ベントレーがブランド初の完全電気自動車「トルカル」を発表。車種展開はシステム最高出力604kW(821ps)/最大トルク1155Nmを発生する標準モデルのトルカルと、システム最高出力653kW(888ps)/最大トルク1350Nmを発生する高性能モデルのトルカルS、そしてローンチモデルのトルカルS ファーストエディションを設定。駆動用バッテリーには総電量113.2kWhを確保した192セルのリチウムイオン電池を組み合わせ、一充電航続距離はWLTPモードで600kmを実現。伝統の6¾リッターV8エンジンの鼓動に着想を得てミュージシャンが制作した駆動サウンドも採用
英国ベントレーは2026年9月23日(現地時間)、ブランド初の電気自動車で、現行ベントレー車の第4のモデルとなる「トルカル(Torcal)」を発表した。車種展開は標準モデルのトルカルと、高性能モデルのトルカルS、そしてローンチモデルのトルカルS ファーストエディションを設定する。

▲ベントレー・トルカル 全長5008×全幅2025×全高1677mm ホイールベース3023mm 車重2795kg 一充電航続距離(WLTPモード)600km 写真のボディカラーはアストラルby Mulliner

▲ベントレー・トルカルS 全長5008×全幅2025×全高1677mm ホイールベース3023mm 車重2795kg 一充電航続距離(WLTPモード)600km 写真のボディカラーはシークインブルーby Mulliner
ベントレーにとって10年ぶりの完全新設計モデルとなるトルカルは、電動化時代におけるラグジュアリーの在り方に画期的なビジョンをもたらす1台として開発される。車名はスペインのアンダルシアの景勝地であるトルカル・デ・アンテケーラに由来。数百万年もかけて形成された石灰岩の奇岩群と迷路のような地形が広がる神秘的な場所で、「トルク」と同じ語源を持ち、岩を形成するのに重要な役割を果たした風のねじれを意味している。
フォルクスワーゲン グループのポルシェやアウディに採用するPPE(Premium Platform Electric)をベースとしたプラットフォームに搭載する注目パワートレインは、前後にドライサンプ構造のモーターを配してAWDを構成。フロントモーターにはオープンデファレンシャルを備え、一方でリアモーターには各出力軸に多板クラッチを備えたロッキングデファレンシャルを組み込む。システム最高出力/最大トルクは、トルカルが604kW(821ps)/1155Nm、トルカルSが653kW(888ps)/1350Nmを発生。最高速度および0→100km/h加速はトルカルが250km/h、3.4秒、トルカルSが260km/h、2.9秒を実現した。駆動用バッテリーにはいずれのモデルも総電量113.2kWhを確保した192セルのリチウムイオン電池を組み合わせ、一充電航続距離はWLTPモードで600kmを実現。充電に関してはAC普通充電とDC急速充電に対応し、欧州の400kW急速充電では16分で10~80%までの充電、約7分で約160km走行分の充電を確保する。また、伝統の6¾リッターV8エンジンの鼓動に着想を得てミュージシャンが制作した専用の駆動サウンドも採用した。
シャシー面では、専用チューニングの2バルブ式アダプティブダンパーを装備して、魔法の絨毯のような乗り心地を実現するとともに、各ドライビングモードに応じたシャシーセッティングを採用する。各ダンパーは路面やドライバーからの入力に反応して、瞬時かつ個別に上下させることが可能で、優れた乗り心地とボディコントロールを実現。このシステムはアンチロールバーを必要とせず、反応するダンパーによってアンチロールトルクを無段階に調整する仕組みだ。また、電子制御式オールホイールステアリングを標準で装備。最大5度のリアステアリング角により最小回転直径を11.1mまで縮小し、俊敏性をさらに高めている。
足もとには2種類の21インチアロイホイールと、7種類の22インチアロイホイールを設定。トルカルS ファーストエディションにはブラック仕上げでスポークを“Liquid Silver”で塗装した専用22インチアロイホイールを組み込む。タイヤは21インチと22インチともにサマーおよびウインター用トレッド/コンパウンドを用意するほか、22インチのオールシーズンタイヤもラインアップした。一方、制動機構にはΦ420mmのフロントディスクとΦ370mmのリアディスクを備えたスチール製ブレーキシステムを採用。オプションでカーボンシリコンカーバイド(CSiC)セラミックブレーキシステムも設定し、Φ440mmのフロントディスクとΦ410mmのリアディスクを組み合わせる。どちらのブレーキシステムもブラック、レッド、グレーのキャリパーが選択可能で、マリナーでは3色の追加カラーも用意している。

