第6世代となる新型トヨタRAV4がワールドプレミア。日本での発売は2025年度内を予定

トヨタが人気SUV「RAV4」のフルチェンジモデルを世界初公開。“Life is an Adventure”をコンセプトに、都市部の生活でもアウトドアでも、従来以上にあらゆるライフスタイルにフィットする相棒のような存在となることを目指して開発。車種展開としては街中で目を引く洗練されたデザインを有した「CORE」、冒険心をさらに掻き立てるラギッド感を強調した「ADVENTURE」、走りの楽しさを機能とともに表現した「GR SPORT」という3つのスタイルを設定。パワートレインには新開発のプラグインハイブリッドシステムと、改良版のハイブリッドシステムを採用

 トヨタ自動車は2025年5月21日、ワールドワイドで人気のクロスオーバーSUV「RAV4」の新型モデルを世界初公開した。

▲第6世代となる新型トヨタRAV4が世界初公開。日本での発売は2025年度内を予定

▲第6世代となる新型トヨタRAV4が世界初公開。日本での発売は2025年度内を予定

 今回の全面改良で第6世代に移行する新型RAV4は、“Life is an Adventure”をコンセプトに、都市部の生活でもアウトドアでも、従来以上にあらゆるライフスタイルにフィットする相棒のような存在となることを目指して開発。車種展開としては街中で目を引く洗練されたデザインを有した「CORE」、冒険心をさらに掻き立てるラギッド感を強調した「ADVENTURE」、走りの楽しさを機能とともに表現した「GR SPORT」という3つのスタイルを設定し、パワートレインには新開発のプラグインハイブリッドシステムと、改良版のハイブリッドシステムを採用する。また、知能化技術としてソフトウェアづくりプラットフォームの「Arene(アリーン)」をトヨタ車で初めて導入した。

▲車種展開としては街中で目を引く洗練されたデザインを有した「CORE」(写真・上)、冒険心をさらに掻き立てるラギッド感を強調した「ADVENTURE」(同・中)、走りの楽しさを機能とともに表現した「GR SPORT」(同・下)という3つのスタイルを設定。写真は3スタイルともプロトタイプ

▲車種展開としては街中で目を引く洗練されたデザインを有した「CORE」(写真・上)、冒険心をさらに掻き立てるラギッド感を強調した「ADVENTURE」(同・中)、走りの楽しさを機能とともに表現した「GR SPORT」(同・下)という3つのスタイルを設定。写真は3スタイルともプロトタイプ

 注目のPHEVおよびHEVのパワートレインから紹介していこう。まずPHEVには、トヨタ初搭載となる最新の第6世代ハイブリッドシステムをベースに、大容量の駆動用バッテリーや高出力充電器対応を組み合わせた、新開発のプラグインハイブリッドシステムを採用する。システム自体はフロントアクスルへのシリコンカーバイド半導体の採用などにより、小型・高効率化を実現。駆動伝達系では損失低減を図ることで燃費を向上させ、合わせて電池の大容量化を実施してEV航続距離を従来の95kmから150km(開発目標値)まで延伸した。また、「電動車でも」ではなく「電動車だからこそ」ユーザーが満足できる走りを目指し、最新のハイブリッドシステムと電動ブレーキシステムを組み合わせて搭載。モーター出力は12%向上し、新世代のRAV4らしいワクワク感の高まる走破性を実現する。さらに、V2H(ビークルtoホーム)にも対応して利便性を向上させ、様々な生活シーンで電気を活用した体験を提供。DC急速充電機能も追加し、50kW(最大125A)以上の急速充電を使用した場合、約30分で満充電の80%までの充電を可能とした。

 一方でHEVについては、トランスアクスル、パワーコントロールユニット、電池等の改良により、モーター出力を向上。シームレスな加速感に加え、より軽やかな出足とダイレクトな駆動力レスポンスを実現している。

▲PHEVにはトヨタ初搭載となる最新の第6世代ハイブリッドシステムをベースに、大容量の駆動用バッテリーや高出力充電器対応を組み合わせた、新開発のプラグインハイブリッドシステムを採用する

▲PHEVにはトヨタ初搭載となる最新の第6世代ハイブリッドシステムをベースに、大容量の駆動用バッテリーや高出力充電器対応を組み合わせた、新開発のプラグインハイブリッドシステムを採用する

 デザイン面に関しては、RAV4らしさをいっそう魅力的に体現したことがトピックだ。エクステリアは、①Big Foot(大径タイヤを強調)②Lift-up(高い走破性を想起)③Utility(使いやすい荷室空間)をポイントとしてデザイン。3つの要素で「どこへでも行けそう」なRAV4らしさを表現する。ボディサイズは後述する主力モデルの「CORE」で全長4600×全幅1855×全高1680~1685mm/ホイールベース2690mmと、現行モデルとほぼ同寸に仕立てた。

