ドライバーの異常を検知するマツダ「コ・パイロット」の役割

▲コ・パイロットは周囲の交通に配慮しながらクルマを安全な場所に緊急停車させるシステム
▲コ・パイロットは周囲の交通に配慮しながらクルマを安全な場所に緊急停車させるシステム

 マツダは2021年11月、安全運転をサポートする先進技術、コ・パイロット・コンセプト(CO―PILOT CONCEPT)を発表した。この技術は2022年に発売予定のラージ製品群に搭載を予定している。ラージ製品群とは、マツダが開発を進めてきた6気筒エンジンとFRプラットフォームをベースにしたニューモデルである。

▲コ・パイロットがドライバーに異常が発生したことを感知した状態
▲コ・パイロットがドライバーに異常が発生したことを感知した状態

 コ・パイロットとは、飛行機の副操縦士を意味する。コ・パイロット・コンセプト(以下コ・パイロット)は、機長(ドライバー)に異常があったとき、運転を引き継ぎ、安全にクルマを止める技術。ホンダがレジェンドで実用化した自動運転レベル3、トラフィックジャムパイロット(渋滞運転支援機能)は、特定の条件下でシステム側が主体となって運転する。システムで対応しきれない場合は、ドライバーが運転する。

▲ハザードランプの点灯やホーンを鳴らしてコ・パイロットが運転を引き継いだことを周囲のクルマに知らせる
▲ハザードランプの点灯やホーンを鳴らしてコ・パイロットが運転を引き継いだことを周囲のクルマに知らせる

 マツダのコ・パイロットは、「緊急時対応システム」といえる。ドライバーが安全運転できない状態になると、システムの判断で自動運転に切り替わる。だが、あらかじめ設定された「目的地に到着する」ことは目指していない。

 ドライバーの状態をモニターしているコ・パイロットがリスクを感知した場合は、事故回避のための操作を自動で行う。ドライバーリスクの一例は、居眠り運転や急な体調変化だ。一般道でも高速道路でも、どちらでもドライバーのリスクに対応してコ・パイロットが作動する。

 ドライバーが「居眠り運転をしている」とコ・パイロットが検知した場合、警告音や音声のアラートがある。ここでコ・パイロットが「ドライバーは運転ができない」と判断すると、「ドライバー異常のため、安全なところまで自動で走行し停車します」とコ・パイロットの音声が流れ、コ・パイロットが運転を引き継ぐ。

 そして、安全な場所まで移動する間は、自動的にハザードランプやブレーキランプが点灯し、クラクションが鳴り響いて周囲に「このクルマは異常である」と知らせる。

▲警告音や音声・モニター内に警告画面の表示などでコ・パイロットの作動を知らせる
▲警告音や音声・モニター内に警告画面の表示などでコ・パイロットの作動を知らせる

 コ・パイロットが安全に停車できる場所を見つけると、周囲の交通を乱さないように減速して停車する。そして、必要に応じて緊急通報を行う。

 コ・パイロットが自動的に操作を行う際は、操作内容の音声ガイド「減速します」「停車します」などと流れる。これは同乗者の不安を鎮めるのに役立つ。

▲コ・パイロットが自動的に斜線変更を行なっているシーン
▲コ・パイロットが自動的に斜線変更を行なっているシーン

 マツダは「コ・パイロットが社会の課題解決の一助となることを目指している。運転をやめると介護が必要になるリスクが2倍になるというデータがある。運転は心と体の健康維持につながる。過疎地域など移動手段の不足にもコ・パイロットがあれば安心していつまでも運転し続けていただき、人々の自由な移動の支え合いに貢献できると考えている」と新技術の可能性について語っている。

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