【ボクらの時代録】2011年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。日産リーフ ( ZEO型)のヒトに優しいゼロエミッション

リーフメイン

世界に先駆け「電気で走る快感」を提案

 ピュアEVのリーフは、ピストンやバルブが内部で激しく上下するエンジンと異なり、電気モーターが動力源。音や振動は、ほとんど発生しない。低速トルクが分厚いため(モーターは回転数ゼロで最大トルクを発生)、トランスミッションも必要ない。もちろん排出ガスもない。エンジン設計者がこれまで必死に取り組み、未だ実現していない「理想の特性」を、わずか1個のモーターで達成している。

走りリア

 実際、リーフは静かに、そして滑らかに走る。加速性能自体は、必要にして十分。加速時に聞こえてくる音は、ヒューンというモーターの軽いハミング音だけだ。この静粛性と滑らかな印象に対抗できるエンジンは、センチュリーのV型12気筒くらいだろう。

 これだけ静かだとタイヤや風に起因する音が耳につきやすくなるが、リーフは対策をしっかりとしている。総合的な静粛性は高級車並み。全域で不快と感じるほど音は高まらず、新時代のクルマに乗っている実感が味わえる。乗り心地も快適な印象。電池を床下に搭載することで低重心を達成しているため、フットワークも意外なほど良好だ。

 一方、弱点は航続距離だ。リーフの一充電当たりの航続距離は200km(JC08モード)。これはカタログ値で、渋滞やエアコンの使用、急加速、登坂などの要因が加わると短くなる。使用条件にもよるが、実用で100~120km程度と考えておくのが無難だろう。しかも、整いつつあるとはいえ、充電ステーションの数はまだ少ない。つまり、リーフを購入するなら、ある程度の不便は覚悟する必要がある。半面、長距離走行をする機会が少なく、近距離用やセカンドカー的に使う場合は、十分に実用的という評価も成り立つ。
(岡崎五朗/2011年5月号)

インパネシート

初代日産リーフのプロフィール

 リーフは持続可能なゼロエミッション社会に向けた日産の回答。初代は量産型BEVの先駆として誕生。日本では2010年12月に販売がスタートした。車名のリーフ(Leaf)は、植物の葉に由来し、ゼロエミッション車であることを象徴している。世界中のメーカーが次世代カーの決定版としてBEV開発に舵を切る中、日産がいち早く市販にこぎつけたのは、長時間にわたる地道な開発と研究の成果だった。

メカ01メカ02

 リーフは80kW(109ps)のモーターと、総電力量24kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。BEVならではの静かでスムーズな走りを実現する。1充電あたりの航続距離はJC08モードで200km。カタログでは「きわめてレスポンスのいい加速と優れた操縦性が楽しめます。さらに専用のITシステムにより、携帯電話やパソコンから各種の情報提供や車両コントロールが可能。いつでもクルマと人を繋ぐことで、快適なEVライフをサポートします」とアピール。単なるエコカーではなく、新世代のクルマであることを丁寧に説明した。初代リーフは、充電設備の拡充など社会インフラの遅滞もあり、予想より販売台数は伸び悩む。だが社会に電気自動車の魅力を認知させた意義は大きかった。

ラインアップ

2011年の時代録/テレビが地上デジタル放送に

【出来事】大阪府知事・市長のダブル選挙で橋本徹が代表の維新の会が圧勝/テレビ放送が地上デジタル放送に移行/小笠原諸島がユネスコ世界自然遺産に登録される/テレビドラマ『マルモのおきて』に出演した子役の芦田愛菜と鈴木福が大人気に/女子サッカーのW杯でなでしこジャパン初優勝/世界体操競技選手権で内村航平が、史上初の個人総合3連覇【音楽】オリコンシングル年間1位AKB48『フライングゲット』【映画】邦画配給収入1位『コクリコ坂から』洋画興行成績1位『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』

 

2011年・日産リーフ主要諸元

グレード=リーフG
新車時価格=406万350円
全長×全幅×全高=4445×1770×1545mm
車重=1520kg
パワートレーン=モーター(109ps/28.6kgm)
JC08モード一充電航続距離=200km
サスペンション=前ストラット︎後トーションビーム

表紙

 

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