【竹岡圭 K&コンパクトカー ヒットの真相】マツダ2「ファッションも走りも妥協なし」

マツダのコンパクトカー、デミオが車名変更されてMAZDA2になったのは2019年7月。その後も進化を続けながら、2023年1月には大幅改良を実施した。スタイリッシュなデザインをより洗練させながらも、用品装着によって自分好みのアレンジを楽しめるようにするなど、さらに魅力を高めている。

「私だけの1台」が選べる豊富なバリエーション展開

 気づけばついつい「デミオ」って呼んでいたりするんですよね。でも、それも仕方ないのかも。1996年8月から2019年7月までの23年間デミオと呼んでいて、マツダ2と名称変更してから、まだ4年間。しかも、その間の3年間はコロナ禍の影響で、マツダ2のお話を誰かとすることも少なくて、今回2023年1月の大幅商品改良で話題に上るようになった感じですからね。

 その話題、何といっても驚かされたのは、198通りも用意されたカラーコーディネーションでした。ホイールキャップ、インパネ、ルーフフィルム、ドアミラーetc。ボディカラーとのコーディネートが限定されている場合もあるので、すべて自由にとはいかないまでも、198通りもあれば、ほぼ思いどおりのチョイスが可能です

 マツダ2は「私だけの1台」がほしくなるカテゴリーでしょうから、この豊富なカラーコーディネーションはうれしいですよね。

 とはいえ、これだけあると迷われる方も多いだろうということで、お手本コーディネートも提示されておりますのでご安心を。このお手本からひとつふたつ変えるなんていうのが、実際はトライしやすいのかもしれません。ちなみにこの樹脂パーツ、バイオエンジニアリングプラスチック(バイオエンプラ)というものなんですが、なんと塗装されてないんですって。いままでは石油系由来の乳白色の樹脂素材を成型して塗装していたそうで、たとえばツルツルのピアノブラックなんかも塗装でピカピカにされていたんですね。

 でも植物由来のバイオエンプラは無色透明なので、材料を溶かしたときに色を混ぜ、それを流し込む金型を鏡くらいのレベルで磨き上げることで、普通に成型しただけでツルツルピカピカになるんだとか。こうやって、エコとデザインとコストを成立させているなんて、もう素晴らしいのひと言しかありません。

 しかし、今回の大幅改良で、なぜこんなにもデザイン性の向上に力を入れたかといいますと、マツダ2にもっと親しみを持ってもらいたかったからなんだそうです。マツダのクルマというと「人馬一体」というキーワードが頭に浮かぶように、走りがスゴイ=私には無理、と思われるユーザーも多かったらしく、まずは親しみを持って乗ってもらいたかったというわけです。

 そういわれてみれば、歴代のデミオたちに比べると、ディーゼルエンジンやMTが用意されていたりと、ややマニッシュ感が強かったのも事実。実際乗ってみると、走りにこだわる方たちも納得できる運動性能を持っていますからね。それでいながら取り回し性と操舵性に優れており、誰もが乗りやすいのも人気のヒミツなのかも。

 そこで、まずは乗ってもらおうという取っ掛かり、いわば「きっかけ性能」みたいなものに注力したというわけです。このきっかけからマツダ2という名前が親しみを持って市民権を得ていくのだと改めて思いました。マツダ2のヒットの真相は「まずは興味を持ってもらえる性能に力を入れているから」ということなのですね。

マツダ2ヒットの真相

1)ボディ色/インパネ色/ルーフ色/ホイール色を組み合わせて全198通りのカラーコーディネーションから好みの1台が選べる
2)走りにこだわるユーザーも納得できる人馬一体の運動性能を備えている。取り回し性と操舵性に優れており誰もが運転しやすい
3)環境負荷の低減に貢献する素材や塗装技術を採用しながら、まずは見て興味を持ってもらえるように力を入れた改良を実施

■主要諸元

グレード=15BD
価格=164万7800円(6AT)
全長×全幅×全高=4080×1695×1525mm
ホイールベース=2570mm
トレッド=フロント:1495×リア:1480mm
最低地上高=145mm
車重=1090kg
エンジン(レギュラー仕様)=1496㏄直4DOHC
型式=P5-VPS
燃料タンク容量=48リッター
最高出力=81W(110ps)/6000rpm
最大トルク=142Nm(14.5㎏m)/3500rpm
WLTCモード燃費=20.3km/リッター
(WLTC市街地/郊外/高速道路:16.6/20.4/22.4)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=185/65R15+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=4.7m

●今回の試乗車のグレードは、1.5リッターガソリンエンジンを搭載したベースグレードの15BD(164万7800円)で、ボディカラーはエアストリームブルーメタリック。これに差し色のオレンジがお洒落なショップオプションのROOKIE DRIVE(17万2590円)とボディデカールセット(3万4540円)を組み合わせている。メーカーオプションでは360°セーフティパッケージ(6万500円)とセーフティクルーズパッケージ(6万6000円)のほか、CDプレーヤーやホワイトルーフフィルムなどを装着、車両全体の価格は201万690円となる。ナビシステムの使用には別売のナビ用SDカードが必要

SNSでフォローする