Honda、2050年交通事故死者ゼロに向けた、先進の将来安全技術を世界初公開

 Hondaは、全ての交通参加者が交通事故リスクから解放され、安心して自由に移動できる社会の実現に向けて現在開発中の、先進の将来安全技術「知能化運転支援技術」と「安全・安心ネットワーク技術」を世界初公開した。

▲Honda、AIや通信技術の活用により、安心して自由に移動できる社会の実現へ
▲Honda、AIや通信技術の活用により、安心して自由に移動できる社会の実現へ

 Hondaは現在、道を使う誰もが事故に遭わない社会の実現を目指し「Safety for Everyone」のスローガンのもと、ハード・ソフトの両面で安全技術の研究開発に取り組んでいる。

 事故に遭わない社会の実現に向けて、先日全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」を2030年に先進国で販売する全てのモデルへ展開すると発表。順次二輪検知機能の適用拡大やADAS機能の更なる進化に取り組むとしている。

また、二輪(バイク)においても、二輪安全技術の普及拡大、安全教育技術(Honda Safety EdTech)の展開なども進めることで、2030年に全世界でHondaの二輪・四輪が関与する交通事故死者半減※1と、その先の将来安全技術の早期確立による2050年交通事故死者ゼロという高い目標の達成を目指している。

※1:2020年比で2030年に全世界でHondaの二輪・四輪が関与する1万台当たりの交通事故死者数を半減

▲交通事故死者ゼロに向けたシナリオ
▲交通事故死者ゼロに向けたシナリオ

一人ひとりに合わせた運転時のヒューマンエラーゼロを目指す「知能化運転支援技術」

 Hondaはこれまで「ドライバーが不安を感じるミスの根本的な原因は何か?」を解明すべく、fMRI※2を活用した独自の“人を理解する技術”の研究開発を行ってきた。今回公開した「知能化運転支援技術」は、これまで培ってきた人の行動や状態を理解する技術に加え、ADASセンサーやカメラを用いて周辺リスクを把握することでAIが運転リスクを検出すると共に、最適な運転行動をリアルタイムで導き出し、それぞれのドライバーの認知状態と交通シーンに応じた適切な運転支援を行う世界初の技術となる。

 現在研究開発を進めている次世代の運転支援機能により、一人ひとりの運転行動や状態に合わせた“ミスが無い、リスクに近寄らせない”新たな安全・安心価値の提供を目指す。

※2:磁気共鳴機能画像法(脳が機能している活動部位を、血流の変化から画像化する方法の一つ)

▲知能化運転支援技術:提供価値について
▲知能化運転支援技術:提供価値について

 具体的には、知能化運転支援技術では3つの運転支援を提供する。1つ目は「ドライバーが運転操作ミスをしない工夫(操作アシスト)」だ。AIによるフラつき低減技術や、操作遅れを防止し、操作をアシストすることでドライバーを支援する。

2つ目は「ドライバーが見落とし、予知予測ミスをしない工夫(認知アシスト)」だ。視覚・触覚・聴覚でリスクを伝えることでドライバーの認知をアシストする。研究開発中の技術としてリスクインジケーターや、シートベルト制御、立体音響で伝えることを目指している。

3つ目は「漫然運転によるミスをしない工夫(覚醒アシスト)」だ。ドライバーが眠気や疲労を感じた際、クルマの制御によって軽減する。研究開発中の技術としてシートバックから振動刺激するバイオフィードバックの活用が挙げられている。

 今後は「知能化運転支援技術」をさらに進化させ、2020年代前半に要素技術確立、2020年代後半の実用化を目指し開発を継続していく。これにより、従来の“リスクに直面してから回避する”運転支援を“リスクに近づかせない”AI運転支援に進化させ、事故の原因の90%以上を占めるヒューマンエラー※3ゼロを目指す。

※3:出展:平成29年版交通安全白書 法令違反別死亡事故発生件数より

すべての交通参加者との共存へ。全ての交通参加者が通信でつながる「安全・安心ネットワーク技術」の構築

▲安全・安心ネットワーク技術:提供価値について
▲安全・安心ネットワーク技術:提供価値について

 Hondaは、誰もが事故に遭わない交通社会の実現に向け、通信技術の活用により、全ての交通参加者がつながり、共存できる「協調安全社会」の実現を目指している。

 「安全・安心ネットワーク技術」では、路側カメラ、車載カメラやスマートフォンからの情報を通じて検知した交通環境に潜むリスクをサーバーに集約し、仮想空間上で交通環境を再現。仮想空間上では、人の状態・特性を考慮した上で事故リスクの高い交通参加者の行動を予測、シミュレーションし、リスクを回避できる最適な支援情報を導き出す。それら支援情報を「協調型リスクHMI(ヒューマンマシンインターフェース)」により、四輪/二輪運転者や歩行者へ直感的に知らせることで、事故が起こりうる手前で未然に回避行動を促す。

 Hondaは、2030年以降の社会実装に向け、2020年代前半にシステム構築、効果検証を完了させ、2020年代後半に標準化することを目指し、業界・官民一体の取り組みを加速していくとしている。

▲「安全・安心ネットワーク技術」により仮想空間上で交通環境を再現し最適な支援情報を導き出す
▲「安全・安心ネットワーク技術」により仮想空間上で交通環境を再現し最適な支援情報を導き出す

■株式会社本田技術研究所 代表取締役社長 大津啓司氏 コメント
「Hondaは、すべての交通参加者の移動リスクをゼロにすることを目指し、『安全』と一人ひとりの『安心』を新たな価値として提供していきます。この価値を具現化する、将来安全技術を通じて、『2050年に全世界で、Hondaの二輪・四輪が関与する交通事故死者ゼロ』の実現に取り組んでいきます。お互いが思いやり、自由な移動が可能となる事故に遭わない交通社会の実現に向け、業界や官民一体で取り組みを加速させていきます」

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