【注目モデル詳報】シンプル&タフを追求、リーズナブルな価格設定にも注目。ホンダWR-Vのほとばしる魅力

ホンダWR-Z・Z+ 価格/CVT 248万9800円。WR-ZはホンダSUVのエントリーモデル。価格帯は209万8800〜248万9300円でX/Z/Z+の3グレード構成。全車1.5リッターの直4ガソリン(118ps)を搭載。駆動方式はFFのみ。最低地上高は195mmの設定

ホンダWR-Z・Z+ 価格/CVT 248万9800円。WR-ZはホンダSUVのエントリーモデル。価格帯は209万8800〜248万9300円でX/Z/Z+の3グレード構成。全車1.5リッターの直4ガソリン(118ps)を搭載。駆動方式はFFのみ。最低地上高は195mmの設定

待望のコンパクトSUV登場。販売は2024年3月スタート

 2023年11月9日、ホンダは2023年度上半期(2023年4月1日~9月30日)の決算を発表した。売上収益9兆6093億円、営業利益6965億円など主要項目で過去最高を記録。その要因のひとつが「好調な4輪販売が収益を改善」とある。日本市場は2022年度に対して1万8000台増の25万9000台を達成している。

 好業績は半導体確保による生産回復、2022年に投入したニューモデルの人気が後押している。だが、この好調を維持するには、さらに「武器」がほしいところだ。ホンダの日本でのラインアップを見ると、ライバルに負けている部分がある。クロスオーバーSUVのエントリーモデルがないのだ。昨今は、日本でもクロスオーバー人気が加速している。ホンダのSUVはヴェゼルと、より上級のZR-Vの2台。250万円以下のスモールコンパクトSUVが空白になっている。実はこの価格帯、フィット派生のフィット・クロスターがカバーするが、専用ボディのライバルと比べると商品力が乏しい。

 当然、営業サイドからは「コンパクトSUVがほしい、それも早く」というリクエストが多いと聞く。だが新規開発では時間が掛かってしまう。そこでホンダは「海外展開モデルの日本最適化」で対応を行った。それが新型WR-Vである。

スタイル

 国際事情に通じている人であれば、このモデルが海外で「エレベイト」と呼ばれるモデルであることはご存じだろう。エレベイトは2023年の6月にインドで世界初公開され、「グローバル販売する」と発表されていた。ちなみに開発日本/タイ/インドの共同チームが担当、主体はタイ・バンコクにある開発拠点ホンダR&Dアジアパシフィック、生産はインドのタプカラ工場が行う。実は日本仕様もエレベイトの名で発売する予定だったが、ホンダSUVシリーズのネーミングとして定着している「○R-V」に変更したという。WR-VとはWinsome(愛嬌のある)Runabout Vehicleの略だ。

力強さを感じるスタイリングが魅力。全車1.5リッターのFFモデル

 エクステリアはクーペフォルムのヴェゼルに対して、ダイナミック&力強さを感じるスクエアなフォルム。ストレートに「SUVらしさ」を強調したスタイルである。パッと見て、2007~2010年に発売されていた2代目クロスロードを思い出した。WR-Vはカテゴリー的にはスモールコンパクトSUVだが、全長×全幅×全高は4325×1790×1650mmとヴェゼル(同4330×1790×1580mm)とほぼ同等。意外に大きい。

真横

リア

「車両感覚がつかみやすい視界性能やボンネット先端の位置を捉えやすいノーズ形状に工夫した」と開発陣が説明するように、実際に乗るとサイズはそれほど気にならない。ラインアップはX/Z/Z+の3グレード。ボディカラーは5色用意される。日本初採用のイルミナスレッドメタリックは、きれいな色だった。

 インテリアは機能的でオーソドックスである。インパネ回りはアナログメーター、レバー式のシフトセレクター&サイドブレーキとちょっと懐かしい印象。先進性は薄いものの、使い勝手がよさそうだ。上級モデルは本革巻きステアリング&シフトノブ、プライススムースドアライニング、ピアノブラック加飾を採用。室内は、どちらかというとカジュアルな雰囲気が漂う。

 居住性はスクエアなボディの利点を活かし優れたレベルだ。とくに後席は頭上/ショルダー/足元などがライバルに対して余裕たっぷり。ラゲッジスペースは後席使用時でヴェゼルより広い458リッターを確保。スーツケースなら4個(25リッター×2、20リッター×2)、ゴルフバック(9.5インチ)は2セット積載できる。

インパネ

シート

 パワートレーンは全車1.5リッターNAガソリン+CVTの組み合わせだ。ホンダは電動化を目指しているのに、なぜ?という疑問は当然だが、「250万円以下のスモールコンパクトは7割以上がガソリン車」というリサーチによる判断という。なお、エレベイトは「3年以内にEV仕様を設定」と表明している。ZR-Vも同様だろうから、そちらも期待である。

 シャシー回りもオーソドックス。フィットやヴェゼルのようなセンタータンク式ではない。ホンダがアジアで展開するシティとBR-V用のハイブリッド・プラットフォームを採用。サスペンションはフロントがストラット、リアはトーションビームだ。走りに関して開発者は、「期待してください!!」と語っていたように、なかなかいい。気持ちのいい素直な走り味の持ち主である。

 駆動方式はFF専用。タフな見た目とのギャップが気になるが、現在のクロスオーバーSUVは「丘サーファー」的な使い方がメイン。それほどネガにはならないかな……と分析している。最低地上高は195mmと高め。これは悪路走破性というよりも乗降性や未舗装路/段差を気にせずに走れる配慮と考えたほうがいい。

 WR-Vは、気軽に使いたくなる 「等身大のクロスオーバー」に仕上がっている。日常のパートナーとして気になる存在である。価格は全車250万円以下。昨今、「ホンダ車は高い」といわれがちだが、まさに「おっ、値段以上」な1台といえるだろう。ZR-Vは2024年3月に発売のスケジュールだ。

アクセス01

アクセス02

ホンダZR-V 主要諸元

モデル名=WR-V
価格=209万8800〜248万9300円
全長×全幅×全高=4325×1790×1650mm
ホイールベース=2650mm
パワートレーン=1.5リッター直4DOHC16V(118ps/142Nm)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
タイヤサイズ=215/55R17(Z/Z+)
駆動方式=FF
乗車定員=5名

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