからZR-Vでスポーツドライビングを楽しめるかどうか疑問に感じたとしても不思議ではない。

 ただし、限界的なコーナリングを試すばかりがスポーツドライビングの醍醐味ではない。最近の私はそう思うようになっている。ドライビングスキル向上のためサーキット通いを始めて3年ほどが経つ。限界的なコーナリングの経験を重ねれば重ねるほど、コーナーに進入する際の精妙な姿勢作りがスポーツドライビングの真髄であることがわかってきたからだ。

ZR-Vリア

ZR-Vインパネ

 まずはブレーキングでフロント・サスペンションを沈み込ませ、そこからステアリングを切り込んでロールを引き出す。ここで狙いどおりの前傾姿勢、そしてロールの姿勢ができ上がれば、コーナリングの準備は7割方できたも同然といえる。

 重要になるのが、ドライバーの操作に対していかにクルマが正確に反応してくれるか、という点。つまり、10%の力でブレーキペダルを踏み込んだら10%分の減速Gが発生し、20%の力で踏めば20%分の減速Gが生まれる。操作量とクルマの反応が正比例の関係にあることを「リニアリティが高い」と表現するが、これがしっかりできていると、ドライバーは狙いどおりの減速Gを引き出すことができる。同様にステアリングやスロットルペダルのリニアリティが高いと、前後方向やロール方向の姿勢変化を意のままにコントロールすることが可能となり、自分が理想とする体勢でコーナーにアプローチできるようになる。

 続いて、スロットルペダルとステアリングでコーナリングラインを微調整しながらアペックスを通過し、仕上げにコーナー出口に向けて徐々にスロットルペダルを踏み込んでいけば、スポーツドライビングの深遠な喜びが味わえるはず。そのとき、あなたは言葉では言い尽くせない「クルマとの一体感」を堪能していることだろう。つまり、スポーツドライビングの醍醐味は、限界的なペースにいかに近づいているかではなく、自分の望みどおりにクルマをコントロールできたかどうかにかかっていることになる。

シート01

シート02

 ZR-VはミディアムクラスのSUVとして、操作系のリニアリティがバツグンに優れている。それもそのはず、ZR-Vはコントロール性の高さで定評があるシビックがベース。しかも、サスペンションのバネ定数やダンピングレートはシビックよりもむしろ締め上げられているように感じるほどだ。ハードコーナリングでも安定した姿勢を保つのは容易。私が、SUVのZR-Vを「気持ち昂ぶる、新世代スポーツ」として推す最大の理由は、ここにある。人間もクルマも肩書きや外観で判断するのは危険。ZR-Vは生粋のドライビングカーと呼べる存在である。

ホンダZR-V 主要諸元

グレード=e:HEV・Z(FF)
価格=388万3000円
全長×全幅×全高=4570×1840×1620mm
ホイールベース=2655mm
トレッド=フロント:1590/リア:1605mm
車重=1580kg
エンジン=1993cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=104kW(141ps)/6000rpm
最大トルク=182Nm(18.6kgm)/4500rpm
モーター最高出力=135kW(184ps)/5000〜6000rpm
モーター最大トルク=315Nm(32.1kgm)/0〜2000rpm
WLTCモード燃費=22.0km/リッター
(市街地/郊外/高速道路:19.4/24.7/21.7)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=225/55R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m

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