【クルマの通知表】世界が認める本物。圧倒的な人気を誇るクロカン5ドア四駆「ジムニーノマド」のリアル世界

スズキ・ジムニーノマドFC/価格:4AT 292万6000円。ノマドは2026年1月に安全装備の充実を中心とした商品改良を実施。そのタイミングで受注再開を発表。価格も4AT/5MT共通の292万6000円に変更された(今回のテスト車は2026年9月登録の初期型モデル)。

スズキ・ジムニーノマドFC/価格:4AT 292万6000円。ノマドは2026年1月に安全装備の充実を中心とした商品改良を実施。そのタイミングで受注再開を発表。価格も4AT/5MT共通の292万6000円に変更された(今回のテスト車は2026年9月登録の初期型モデル)。

ノマドはシエラのホイールベースを340mm拡大した5ドア

 ジムニーノマド(以下ノマド)を街でちらほら見かけるようになってきた。納車は順調に進んでいるようで、新規受注も再開された。とはいえ新規の申し込み分は期間限定の抽選受注で、納車まで優に1年以上かかるという。まだまだ入手が難しい状況に変わりはない。

 インド工場で生産するノマドは、FCのみのモノグレードで、価格は2026年1月の一部仕様変更で4速AT/5速MTとも292万6000円に変更された。今回の取材車両は2025年9月登録の初期型である(個人所有車)。

 クルマの成り立ちとしては、Kカーのジムニーのエンジンを換装し、オーバーフェンダーを装着。タイヤサイズを変更するなどしたジムニーシエラ(以下シエラ)のボディを340mm延長し、リアドアを追加したモデルである。

リア

インパネ

 基本的な室内空間のつくりと広さは前後方向に拡大された以外はKカー規格のままと考えていい。シンプルで機能的という美点はしっかりと継承している。

 地上高が高く、補助ステップやグリップなどもないので、乗降性はあまりよくない。とくに後席はシートの座面が高いので乗り込みにくい。これは慣れが解消するレベルとはいえ、高齢者の送迎には適さない。

 乗り込んでしまえば、四角四面のボディのおかげで、車内を狭苦しくは感じることはない。車両感覚も把握しやすい。運転席に座ると、眼前に切り立ったウィンドウと直線基調のインパネが広がる。この景色は、いまどきかえって新鮮だ。左右の見切りは良好。ピラーの影響で死角が大きい印象はない。ドアミラーも見やすい。ルームミラーは映す範囲が狭く、スペアタイヤで隠される部分もある。

シート01

シート02

 メーターはいたってシンプルで視認性は良好。中央部に表示できる情報も多彩だ。だが一度に表示できる項目はひとつ。必要な情報を見るには呼び出すことになる。
 車内の小物収納スペースは標準状態ではあまり充実していない。だがサードパーティからいろいろそれを補う商品が発売されている。

 ノマドの乗車定員は4名。後席の居住空間は成人男性にも十分な広さが確保されている。シートは前席よりもだいぶ高い位置に座るレイアウトで、クッション厚も十分に確保されている。1段階ながらリクライニングも可能だ。

 荷室は広いとはいえないが、常識的な使い方には不満がない広さを確保した。シエラに比べるとフロア高が低くなり、荷物の積み下ろしがしやすくなっている。
 テールゲートは横開き式。スペアタイヤが装着されているので開閉時にやや重いのは気になるが、使い勝手そのものはいい。

意外によく走る印象。ATの多段化を望む

 走りについては、車重がシエラ比で約100kg重いうえに、1.5リッター直4エンジンのスペックは101ps/130Nmと共通。トランスミッションはギアレシオがワイドな4速ATということで、多くは期待できない。だが率直な感想として、意外によく走るという印象を持った

正面

真横

 ATは2速と3速のギア比が離れており、4速に早めにシフトアップする設定。ごく普通に走っていても頻繁にキックダウンするためビジーな感触もあるが、決してパワフルとはいえないエンジンをうまくコントロールしている。ドライバーにストレスを与えない加速フィールを実現したのはAT制御の成果だろう。だが、せめてATが5速仕様であれば走りの様子はだいぶ違ってくるに違いない。加速は一段と滑らかになり高速巡行時の静粛性や燃費もアップするだろう。現状では4速100km/h巡行時のエンジン回転数は3000rpmに達する。

 乗り心地は悪くない。ジムニーやシエラで気になったピッチングはそれほど目立たない。荒れた路面を走るとそれなりにNVHは感じるが、意外なほど姿勢はフラット。上質な乗り味に仕上がっている。直進性も外乱の影響を受けにくく、比較的安定している。

メーター

セレクター

 少々気になったのは、ステアリングフィールだ。操舵力が重くフリクション感があり、交差点を曲がるにも慣れるまではちょっと気を使う。また、操舵初期に応答遅れがあり、なかなか曲がってくれない印象を受けた。このあたりは乗用車ベースのクロスオーバーSUVとはだいぶ違う。一方で高速道路やコーナーでは、重めの操舵力のおかげで姿勢を乱しにくいというメリットもある。

 小回りがきかないのは弱点だ。シエラでは4.9mだった最小回転半径は5.7mまで拡大している。ボディサイズは3890×1645×1725mmとコンパクトだが、取り回し性はさほどよくない。また、取材車両は初期型のため先進運転支援装備が充実しておらず、ACCは40km/h以上で作動、車線逸脱警報機能しか搭載されていなかった。だが最新版は機能向上が図られている。

タイヤ

ラゲッジ

 ノマドは、総合的に満足度が高かった。クロカン四駆ならではの本格的な作り込みとフレンドリーさがうまくバランスしている。そして何よりカッコいい。この内容でこの価格であれば、十分に満足できるのではないだろうか。期待を裏切らないクルマである。

通知表/スズキ・ジムニーノマドFC/価格:4AT 292万6000円

チャート05

総合評価:61点

Final Comment
扱いやすいコンパクトサイズと意外に広い室内
パフォーマンスは実用十分。商品性はハイレベル

 小柄なSUVとしての強みを発揮し点数を稼いだが、走りで点数が伸び悩んだ。見切りはよく、車両感覚は把握しやすい。サイズは日本の道路環境にベストマッチ。室内は広く使いやすい。単にシエラの車体を340mm延長してリアドアを追加したわけではなく、後席の居住性向上が念入りに行われている。走りの印象はシエラとはだいぶ異なる。ピッチングが少なく、フラット感を感じるほど乗り心地はいい。ハンドリングはマイルド。デッドなステアリングフィールには少し違和感を感じた。パフォーマンスは及第点。実用上は不満のないレベルだ。

使い勝手

快適性能

動力性能

魅力

コース

エンブレム

諸元

フォトギャラリー

 

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