パワートレインにV12エンジン＋6速MTを搭載。「勇者」の名を冠したアストンマーティンの特別限定モデルが登場

2023年7月19日新車ニュース大貫直次郎

アストンマーティンが創立110周年を記念したスペシャルモデル「ヴァラー」を発表。パワートレインは715ps／753Nmを発生する5.2リットルV12ツインターボエンジンに、専用設計の6速MTをセット。生産台数は創立110周年に合わせて110台の限定

　英国アストンマーティンは2023年7月11日（現地時間）、同ブランドの創立110周年を記念したスペシャルモデル「ヴァラー（VALOUR）」を発表した。生産台数は創立110周年に合わせて、110台の限定とする。

▲アストンマーティン・ヴァラー　アストンマーティンの創立110周年を記念したスペシャルモデル　生産台数は世界限定110台

　英語で“勇気”や“勇者”を意味する車名を冠したヴァラーは、アストンマーティン曰く「内燃エンジン時代の最後を飾るモデル」に位置。パワーユニットには最高出力715ps、最大トルク753Nmを発生する5.2リットルV型12気筒DOHC48Vツインターボエンジンをフロントミッドに搭載し、ここに専用設計の6速MTを組み合わせ、同時に専用のキャリブレーションを施して、あらゆるギアと回転域で圧倒的なパワーを発揮する。また、機械式リミテッドスリップディファレンシャルやエレクトロニックトラクション＆スタビリティコントロールシステムを組み込んで高出力化に対応。さらに、スロットルレスポンスやトルク特性、サウンドキャラクターなどを最適化するSport／Sport＋／Trackという3種類のドライビングモードを設定した。

　一方、ボディ構造には専用のフロントおよびリアシアーパネルやリアサスペンションタワーストラットブレース、燃料タンクブレースを、シャシーには専用設計のアダプティブダンパーやスプリング、アンチロールバーを備えたサスペンションを採用。また、操舵機構には精度を高めた新しいステアリングシステムを組み込む。さらに、制動機構にはカーボンセラミック（CCB）ブレーキを配し、フロントがΦ410mm×厚38mmのディスクと6ピストンキャリパー、リアがΦ360mm×厚32mmのディスクと4ピストンキャリパーで構成。シューズには美しいデザインを誇る21インチ軽量鍛造 “ハニカム”アロイホイールと、前275/35R21、後325/30R21サイズのミシュランPilot Sport S5タイヤを装着した。

▲パワーユニットには最高出力715ps、最大トルク753Nmを発生する5.2リットルV型12気筒DOHC48Vツインターボエンジンをフロントミッドに搭載。ここに専用設計の6速MTを組み合わせ、同時に専用のキャリブレーションを施して、あらゆるギアと回転域で圧倒的なパワーを発揮する

　エクステリアについては、フルカーボンファイバーパネルや軽量ボンデッドアルミ構造を基調に、1977年に登場したV8ヴァンテージや1980 年に登場したヴァンテージ・ベースのル・マン・レースカーであるRHAM/1“通称マンチャー（Muncher）”、1990年代に一世を風靡したV600ヴァンテージ、そして2008年に発表されたOne-77などから着想を得た、オリジナリティあふれる2ドアクーペのデザインを採用する。クラムシェルボンネットには大きなU字形ベントとふたつのNACAダクトを設け、その下に積まれるV12エンジンに十分な冷却エアを供給。また、アストンマーティンを象徴するフロントグリルの形状は形態と機能の両方を向上させるための進化を図り、中央セクションにはアルミニウム製のストレーキを、両サイドにはカーボンファイバー製の大型エアインテークを設置する。さらに、ヴァラー独自のクラシカルな雰囲気を醸し出す丸型LEDヘッドライトを、アイブローを連想させるグリルの下に配置した。一方でサイドビューは、短いオーバーハングに抑揚のあるフェンダー造形、ワイルドな印象を醸し出すカットオフカムテールなどを採用して、スポーティなプロポーションと安定したスタンスを具現化。そしてリアセクションは、70年代を彷彿させるカーボンファイバー製の渦流効果エクゾブレードとシームレスに統合されたリアビューカメラを配するリアスクリーンパネルや、片側に6個ずつ計12個のLED ライトブレードを配したクラスター、軽量ステンレススチール製のトリプルテールパイプを組み込んだリアディフューザーなどを装備して、圧倒的な存在感を放つ後ろ姿を創出した。

　空力性能の向上も見逃せない。フロント部ではカーボンファイバー製のフルワイドスプリッターやフェンダーベントを装着して、ダウンフォースの強化と空力バランスの最適化を実施。サイドビューでは、カーボンファイバー製の専用シングルピースシルを配して整流効果を高める。そしてリアセクションでは、専用設計のカーボンファイバー製ディフューザーや前述のリアスクリーンパネルなどを装備して、最適な空力バランスを実現した。

▲クラムシェルボンネットには大きなU字形ベントとふたつのNACAダクトを設け、その下に搭載されるV12エンジンに十分な冷却エアを供給する

▲フロント部にはカーボンファイバー製のフルワイドスプリッターやフェンダーベントを装着

▲カーボンファイバー製の渦流効果エクゾブレードとシームレスに統合されたリアビューカメラを配するリアスクリーンパネルを装着

▲片側に6個ずつ計12個のLED ライトブレードを配したクラスター、軽量ステンレススチール製のトリプルテールパイプを組み込んだリアディフューザーを装備

▲足もとには21インチ軽量鍛造“ハニカム”アロイホイールと、前275/35R21、後325/30R21サイズのミシュランPilot Sport S5タイヤを装着

　内包するインテリアは、2名乗車のキャビン空間を基本に、カーボンファイバー材や丹念に作り込んだ専用パーツなどを配備して、スポーティで上質で、かつ個性あふれるコクピットに仕立てる。最大の注目点は6速MTのシフト部で、メカニカルな機能を強調するためにあえてむき出しでアレンジしたビレットアルミニウムのシフト基部を採用。木目調のカーボンファイバーパネルなどと絶妙なコントラストを見せる。また、シフトノブはアルミニウム、チタニウム、カーボンファイバー、ウォールナットから好みの素材が選択可能。一方、バケットタイプのスポーツシートはティンテッドカーボンファイバーやハンドステッチ入りのレザーなど、豊富な表皮を設定した。

▲2名乗車のキャビン空間を基本に、カーボンファイバー材や丹念に作り込んだ専用パーツなどを配備してスポーティで上質、かつオリジナリティあふれるコクピットを創出

▲メカニカルな機能を強調するためにあえてむき出しでアレンジしたビレットアルミニウムのシフト基部を採用

　また、アストンマーティンではヴァラーに対してユーザー独自の注文に応える「Q by Aston Martin」によるビスポーク・サービスも提供。標準パレット以外のボディカラーやカーボンの織り目が見える2×2ツィルカーボンファイバーボディワーク（レッド、ブルー、グリーンのグラディエーションから選択可能）、ペイントされたホイール、インテリア用の木目調カーボンファイバーフェイシア、ジョンストンズオブエルガン製ツイードやカシミアを張ったシート表皮およびヘッドライニングなどが選択できるという。