【Front Screen/安東弘樹】BEVが普通になる時代。「いよいよだ」と感じました

Car Essay/クルマに乗って見える世界

2022年後半のメーカー&インポーター主催のPRESS向け試乗会は全7モデル中6モデルがBEVでした。日本もいよいよ「BEVの時代」と実感しました

2022年後半のメーカー&インポーター主催のPRESS向け試乗会は全7モデル中6モデルがBEVでした。日本もいよいよ「BEVの時代」と実感しました

輸入車ではBEVがいまや主流。世界は変化しています!

 私は日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)の選考委員を拝命しておりますので、メーカーやインポーター主催の新型車の試乗会に参加させていただきます。2022年も数多くの試乗会に参加しました。それを先日、振り返ってみたのですが、年の後半になると顕著な特徴が見られました。驚くほど、BEV(純電気自動車)の割合が高くなったのです。

 12月初旬のアウディQ4 e-tronをはじめ、メルセデスEQ・EQS、VW・ID.4など直近7台のうち6モデルがBEVでした。正直、驚きました。多くがドイツ・メーカーで占められているとはいえ、日本や韓国メーカーもありますので、世界の変化を感じずにはいられません。

アウディ

TD.4

 日本でのBEVのシェアは1%未満。日本にいるとまだピンと来ない、という方が多いとは思いますが、いよいよドイツを中心とした輸入車から、BEVの流れが本格化するのは間違いありません。輸入車は近い将来「BEVしか選択肢がない」という状況になる可能性があります。

 そこで問題になってくるのは、充電器不足です。輸入車ユーザーは、割合として都市部のマンションに住まわれている方も多いというデータがありますのでなおさらです。お隣の韓国では2022年から新築マンションの駐車場には部屋数の5%以上のBEV用充電器の設置が義務になっています。

 私は千葉県の一戸建てに住んでおります。ソーラー発電と将来の電動化に備えて200Vの電源を設置しました。一戸建てにお住いの方でしたら、クルマがBEVになっても、さほど困ることはないといえますが、BEV化が進む輸入車(とくにドイツ車)ユーザーが多く居住される都市部のマンションではインフラに悩む、という事態が発生しそうです。

ヒョンデ

eK xEV

 ちなみに都市部より郊外や地方の一戸建てに住むユーザーが多い軽自動車は、輸入車とは逆にBEVに対して興味がある方が少ないのが現状です。ただし今後は、この傾向も変化しそうです。2022年9月号で私は日産サクラに乗ったときの感動?を伝えましたが、実際にBEVに触れると多くの方は、その魅力に気づくのではないでしょうか?

 静かで、加速がよく、しかも最近、拠点が減っているガソリンスタンドに行かなくて済むのです。充電は家に帰って電力需要が少なく電気代も安い夜間にすればOK。一晩どころか数時間で満充電になります。ソーラー発電機が付いているお宅で、蓄電池が装備されていたら、電気代は驚くほど掛かりません。サクラやeKクロスEVは満充電で掛け値なく120〜150km走りますから、これで困る方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

サクラ

 こんなことを申し上げると私を「BEV推進論者」と評する方もいらっしゃるでしょう。しかし、私はガソリンで走るMTのクルマを一生、手放すつもりはありません。ただ、移動手段としてクルマを考えている方で、環境が整っていれば、BEVを選択して後悔はないと思います。環境負荷の面でもプラスですし、皆が幸せになるのではないでしょうか。

 単純にエンジン派かBEV派かではなく、上手く共存していく時代がしばらくは続くと思いますし、そうなるべきだと思っています。実はヨーロッパではBEV化一辺倒だった流れに変化が見られます。やはり急激に、どちらかだけになるのは健康的ではない、ということです。先進国の中では極めてBEV化が遅れている日本は、いいバランスが取れるかもしれません。

サクラ02

[プロフィール]
あんどうひろき/フリーアナウンサー。1967年、神奈川県生まれ、元TBSアナウンサー、現在は独立し、TBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s ~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、MBS「朝日奈央のキラめきスポーツ〜キラスポ〜」、テレビ東京「ミライの歩き方」、bayfm78「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。趣味・特技はモータースポーツ、クルマ全般、弓道、スキー。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員

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