▲パワートレインは前後にドライサンプ構造のモーターを配してAWDを構成。フロントモーターにはオープンデファレンシャルを、リアモーターには各出力軸に多板クラッチを備えたロッキングデファレンシャルを組み込む。駆動用バッテリーには総電量113.2kWhを確保した192セルのリチウムイオン電池を配備。トルカルSは最高出力653kW(888ps)/最大トルク1350Nmを発生。最高速度は260km/h 、0→100km/h加速は2.9秒を実現
エクステリアについては、ベントレーのDNAに深く根ざし、力強い新デザインと低重心で流麗なフォルムを兼ね備えたクロスオーバーSUVスタイルに仕立てたことがトピックだ。プロポーションはロングホイールベース(3023mm)とショートオーバーハング、そしてフロントフェイスによって力強さを生み出し、デザイン指針であるアップライトエレガンスを体現。エンドレスボンネットの原則と相まって、ひと目でベントレーの新世代モデルと分かる個性を主張する。グラフィック要素にも着目し、とくにフロントフェイスを通じてアイデンティティと表情を確立。コンチネンタルTをはじめとする名車の面影が、先進のライティング技術とイルミネーテッド・ダイヤモンドグリルによって再解釈される。一方でサイドビューはクリーンで無駄のないグラフィックによって、コンセプトカー「EXP 15」で初めて導入されたデザイン原則“プレスティージアス・シールド”を体現した。また、サーフェス(面の表現)にも力を入れ、造形の美しさやボリューム感、車の周囲を移動する中で光と影の豊かな表情を表現。無駄なラインを削ぎ落とし、面とプロポーションそのもので独自の世界観と個性を描き出す。とくにリアセクションは、リアハッチをキャビン後方に絞り込むことでリアホイールまわりに躍動感を与え、デザインチームが“レスティング・ビースト”と呼ぶ、静かな造形の中の圧倒的なパワーと躍動感を創出。往年の名車「ブルートレインベントレー」のラゲッジキャリアをイメージしたハッチ造形、その下に配するグロスブラック仕上げの“ホースシュー(馬蹄形)”アレンジも印象的だ。フローティンググリルやリアコンビネーションランプといった各部のディテールにダイヤモンドパターンを施して、ベントレーらしい高級感とオリジナリティを際立たせたことも、スタイリングの訴求点である。トルカルSに関しては、ダークなディテールと逞しさ際立つボディキットも配備した。

▲クリーンで無駄のないグラフィックによって、コンセプトカー「EXP 15」で初めて導入されたデザイン原則“プレスティージアス・シールド”を体現。足もとには21インチまたは22インチのアロイホイールを装着
内包するインテリアは、ベントレーを象徴する“ウイング(翼)”をモチーフにデザインしだダッシュボードを採用し、シンメトリーが生み出す調和を表現。また、ダイナミックかつ洗練された面構成が、レザーやウール、ヴェニア、アルミニウムといった素材の質感を引き立てる。さらに、ローレット加工を施したガラス製キュレーションコントローラーや、新解釈を加えたブルズアイ エアベントなどを装備して、クラフツマンシップとテクノロジー高度に融合。センターコンソールやステアリングホイールにあえて物理スイッチを残すことで、心地よい触感と確かな操作感を演出したこともアピールポイントである。
一方で新設計のシートには、さまざまなテクノロジーを搭載する。標準シートには16ウェイ調整機能、シートヒーター、ベンチレーション、調整式サイドボルスター、新開発のリラクゼーション機能を配備。オプションとして、最新テクノロジーであるポスチュラル・アジャストおよびスマート・シート・クライメートシステムを用意する。また、専用のウェルネス・シート・スペシフィケーションを選択すると、リラクゼーション範囲が背もたれから座面にまで拡大し、背中や肩、脚部まで解きほぐす。リアの3名乗りシートには、ベントレー初となる電動格納システムを導入した。乗員の開放感を高め、かつ光の入り方や車内の雰囲気を好みに合わせて調整できるフロステッド・ダイヤモンド・スイッチャブル・サンルーフもオプションで設定。ラゲッジスペースは後席使用時で460リットルの容量を確保し、またフロントに90リットルの収納スペースを設けている。

▲インテリアはベントレーを象徴する“ウイング(翼)”をモチーフにデザインしだダッシュボードを採用し、シンメトリーが生み出す調和を表現。写真はトルカルS ファーストエディションのインテリアで、メインハイドGlaze&セカンダリーハイドBelugaやカーボンファイバーパネルを配備

▲トルカルSはメインハイドGlaze&セカンダリーハイドBrunelやサンバーストアルミニウム&ピアノインペリアルブルーコンソールパネルを採用。センター部には垂直方向にしなやかな弧を描く12.25インチのHDタッチスクリーンを配備
最新の先進安全運転支援システムを採用した点も見逃せない。車両の周囲に配置した25基のレーダー、センサー、カメラが周囲の環境と連携するために必要な情報を収集。車両は周囲の状況を常にスキャンし、例えば狭い道路で障害物に遭遇した場合に障害物を通過させるため、あらかじめ認識した地点まで自動で後退することができる。また、牽引時の支援機能やガレージへの駐車、ホイールリムの損傷を防ぐための縦列駐車支援、アプリを介したリモート駐車にも対応。さらに、4基のレーダー制御式パワードドアは自動で開閉することも可能である。
なお、ベントレーはトルカルの予約受注も開始。車両価格は17万3300ポンド(約3630万円)~に設定している。