▲エクステリアはBig Foot(大径タイヤを強調)、Lift-up(高い走破性を想起)、Utility(使いやすい荷室空間)をポイントとしてデザインする。写真は上より「CORE」、「ADVENTURE」、「GR SPORT」

▲エクステリアはBig Foot(大径タイヤを強調)、Lift-up(高い走破性を想起)、Utility(使いやすい荷室空間)をポイントとしてデザインする。写真は上より「CORE」、「ADVENTURE」、「GR SPORT」のプロトタイプ

 インテリアについては、SUVの高い機能性をベースに、ユーザーの使いやすさやエンターテインメント体験を可能にする空間を構築する。具体的には、インストルメントパネル上面を約40mm低く配置して見晴らしの良い視界を確保することで運転のしやすさを実現し、合わせてスマートフォンとの多彩な連携に応えるデジタルデバイスの進化と最適配置を実施。さらに、モダンかつシンプルに構成した収納等の機能装備で使い勝手を向上させた。

 デザイン面では、ディスプレイやシフトなどの各種機能を島(アイランド)のように一体的に配置するアイランドアーキテクチャーを採用。SUVとしての平衡感覚がつかみやすい水平なインストルメントパネルに加えて、目線移動が少ないナビゲーションおよびメーターと、手が届きやすいレジスター配置で操作性を高める。また、コンソールはスマートフォンの急速充電やUSB充電の配置を工夫し、使いやすさを追求。普段はアームレストとして使用でき、裏返すとトレイにもなるリバーシブルコンソールボックスを導入する。また、シフトパネルはシフトスイッチ、電動パーキングブレーキ(EPB)およびブレーキHOLDスイッチを集約して、運転中の視線移動や動作を最小化。同時にシフトバイワイヤを採用し、シンプルクリーンなデザインを実現するとともに、ピアノブラックによる仕上げで上質さを付与した。さらに、ラゲッジは従来のボディサイズはそのままに荷室容量を733リットルから749リットルに拡大。合わせてリアシート折りたたみ時の角度をさらにフラットにすることで、長尺物の収納性も向上させた。

▲インテリアにはディスプレイやシフトなどの各種機能を島(アイランド)のように一体的に配置するアイランドアーキテクチャーを採用。SUVとしての平衡感覚がつかみやすい水平なインストルメントパネルに加えて、目線移動が少ないナビゲーションおよびメーターと、手が届きやすいレジスター配置で操作性を向上させる。写真は上より「CORE」、「ADVENTURE」、「GR SPORT」のインテリア

▲インテリアにはディスプレイやシフトなどの各種機能を島(アイランド)のように一体的に配置するアイランドアーキテクチャーを採用。SUVとしての平衡感覚がつかみやすい水平なインストルメントパネルに加えて、目線移動が少ないナビゲーションおよびメーターと、手が届きやすいレジスター配置で操作性を向上させる。写真は上より「CORE」、「ADVENTURE」、「GR SPORT」のインテリア

▲コンソールはスマートフォンの急速充電やUSB充電の配置を工夫し、使いやすさを追求。普段はアームレストとして使用でき、裏返すとトレイにもなるリバーシブルコンソールボックスも装備

▲コンソールはスマートフォンの急速充電やUSB充電の配置を工夫し、使いやすさを追求。普段はアームレストとして使用でき、裏返すとトレイにもなるリバーシブルコンソールボックスも装備

 3つのスタイルの特徴を紹介していこう。まず、街中で目を引く洗練されたデザインを有した「CORE」は、ボディ全体の塊で構成された“SUVハンマーヘッド”の採用によってタフさを具現化。また、バンパー一体グリルを配して、先進感と強さを立体的に表現する。ボディサイズはHEV/PHEVのE-Fourで全長4600×全幅1855×全高1680(HEV)~1685(PHEV)mm/ホイールベース2690mmに設定した。

▲「CORE」はボディ全体の塊で構成された“SUVハンマーヘッド”の採用によってタフさを演出。また、バンパー一体グリルを配して先進感と強さを立体的に表現する

▲「CORE」はボディ全体の塊で構成された“SUVハンマーヘッド”の採用によってタフさを演出。また、バンパー一体グリルを配して先進感と強さを立体的に表現する 

 次に冒険心をさらに掻き立てるラギッド感を強調した「ADVENTURE」は、ワイドトレッド化と専用ホイールアーチモール、シンプルな造形ながら縦比率の高い大型グリルを配備して、SUVらしい力強さを創出。合わせてハンマーヘッドのノーズピークを高く設置することで、オフロード感の強いプロポーションを強調した。ボディサイズはHEV・E-Fourで全長4620×全幅1880×全高1680mm/ホイールベース2690mmに設定している。

