マツダ・アンフィニRX-7タイプR 新車時価格:5MT 391万円(1994年式) 試乗記
スポーツカーにとって、ドライバーとクルマの一体感は、走りを左右する重要なポイントである。その点、RX-7は文句のない仕上がりを見せる。
コクピットはドライバーとクルマの一体感を密に実現する「いい感じ」のタイトさを持っている。低いアイポイントからはキックアップしたフェンダーの峰が見え、シートのサポート感もいい。RX-7のコクピットはそこに腰を据えるだけで走りへの期待が盛り上がる。同時に走りへの自信もわいてくる。
エンジンは13B型ロータリーターボ。255ps/6500rpm、30.0kgm/5000rpmのパワー/トルクを発生する。馬力当たりの重量が4.94kg/ps。1トン当たりのトルクは23.8kgmと素晴らしい。
ゼブラゾーンが始まるのは7500rpmからだ。全開で加速していくと、1速と2速ギアでは、文字どおりあっという間に7500rpmに達してしまう。ロータリーエンジンは電気モーターのようにスムーズに回転が上がり、パワーがわき出す。
RX-7が速いのは間違いのない事実だ。とくにターボパワーを最高の状態でキープする5000rpm以上の加速感は「鋭い」のひと言に尽きる。5000rpm以上をキープすることが、このリアルスポーツに本領を発揮させ、ライバルを震撼させる条件だ。
エンジンに対して、シャシーも負けていない。徹底した軽量化、低い重心と広いトレッド、重心から離れた部分の重量を軽くしたことによるヨー慣性の低下……シャシーに与えられた性能は、メーカーがリアルスポーツを自負するだけのことはある。これに人車一体感と車両感覚のよさが上乗せされているのだ。RX-7にとって、ワインディングロードは最高の熱さと楽しさが味わえるステージである。
ステアリングを切ると、ノーズがシャープに向きを変える。回頭性はすこぶるいい。しかし、そのゲインはいたずらに高くない。ステアリングはあくまでナチュラル。ドライバーに余計な神経を使わせたり、無用にナーバスにさせたりといったことはない。
手軽に扱えるスポーツカーとして、RX-7の性能は文句なしに高い。日本車で最もホットな1台だ。
(カー・アンド・ドライバー 1993年1月26日号掲載)
3rd・RX-7(FD3S型)は1991年12月に発売、2003年まで生産された。アンフィニは当時マツダが展開していたブランド名。97年10月からマツダRX-7に変更された。パワーユニットは13B型ロータリーターボ。生産台数は約5万3000台。価格は高騰中。事故歴のある車両でも高額で取引されている。最終型の走行3万㎞程度の無事故車は600万円のプライスタグがつく。全般的に400万円前後から程度のいい車両が手に入る。走りは抜群に気持ちいい
グレード=タイプR(1994年式)
新車時価格=5MT 391万円
寸法・重量=全長×全幅×全高4280×1750×1230mm ホイールベース2425mm 車重1260kg
エンジン=654cc×2・2ローターロータリー・ツインターボ(255ps/6500rpm 30.0kgm/5000rpm)
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/50R16+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
※3rdモデル/生産期間:1991〜2002年