森永卓郎のミニカーコラム「フランクリンミント製キャデラック・エルドラド」

米国製コレクター用少量生産モデル

 フランクリンミント社は1964年にアメリカで設立された通販会社だ。通販会社といっても、扱う商品は、オリジナルのモデルガンや陶器、記念メダルなど、コレクターを対象にした商品が中心だ。高めの価格設定をしていたのだが、それでもバブル期には世界的なブームを巻き起こした。

森永卓郎さん

もりながたくろう/1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する“博物館(B宝館)”を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日開館)

 そのフランクリンミント社は、オリジナルのミニカーシリーズもリリースしていた。43分の1の標準スケールに加えて、24分の1スケールと18分の1スケールという大きなサイズのものもシリーズ化された。最初からコレクターを意識して作られたので、モデル自体はとてもシャープだ。細かいパーツも別部品で作って組み付けているので、精緻な仕上がりになっている。

 ただ、コレクター向けの少量生産とはいえ、ホワイトメタル製ではなく、通常のダイカスト製品だ。フランクリンミントのミニカーの大部分はアメリカ車だ。そして、アメリカの会社だけあって、アメ車の豪華な雰囲気を余すことなく再現している。写真は、1959年式のキャデラック・エルドラドだ。テールフィンの全盛期で、まるで宇宙船のような形状をしている。

 ボクが2歳のときのクルマなのだが、当時はまだ日本の自動車産業が立ち上がったばかりの時期で、憧れのクルマといえば、アメ車という時代だった。もちろん、いまのボクの家の車庫には入らないし、日本の狭い道を走るのは、極めて困難だから、実車をほしいとは思わないのだが、憧れはずっと残っている。

 フランクリンミントは1990年から2010年くらいにかけて、おそらく100種類くらいのミニカーをリリースしたが、ボクは当時1台も入手しなかった。高くて買えなかったのだ。ボクの記憶では、標準スケールで1万円、24分の1スケールで2万円くらいしていたと思う。

 ただ、現時点でボクは数十台のフランクリンミントを所有している。それは、絶版のフランクリンミントが、ネットオークションやフリマサイトで格安で手に入るようになったからだ。安いときだと1000円くらいで購入できる場合もある。

 おそらく、昔、インテリアとしてフランクリンミントを買ったが、模様替えで不要になった人が売りに出しているからだろう。だから、いまはフランクリンミントを入手する最大のチャンスともいえる。ただし、細かいパーツが失われているクルマも多いので、購入の際には注意が必要だ。

 

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