マツダは2021年11月、安全運転をサポートする先進技術、コ・パイロット・コンセプト(CO―PILOT CONCEPT)を発表した。この技術は2022年に発売予定のラージ製品群に搭載を予定している。ラージ製品群とは、マツダが開発を進めてきた6気筒エンジンとFRプラットフォームをベースにしたニューモデルである。
コ・パイロットとは、飛行機の副操縦士を意味する。コ・パイロット・コンセプト(以下コ・パイロット)は、機長(ドライバー)に異常があったとき、運転を引き継ぎ、安全にクルマを止める技術。ホンダがレジェンドで実用化した自動運転レベル3、トラフィックジャムパイロット(渋滞運転支援機能)は、特定の条件下でシステム側が主体となって運転する。システムで対応しきれない場合は、ドライバーが運転する。
マツダのコ・パイロットは、「緊急時対応システム」といえる。ドライバーが安全運転できない状態になると、システムの判断で自動運転に切り替わる。だが、あらかじめ設定された「目的地に到着する」ことは目指していない。
ドライバーの状態をモニターしているコ・パイロットがリスクを感知した場合は、事故回避のための操作を自動で行う。ドライバーリスクの一例は、居眠り運転や急な体調変化だ。一般道でも高速道路でも、どちらでもドライバーのリスクに対応してコ・パイロットが作動する。
ドライバーが「居眠り運転をしている」とコ・パイロットが検知した場合、警告音や音声のアラートがある。ここでコ・パイロットが「ドライバーは運転ができない」と判断すると、「ドライバー異常のため、安全なところまで自動で走行し停車します」とコ・パイロットの音声が流れ、コ・パイロットが運転を引き継ぐ。
そして、安全な場所まで移動する間は、自動的にハザードランプやブレーキランプが点灯し、クラクションが鳴り響いて周囲に「このクルマは異常である」と知らせる。
コ・パイロットが安全に停車できる場所を見つけると、周囲の交通を乱さないように減速して停車する。そして、必要に応じて緊急通報を行う。
コ・パイロットが自動的に操作を行う際は、操作内容の音声ガイド「減速します」「停車します」などと流れる。これは同乗者の不安を鎮めるのに役立つ。
マツダは「コ・パイロットが社会の課題解決の一助となることを目指している。運転をやめると介護が必要になるリスクが2倍になるというデータがある。運転は心と体の健康維持につながる。過疎地域など移動手段の不足にもコ・パイロットがあれば安心していつまでも運転し続けていただき、人々の自由な移動の支え合いに貢献できると考えている」と新技術の可能性について語っている。