今シーズンは長期にわたって寒波が来襲し、東北や北陸では大雪に見舞われた。太平洋側でも雪が降った地域があるが、今後も注意したい。2月から3月にかけては、太平洋側の都市部でも大雪が降る可能性がある。ノーマルタイヤのスリップによって大渋滞が発生していることが、たびたびニュースとなっている。降雪時にクルマを使用する場合はタイヤチェーンの携行だけでなく冬タイヤの装着を基本とするべきだ。
冬タイヤとしてはスタッドレスタイヤが最も安全性が高い。最新のオールシーズンタイヤは氷雪路グリップを高めたものもあるが、凍結路グリップは不安が残る。冬の路面で最も危険なのは凍結路だ。雪が降らなくても雨水が凍ってスリップ事故が起きることもしばしば。とくに立体交差や橋の上は凍結しやすく気をつけたい。
今シーズンは凍結路グリップで評価の高いブリヂストンのブリザックが新製品をリリースした。最新作のブリザックWZ-1はブリヂストンの商品設計基盤技術“エンライトン”を乗用車用スタッドレスタイヤで初めて搭載している。
もちろん最重要課題である凍結路グリップを最重視して引き上げているが、エンライトンの効果は多岐にわたる。たとえば今回、ジープ・チェロキーにブリザックWZ-1を装着して都内近郊を走ってみたが、言われなければ「静かなサマータイヤだ」としか思えないほど、ドライ路面の走行品質が高い。これはエンライトンの効果が発揮されている証拠だ。エンライトン技術によりタイヤは薄く軽く仕上げてある。ばね下が軽くなることでばね下共振が軽減され、連続した凹凸や段差ショックの収まりが良くなる。ショックそのものも軽減されスッキリ。さらにスタッドレスタイヤは接地面のコンパウンドがソフトなので、路面への当たりも柔らかい。これらの相乗効果で走行フィールが上質に感じる仕組みだ。
以前のスタッドレスタイヤは凍結路グリップを得るため接地面のゴムを極端に柔らかくせざるを得なかった。ゴムの柔らかさをできるだけ感じさせないためサイドウォールを固めていた。結果的に「柔らかいのに乗り心地は固い」「突き上げショックを感じる」という乗り心地のデメリットが生じていた。最新のブリザックWZ-1はエンライトン技術とともに接地面のサイプにL字タンクサイプを初採用。サイプの両端がブロック端まで貫通しない形状に改良された。つまりブロック剛性が上がるので、サイドウォールを過度に固める必要がない。エンライトン技術により剛性の不均一をなくし、変形の集中を抑制。接地圧の偏りも是正され、タイヤ全体で路面凹凸を受け止める。サイドウォールを固めなくてもハンドリング時の剛性が確保できるというブレークスルーが成立した。
L字タンクサイプは細かいパーツだが、実は注目すべき新技術だ。凍結路グリップを引き上げる効果のほか、一般的なサイプのようにブロック端を貫通していないため、ドライ路面での静粛性にも寄与する。耐摩耗性や偏摩耗抑制にもメリットが大きい。加えてコンパウンドには柔らかさをキープするロングステイブルポリマーを配合し、長期使用時の性能劣化を抑えた。
12月に実施した北海道の試乗では低温ウエット路面や凍結路、部分的な凍結が見え隠れする氷雪路でも試乗したが、さまざまな路面状況でも安心して走れる。ドライ路面の静粛性や上質な走行フィールを含めて冬季における優れたオールマイティなタイヤだ。凍結路で滑っても粘りがあり、コントロールしやすい点も魅力。摩耗しても旧型の新品時よりグリップは高いまま維持される。サイズラインアップは119種と幅広く用意され、おそらくブリヂストンのエンライトン技術を多くのユーザーが体験する初の乗用車用スタッドレスタイヤとなるだろう。
