なぜCreepy Nutsは日本のチャートを席巻できたのか

 Creepy Nutsが現在の日本の音楽シーンで特別な存在になった理由は、ラップを「ラップ好きのための音楽」にとどめず、幅広いリスナーが楽しめるJ-POPへと昇華したことにある。

 DJ松永による卓越したトラックメイクと、R-指定の圧倒的な言葉の技術。その根底にはラップという音楽への深い理解がある一方、彼らの楽曲には、ポップスとして耳に残るメロディーや展開の面白さがある。難しいラップを聴かせるだけではなく、初めて聴いた人でも「もう一度聴きたい」と思わせるフックを持っているのだ。

 その強みが決定的に広がったのが、2024年の「Bling-Bang-Bang-Born」だった。アニメ『マッシュル-MASHLE-』のオープニングテーマとして使用された同曲は、SNSでダンスや楽曲を使った投稿が広がったことも追い風となり、世代を超えて浸透。Billboard JAPANのチャートでも長期間にわたって上位を維持し、Creepy Nutsの名前を、それまでラップに馴染みのなかった層にまで広げた。

 さらに重要なのは、彼らが「ラップをJ-POP風にした」のではなく、ラップそのものの面白さを保ったまま、J-POPのリスナーが入り込める入口を作ったことだろう。

 R-指定の高速かつユーモアのある言葉遊びは、歌詞を読むだけでも楽しめる。一方、DJ松永のビートはラップに詳しくない人でも身体を動かしたくなる強さを持つ。その結果、「ラップだから聴く」のではなく、「Creepy Nutsだから聴く」というファンを増やしていった。

 また、CM、アニメ、ドラマのテーマ曲など、楽曲が流れる場所を限定しないことも大きい。音楽番組だけでなく、さまざまなメディアを通じて楽曲に触れる機会が増えたことで、ラップというジャンルそのものへの心理的な距離を縮めた。

 ラップをJ-POPの中に押し込んだのではなく、ラップの魅力をそのままJ-POPの中心へ持ち込んだ。
それこそが、Creepy Nutsが日本のチャート上位に君臨するアーティストへと成長した最大の理由ではないだろうか。

作品情報

タイトル:Running Wheel
配信リリース中
配信サイト:https://creepynuts.lnk.to/RunningWheel

 

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