バスに魅せられたプロアングラーがクルマの整備を徹底管理する理由。長葭友宏選手はこう考える

 本誌8月号で取材させていただいた長葭友宏(ながよしともひろ)さんは、霞ヶ浦・利根川を中心に活動するプロアングラーだ。介護タクシーの仕事とプロとしてバスフィッシングの大会に出場している。今年から琵琶湖で開催される大会にも出場するようになり、長距離運転の機会が増えた。

 長葭さんは「バスフィッシングを生活の中心に置いています。現在の居住地を決めたのも、霞ヶ浦や利根川水系に通いやすいからです」と語る。琵琶湖の大会に出場する際は、愛艇をランドクルーザーで牽引していく。

「私のボートはRanger Boats Z520C 20.9FTというもので、総トン数1100kg、長さ5.7m、幅2.4mです。トレーラーは、長さ6.64m、幅2.5m、最大積載1450kgで船を乗せた車両総重量1970kgになります」

 

 約2トンもの重い荷物を牽引して千葉県から琵琶湖まで、500㎞以上の道のりをドライブしていくのである。途中には箱根や鈴鹿といった厳しいアップダウンが待っている。ボートを牽引しての運転は、どんな点に気をつけているのだろうか。

「つねに周囲の交通状況には気を使っています。多くのドライバーは基本牽引に慣れていないので、他車は私のクルマの後ろに船がついている想定は一切していません。停止時のディスタンスや、すれ違い時の感覚、同一方向走行時のカーブ時幅寄せなど、通常では気にならないことでも、牽引時は細かい点まで警戒します」

長葭さんはバッテリー交換は毎回ご自身でおこなっている

 長葭さんは2007年式のランドクルーザー200でボートを牽引している。

「こちらの牽引車がトラックですと、多くのドライバーは私のクルマの後ろに大きなモノがあると想定した動きをしてくれるのですが、ランクルのような一般車の後ろに大きな船が牽引されているとはなかなか想定できないと思います。ですので、いつもの倍以上、周囲に注意して予測運転をしています」

 ボートを牽引して遠征する際には、相当な気遣いが必要になることがわかる。また、トレーラーのコンディションにも注意しなければならない。

「長距離運転時はトレーラーのハブコントロールも意識しております。トレーラーは非自走機材ですし、クルマのようにCPUがついているわけではありません。フレームにタイヤがついているような簡単な作りですので、長距離運転時には前もってハブやブレーキ、タイヤ、灯火類のメンテナンスはもちろん、走行時も定期的にパーキングなどでクルマを止め、ハブの温度をみたり、ブレーキローターやタイヤの片摩耗等をチェックしながら走っています」

バスボートの運転席。作業中なので散らかっているが、日常的には整理整頓を欠かさない

 精密機器を輸送するドライバーのような高い意識をもって安全運転に臨んでいることがわかる。また、トレーラー側に注意を払うだけでなく、クルマにも気配りした運転をしているという。

「クルマのほうは、ミッション保護も視野に入れた運転をしています。渋滞やストップアンドゴーが多い道路はセカンドスタートをしてミッションの負荷を軽減させる努力はしております。またブレーキをかける際もエンジンブレーキとポンピングブレーキを使い車両とヒッチ、ボートとどれかに著しい負荷がかからないよう意識しております」

バックアップ電源を利用すれば、バッテリーを外しても車載コンピュータのデータが保護される。交換後に電装品の再設定をしなくてもいい

「車両本体の基本メンテナンスの徹底はいうまでもないですが、つねに洗車、洗艇をし美化を心がけることにより部品の摩耗、破損、劣化にいち早く気づくことができます。運転時に異常が起きても素早く気づけるようになります」

 洗車、洗艇を通じてクルマ・ボートのコンディションを確認し、不具合があれば早急に手当する。長葭さんはちょっとした不具合ならば自身で対応できるように、知識と技術を習得してきた。プロのアングラーは大会のプログラムに記載された時間までに会場に到着しなければ、エントリーしていた競技に参加できない。当日の朝、エンジンがかからなければ準備を重ねてきた大会に参加できない事態に陥るのだ。そうした事態を陥らないよう、クルマのメンテナンス、とりわけバッテリーは整備の現場で利用するテスターを購入して慎重に管理している。

琵琶湖の大会に出場するようになって、ますますバスフィッシングが楽しくなった

 重いバスボートを牽引するためのクルマ選びは、どんな点に注意しているのだろうか。

「エンジンのパワー(ここでは排気量で考えます。レースではないのでスピードは重視していません)がなければ、長距離牽引時につねに高回転でエンジンを回すことになります。後ろに2トン近い重量打つを牽引するのでクルマに掛かる負荷ははかりしれません」と、パワー、排気量にゆとりがあることが重要だという。そして「ボディ剛性も重要です。たとえば下り坂のカーブの場合、後ろからガツガツとクルマが船に押されます。ボディフレームがきしむとカーブを曲がっているとき車軸の沈み込みが大きくなり、カーブ時に外に外にと押されてしまいます」と、牽引しているクルマならではの現象を教えてくれた。重いボートを牽引するため、トランスミッションにも大きな負荷がかかるという。

