
トヨタはかつてプリウスやアクアなど少数がハイブリッド専用車だったが、最近はRAV4やカローラクロスのように改良を機に純エンジン車をラインアップから外しハイブリッド(そしてPHEV)に集約を進める。いまやハイブリッドがスタンダード
まずは物知りネタから。トヨタ初の市販ハイブリッドカーはプリウスではなかった。1997年8月、つまり初代プリウス発売の4カ月前にハイブリッドシステムを搭載したマイクロバス、コースター・ハイブリッドEVを発売していたからだ。プリウスは、量産型の市販乗用ハイブリッドカーとして世界初の冠を得ている。
THS/Toyota Hybrid Systemと名付けられたHEVメカニズムは初代プリウスから使われている。燃費は28.0㎞/リッター(10・15モード値なので現在のWLTC値では概算で19~20㎞/ℓ)を達成。これは当時の同クラス車両の約2倍に相当する数値だった。2009年発売の3代目プリウスでは、1.8ℓエンジンとリダクションギア(トルク増幅機能)を組み合わせ、ハイブリッドシステムを約20%小型化した。
現在、THS-Ⅱは5世代目。プリウスほか数多くのモデルが搭載する横置き方式のほか、クラウン・セダンやレクサスLSなどが採用する縦置き+4ATの10速マルチステージ方式(有段3速×疑似3段の9速に有段1速)、クラウン・クロスオーバーが採用する2.4ℓターボ+6ATなど多岐にわたる。
日産はエンジン直結モードを持たないシリーズ式のe-POWERが主力システムだ。現在、第3世代まで発展し、モーター/インバーター/発電機/減速機/増速機を一体化した。これに発電用に特化させた直列3気筒1.4ℓNA&1.5ℓターボを組み合わせる。シリーズ式では静かで高効率な発電に向けて、低いエンジン回転数で太いトルクが必要。そのため重量車ではターボを組み合わせた。効果はVCRターボ+e-POWERのエクストレイルでも実証済みである。
ホンダはe:HEV。システムはシリーズ式でありながら、中速域より上の速度域では車両負荷に応じてエンジンとタイヤを直結させる“エンジン走行モード”を組み合わせ、シリーズ式の物理的な弱点とする高速領域での燃費性能を補う。また、現行シビックからはブロックやクランクシャフトまで専用とする新型エンジン(e:HEV初の直噴)を搭載し、さらにアコードでは2基のモーターを平行軸に配置してスペース効率と出力特性を向上させている。CR-Vのように牽引ニーズ向けに特化した2段ギア付きモデルもある。疑似変速でリズミカルな走りが楽しめるS+ Shiftは、シビックe:HEVの走行モード、SPORTがルーツだ。
SUBARUはストロングハイブリッドのS:HEV。クロストレック、フォレスター、レヴォーグ・レイバックが搭載する。トヨタのTHSを応用しスバルが独自で開発したシステムである。発電モーター下部にフロントデフを配置するため駆動モーターとは平行軸を用いて結合。プロペラシャフトを通じ後輪へと駆動力を伝達する。AWDには新開発の電磁式電子制御カップリングを採用する。
ダイハツはシリーズ式のe-SMART HYBRIDを採用し、マイルド方式はなし。スズキはかつてストロング方式も販売していたが、現在はマイルド方式を主とする。
マツダは、CX-5に代表される一般的な横置きエンジン×マイルドハイブリッド、唯一無二のロータリーエンジン×シリーズ式、CX-60やCX-80が搭載する縦置きエンジン×マイルドハイブリッド式&PHEVがある。注目は縦置方式だ。エンジンとトルコンレス8ATの中間にモーターを内蔵し、そのモーター前後をクラッチで挟み込んだ。日産がかつてフーガやシーマ、スカイラインに採用していた機構と似ているが、マツダは8AT(有段ギア)の直前に後側クラッチを配置した。利点は、モーターのステーター直径を変えずにコアの長さによりモーター&トルクの強化が図れること。事実、コアの長さを約2倍(42.5→90㎜)に伸ばしただけで、マイルド式の約16㎰のパワーから、PHEVでは約175㎰へと高めた。期待のニュースは2027年、新型CX-5にSKYACTIV-Z×ストロングハイブリッドを導入することだ。横置き2.5ℓのSKYACTIV-ZにTHSをマツダ流にアレンジしたシステムが搭載されると予想する。
輸入車でも、1モーター2クラッチ、マイルド/ストロングハイブリッド、PHEVなど多彩なシステムを用意している。個人的にはルノーのE-TECHフルハイブリッドがイチ押し。楽しい走りと、優れた実用燃費の両立を高く評価している。