▲「ADVENTURE」はワイドトレッド化と専用ホイールアーチモール、シンプルな造形ながら縦比率の高い大型グリルを配備して、SUVらしい力強さを実現。合わせてハンマーヘッドのノーズピークを高く設定することで、オフロード感の強いプロポーションを強調する

▲「ADVENTURE」はワイドトレッド化と専用ホイールアーチモール、シンプルな造形ながら縦比率の高い大型グリルを配備して、SUVらしい力強さを実現。合わせてハンマーヘッドのノーズピークを高く設定することで、オフロード感の強いプロポーションを強調する

 そして走りの楽しさを機能とともに表現した「GR SPORT」は、モータースポーツの知見を活かし、機能美を追求したデザインや足回りのチューニング、ボディ剛性の強化などを実施。市街地やハイウェイ、ワインディングなど様々な道で安心して操れ、走る楽しさを味わえるスポーティなモデルに仕立てる。フロントマスクには進化したFunctional MATRIXグリルを配備。空力性能を高める前後スポイラーやホイールデザインを採用し、さらにワイドトレッド化(+20mm)やサスペンション・EPSの専用チューニング、専用軽量アルミホイールの採用などによって、高い操縦安定性を実現した。ボディサイズはPHEV E-Fourで全長4645×全幅1880×全高1685mm/ホイールベース2690mmに設定している。

▲「GR SPORT」はモータースポーツの知見を活かし、機能美を追求したデザインや足回りのチューニング、ボディ剛性の強化などを実施。フロントマスクには進化したFunctional MATRIXグリルを配する

▲「GR SPORT」はモータースポーツの知見を活かし、機能美を追求したデザインや足回りのチューニング、ボディ剛性の強化などを実施。フロントマスクには進化したFunctional MATRIXグリルを配する

 関連会社のウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)で開発を進めているソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene」をトヨタ車で初めて採用したことも、新型RAV4の訴求点だ。トヨタの考えるSDV(Software-Defined Vehicle)の提供価値は、単なるエンターテインメントや利便性に留まらず、“安全・安心”“交通事故ゼロ”の未来を届けることにある。誰もが安心して移動を楽しむために、同時にクルマがますます“愛車”になっていくために、新型RAV4では2つの機能をAreneにより実現した。

 1つはトヨタ車で初搭載の新世代マルチメディア。カスタマイズ可能なホーム画面の採用によって、ユーザー1人ひとりに合わせた操作性を向上させる。また、音声認識の応答速度・理解精度を高め、さらなる快適な対話を可能とした。

 2つめは最新のToyota Safety Senseの搭載。走行中の運転者が急病などにより運転の継続が困難になった際に自動的に車両を減速・停車させるドライバー異常時対応システムは、センサー情報を用いて路肩に退避スペースが確認できた場合、減速後、路肩へ寄せて停車できるように改良する。また、障害物の有無にかかわらずアクセルの踏みすぎ・踏み間違いを検知するとクルマの加速を抑制する急加速抑制には、従来販売店オプションとして設定のあったプラスサポート機能を改良して標準装備した。

▲ウーブン・バイ・トヨタで開発を進めているソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene」をトヨタ車で初めて採用

▲ウーブン・バイ・トヨタで開発を進めているソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene」をトヨタ車で初めて採用

▲新世代マルチメディアを装備。カスタマイズ可能なホーム画面の採用によって、ユーザー1人ひとりに合わせた操作性を向上させる

▲新世代マルチメディアを装備。カスタマイズ可能なホーム画面の採用によって、ユーザー1人ひとりに合わせた操作性を向上させる

▲最新のToyota Safety Senseを搭載。ドライバー異常時対応システムはセンサー情報を用いて路肩に退避スペースが確認できた場合、減速後、路肩へ寄せて停車できるように改良する

▲最新のToyota Safety Senseを搭載。ドライバー異常時対応システムはセンサー情報を用いて路肩に退避スペースが確認できた場合、減速後、路肩へ寄せて停車できるように改良する

 なお、新型RAV4の日本での発売は2025年度内を予定。また、米国向けは当初、カナダと日本から輸出する計画だったが、いわゆる“トランプ関税”によるリスクを極力回避する目的から、現地生産も検討しているという。

 

SNSでフォローする