森永卓郎のミニカーコラム「プレイアートのバットモビル」

バットモビルのダイナミックな印象を再現

 プレイアートは、1970年代から80年代の香港製小スケールミニカーを代表するブランドだ。“プレイアート”のブランドで正式輸入されていただけでなく、マスダヤも“ポケッター”というブランドで輸入販売していた。詳しい資料が残っていないので、正確な情報はわからないのだが、プレイアートは1965年から1983年までミニカーを製造していたらしい。

森永卓郎さん似顔絵

もりながたくろう/1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する“博物館(B宝館)”を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日開館)

 ただ、少なくとも1960年代のプレ イアートというのをボクは見た記憶がない。プレイアートやマスダヤポケッターが店頭に並んでいたのは1970年代からのことだったから、日本では知られていない1960年代のビンテージ・プレイアートが存在するのかもしれない。

 プレイアートの外見上の最大の特徴は、銀メッキされた扇型の模様がホイールについていることで、ホイールがピザのように見える構造になっている。ただ、初期のプレイアートは、それとは異なり、銀色メッキされたお椀型のキャップがはめられている。このタイプのホイールは、1970年代初頭まで付けられていた。

 今回ご紹介するバットマンカーも、そのうちの1台だ。ボク自身、入手経路を覚えていないのだが、正式輸入されたプレイアートのラインアップには入っていなかったと思う。だからプレイアートのかなり初期のミニカーだろう。

 小スケールのバットマンカーは、ハスキー、コーギージュニア、グリップキャラクター、そして近年のホットウィールなどからリリースされている。他ブランドと比べると、プレイアートのモデルは作りが甘く、デカールの貼り込みや塗装などの細かい作り込みがいっさいされていないために、どうしても見劣りがする。ただ、バットマン“バットモビル(バットマンカー)”のダイナミックな造形をかなり上手に表現していて、ボクはプレイアートの最高傑作のひとつだと考えている。

 最近の香港製ブームのおかげで、ネットオークションでは、プレイアートのモデルに軒並み数千円の値段がつくようになっていている。だが、ボクはどうしても「トミカの安い代替品」のイメージから抜け出せなくて、いまだにプレイアートのモデルを全部集めようとは思えない。

 それでも、この初期型ホイール時代のプレイアートは、機会があれば、ラインアップをそろえていきたいなと考えている。ただ、残念ながら、出物がほとんどないのが現状である。

 

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