【Front Screen by 安東弘樹】「いつか」ではない、新しいクラウンの誕生。これはニュースです!

トヨタ・クラウン・クロスオーバー2.5ℓハイブリッドGアドバンスド・レザーパッケージ 価格:THS 570万円 16代目となる新型は、素直に「カッコいい」と感じる斬新な造形。魅力的です

トヨタ・クラウン・クロスオーバー2.5ℓハイブリッドGアドバンスド・レザーパッケージ 価格:THS 570万円 16代目となる新型は、素直に「カッコいい」と感じる斬新な造形。魅力的です

いいクルマであることは確か。でも評価は難しい

 話題のクラウンに試乗しました。横浜みなとみらい地区から横須賀近辺までの往復、およそ100km弱を2時間掛けて走り、様々な事を体感できました。率直に感想を述べさせて頂きます。

 今回乗ったのはクロスオーバーのGアドバンスドレザーパッケージ。2.5ℓのNAエンジンとモーターを組み合わせた、いわゆるシリーズ・パラレルハイブリッド車です。駆動用バッテリーは新開発の「バイポーラ型、ニッケル水素電池」。

 スペックはエンジン単体が186ps/221Nm モーターはフロント119.6ps/202Nm、リア54.4ps/121Nm。ちなみに今回のクラウンは歴代初めての「FFベースの4輪駆動」、という事もお伝えしておきます。

スタイリング

 様々な物議を醸しているクラウンですが、まずは、そのスタイリングに私は好感を持ちました。従来とは異質の造形ですが、今回からグローバルに展開されるので、これぐらい新鮮な方がベターではないでしょうか。とくに北米や中国の方から支持されるように思います。

 車両カテゴリーは、車名通りの“クロスオーバー”。同様のキャラクターのシトロエン C5Xより、まとまりがあり、素直に「カッコイイ」と思いました。とくにサイドビューに関しては惚れ惚れする、という表現を使わせて頂きます。正直、これまでクラウンを見て「カッコイイ」と感じた事は無いので、乗る前からポジティブな気持ちで試乗に臨みました。

 ホテルの駐車場で初めてクラウンに乗る際、メーカーが主張している様に、乗り込む時の高さがちょうど良いと感じました。好印象です。室内は明るいベージュ。私が最も好きな内装色なので、とても落ち着き、シートも悪くありません。ただしインパネやコンソールのデザインが若干、ゴチャゴチャしており、手に触れる部分の質感も今ひとつ。もう少し高いクオリティを想定していましたので、プラスチック類の素材や使い方などに工夫があればと思います。またドアを閉めた時の音が、バタン!という高級車らしからぬ音は拍子抜けしました。

インテリア

 走り出します。高速道路に乗る前の低速域では、ハイブリッド制御の緻密さや、ブレーキタッチの自然さに感心しました。この辺りから、私の混乱が本格化しました。すでにお気づきかもしれませんが新しいクラウンは、ポジティブな感想とネガティブな感想が交互に襲って?来るのです。混乱しつつも高速道路に乗り、合流レーンで加速した時も、必要にして十分な加速性能、という感覚と、いや待て「この試乗車は570万円だぞ。だったら、もっと胸のすく加速感じゃないとダメなのではないか?」と混乱が続きます。

 交通量が多い首都高速から空いている横浜横須賀道路に入り、制限速度で走っていると、乗り心地も良く、フラットライド感に感心しました。ところが、工事区間が終了し流れがスムーズになったところで再加速した際、後方の「ハイエース」に車間を詰められてしまいました。アクセルべた踏みでも、更に迫ってきたので、レーンを譲ったのですが、若干、ショックでした(笑)その時に気になったのが加速時(エンジン高回転時)にフロアに伝わってくる振動でした。フットレストに乗せた左足がビリビリする感じです。

走り

 高速道路を降りて湘南の住宅街を抜ける登坂路でもトルク不足を感じて、またしても混乱。別に遅い訳では無いのですが、グイグイ力強く上っていく、という感覚が無いのです。しかし快適性とハンドリングは好印象。日差しが強い日でしたが、ベンチレーターが付いたシートは気持ちよく、きついコーナーでもライントレース性は見事、破綻無く曲がってくれました。

 海を見ながら走る湘南の道は爽快であるはずなのですが、私の心は、モヤモヤしていました。決して不快では無いのに、何か引っ掛かる、といった状態です。その心持ちを分析してみると、「クラウン」という名前、というより、このクルマを「高級車」という基準で判断した場合、どのような評価をして良いのか難しい、という事なのだと思います。そこで試乗直前にTOYOTAの広報の方が言った言葉を思い出しました。「安東さん。このクルマは“大衆の”高級車です。それを踏まえての評価を、お願いします!」そう、このクルマは「いつかはクラウン」ではない「新しいクラウン」。受注は好調との事。新型で幸福を感じるユーザーが多ければ、それが「クラウン」の存在意義なのかもしれません。

リア

筆者プロフィール|安東弘樹

あんどう ひろき/フリーアナウンサー。1967年、神奈川県生まれ、元TBSアナウンサー。現在は独立し、TBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s〜愛車のこだわり〜」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、MBS「朝日奈央のキラめきスポーツ〜キラスポ〜」、テレビ東京「ミライの歩き方」、Bayfm78「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。趣味・特技はモータースポーツ、クルマ全般、弓道、スキー。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員

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