長葭さんはInstagram(nagayoshi_0729)で情報を発信している。釣りの経験がなくても釣果を上げた気分が味わえるコンテンツだ

 現場でボートを降ろすときにも注意が必要になる。

「ボートを降ろすためのスロープが舗装されているとは限りません。砂浜や岩場もあるため4WDであることが重要です」と、あらゆる事態を想定しているのである。だから、「万が一にも車両故障が起きた場合でも、どこでも安定した部品供給とサービスが受けられることが大切」で、TOYOTAディーラーのネットワークが充実していることがランクルを選ぶ理由なのだという。

『どこへでも行き、生きて帰ってこられる』をというコンセプトは、プロのバスフィッシャーが求める性能にマッチするのだ。

 長葭さんには、5月にACデルコ製バッテリーに交換していただき、3カ月ほど使ってもらった。交換直後から「エンジンのクランキングが違うし、エンジンの燃焼音が違う」と長葭さんは繊細な変化に気づいていた。その後、何か気づいたことはあるのだろうか?

「まず車両側ですが、電圧計2つで管理してますが、通常走行時平均13.6V高速走行時平均13.9V、停車時平均12.9Vになっております。新しいバッテリーに交換して、燃費がよくなりました、非牽引時7.8㎞/リッター、牽引時6.1㎞/リッターと、以前に比べ0.5㎞/リッター〜0.9㎞/リッターほどよくなっています」

 バッテリー交換でなぜ燃費が伸びるのか。ACデルコの関係者は「バッテリーを新品に交換したことで、充電にかかる無駄な発電負荷が減り、エンジンへの負担が軽くなります。また、オルタネーターの充電時間も短くなるので、燃費もよくなります」と説明してくれた。バッテリー交換でエンジンがかからないトラブルが回避でき、そのうえ燃費もよくなるのだ。長葭さんの燃費データはそういう事実を示している。

「高電圧が安定して供給されているのでエンジンの吹き上がりがよく、電装系のレスポンスが非常にいいです。今年は遠征が多く高速道路を利用する機会がとても増えました。ランドクルーザーは一般車の中でも比較的大きいオルタネーターを使用していると思いますが、高速時の高発電、高放電、エアコン使用をしていてもバッテリーの疲労感を感じることはありません。エンジンのクランキングも軽快で、遠征先での不安はいっさいありません」

左奥の長葭さんからボートのサイズ感がわかる

 長葭さんにはバスボートにもACデルコ製バッテリーを搭載してもらった。一般的にはACデルコの「ボイジャー・シリーズ」を利用するケースが多いのだが、長葭さんをバックアップするバスプロサポート(BPS)のメカニックの勧めで、ヘビー・デューティ・バッテリーを搭載している。

「ボートのほうは、夏になり、流れのある場所での釣行が増え、船を固定するパワーポールの使用頻度が跳ね上がります。それでも、バッテリーはへっちゃらです! 恐ろしいほどの外気温と直射日光、船舶から出る熱によりバッテリーにはまさに過酷な状況に置かれています。そうした環境下で充放電を高周期で繰り返しているのに、何の不安もなくしっかりエンジンを回してくれています。いつも遠征に行くときは予備で12Vのバッテリーを1つもっていってましたが、前回は持って行きませんでした。それくらい安心しています」

 ピンチを切り抜けるための準備を周到に重ねてきた長葭さんが、予備のバッテリーを持たないても大丈夫と判断したのだから、ACデルコ製バッテリーに交換した効果は大きい。

 長葭さんは今年から琵琶湖で開催される大会(MLF Japan Biwako BMC Pro Series)に出場している。

「琵琶湖については何もわからない状態です。大会では上を目指す立場なので、いろいろ勉強しています。本当に面白くて楽しい」と長葭さんは琵琶湖での大会が大きな刺激になっていると喜びを語る。とはいえ悩みがないわけではない。

「7月の大会(競技は2日間)で使った燃料は、1040リッターでした」

約5410㎞を走行してアウディは2010年のル・マン24時間を制覇した

 ボートの燃費が悪いとは聞いていたが、1040リッターとはすごい。燃費20㎞/リッターのクルマなら、2万800㎞走れる計算だ。参考までに、ル・マン24時間の最長走行記録は約5410㎞(2010年、アウディR15TDI)である。

  長葭さんは今回の琵琶湖遠征で練習を含めると9日間、ボートを運航し1040リッター消費した。繰り返しになるが、9日間でもクルマを2万㎞を走らせるのは相当に大変だ。長葭さんは「ボートの燃費は厳密には計算できませんが、だいたい0.5㎞/リッター程度ではないでしょうか」と語っている。ドライバーのためにも、プロアングラーのためにもガソリン価格が下がってほしいと願うばかりだ。

長葭友宏さんが今回交換したACデルコのプレミアムゴールド・シリーズは、充電制御車に対応したECOバッテリーで高い充電受入性能が特徴。スタンプ工法によるフレーム型格子の採用で高温下での耐久性が非常に高いバッテリー

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