【クルマの通知表】今にマッチしたワゴンSUV。大人が似合うSUBARUレイバックのGTパフォーマンス

SUBARUレヴォーグ・レイバック・リミテッドEX/価格:8CVT 399万3000円。スポーティなレヴォーグをベースにSUVらしい自在性をプラスした都会派クロスオーバー。ボディサイズは日本最適設定の4770×1820×1570mm。最低地上高200mm。多彩なオプションを設定し、好みのスタイリングに仕上げられるのも魅力

SUBARUレヴォーグ・レイバック・リミテッドEX/価格:8CVT 399万3000円。スポーティなレヴォーグをベースにSUVらしい自在性をプラスした都会派クロスオーバー。ボディサイズは日本最適設定の4770×1820×1570mm。最低地上高200mm。多彩なオプションを設定し、好みのスタイリングに仕上げられるのも魅力

ワゴンとSUVの魅力を融合。走りは生粋SUBARU流

 レイバックは、SUVらしいラギットさを持ち味とするスバルSUVラインアップで異色の都会派SUVである。スポーティワゴンのレヴォーグをベースに、「アーバン&ラグジュアリー」を掲げ、洗練されたモダンさを意識したという。

 スタイリングはフロントグリルとフェンダー回りのクラッディング処理が個性を演出。無難にまとめているが、おとなしい印象が強い。個人的にはオプションのプレミアムアーバンパッケージの若々しい雰囲気が好みだ。

リア

インパネ

 クロスオーバーらしく最低地上高はレヴォーグより55mm高い200mm。この設定はオフロードの走破性に優れるだけでなく、乗降性にもプラスをもたらした。成人男性にジャストな高さになっている。乗り込んでも好印象は続く。見晴らしがいい。もともとよかった前方や右左折時の見切りがさらに際立った。開放感も数段アップ。この高さは絶妙である。

 室内は上質。ブラック&アッシュの内装色にステッチを施し、ていねいに仕上げている。この雰囲気を好むユーザーは多いだろう。各部はスバルらしく機能優先設計。ドライビングポジションを決めると、スタートボタン以外のすべてが確認できるように配置され、パワーウィンドウも確実にブラインド操作ができる。メーターの視認性も良好だ。ステアリングホイール部のスイッチも、ひと目で何の機能か理解できるよう工夫されている。

 縦長で大画面のセンタースクリーンは、シンプルに整理され見やすい。空調の温度設定やデフロスターなど使用頻度の高い機能は、物理スイッチが残されている。この点も親切である。ただし、ナビなどインフォテインメント機能の階層や情報は、十分に整理されているとはいえない。直感的に使えないところもあった。なお、レイバックの音響特質に合わせて設計されたハーマンカードンのサウンドシステムはなかなか魅力的だった。

 気づいたのは、デジタルミラーの画質が非常にきれいな点。最近になって老眼を意識しはじめた筆者でもピントが合わせやすかった。位置がいいのか画質を工夫したのか、この見やすさは好印象である。

シート

ラゲッジ

 ワゴンベースだけに荷室は十分すぎるほど広い。車高を引き上げたとはいえ開口下端は使いやすい高さ。荷物の積み下ろしはしやすい。リアシートは3分割可倒式で、荷室側からも前倒しができる。フラットで広いフリースペースの使い勝手は申し分ない。

 走りはスムーズだ。パワーユニットは1.8リッターターボ(177ps/300Nm)。モーターなどの電動デバイスは持たない。魅力は全域での静粛性と十分なパワー。1875kgとやや重量級のボディを、スピーディに走らせる。

都会派ながら、ワインディング路が得意。細部のコントロール性に課題を残す

 今回じっくり長めの距離を走ってみて、いろいろ気づいたことがあった。乗り心地は、基本的にはしなやかなのだが、意外に硬いと思うシーンもある。市街地や首都高速のように小突起のあるようなシーンでは、意外とコツコツくる。一方で高速道路を100km/h程度で巡行していて、大きめのキャップを通過したようなシーンのいなし方はうまい。しなやかな中でも引き締まった乗り味と表現すればいいだろうか。

エンジン

タイヤ

 フットワークの完成度はなかなか高い。ただし最良とはいえない。期待値が高すぎたようだ。電動パワーステアリングにデュアルピニオン式を採用した旨味が、いまひとつ感じられない。ハイトの高い大径オールシーズンタイヤを装着していることも関係しているのだろう。街中では若干の応答遅れを感じるし、操舵感もスッキリしない。

 一方、ワインディングロードは得意科目。たっぷりとストロークを確保した足回りは、路面をしっかり捉え、まさに生き生きと走る。どうやら都会派ながらワインディングがメインフィールドのようだ。

 アクセルとブレーキも少し気になるところがあった。発進から市街地の速度域ではアクセルに対する反応が過敏なのに、50km/h以上からの再加速時は逆にワンテンポ遅れるような印象がある。ただしこの点は、Sモードを選択するといくぶん改善される。

 ブレーキもコントロールしにくい面がある。踏み込んでも手応えが薄く、あるところから強く利いたり、止まる瞬間に踏力を抜くとぴょこんと一気に離れるという感覚があった。このあたりはレヴォーグとはいくぶん作りが違うことが影響しているのだろうか。あるいは個体差だろうか。レヴォーグでは感じなかったように思う。

フロント

スイッチ

 細かい点だがACC作動中のブレーキ作動状況もなんとかしてほしい。メーター内のディスプレイにブレーキランプの点灯状況が表示されるのだが、ほとんど減速していないと感じるシーンでも点灯していた。制御を正直に反映しているのだろう。だが状況によっては点灯しすぎる印象がある。後続車を鬱陶しい気分にさせるかもしれない。多少アレンジしてもよさそうだ。

通知表/SUBARUレヴォーグ・レイバック・リミテッドEX/8CVT 399万3000円

グラフ

総合評価/71点

Final Comment
すべてにわたる高い完成度が印象的。
便利でスタイリッシュで広い、愛すべき存在

「使い勝手」で点数を稼いだものの、「動力性能」が伸びなかった。それでも総合評価は70点を超えた。走りは気になる点がいくつかあった。都会派ということで街中スペシャルかと思っていたのだが、意外とそうでもなかった。実走燃費はターボでAWDとしてはまずまずだが、もう少し高い数値を期待する。インテリアの作りや使い勝手は素晴らしい。操作性と、安全に配慮した良心が伝わってくる。有益な数々の機能を実現したアイサイトデバイスが標準装備なのも歓迎だ。

使い勝手

快適性

動力性能

魅力

テストコース

SUBARUレヴォーグ・レイバック主要諸元と主要装備

エンブレム

グレード=リミテッドEX
価格=8CVT  399万3000円
全長×全幅×全高=4770×1820×1570mm
ホイールベース=2670mm
トレッド=フロント:1560/リア:1570mm
最低地上高=200mm
車重=1875kg
エンジン=1795cc水平対向4DOHC16Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力=130kW(177ps)/5200〜5600rpm
最大トルク=300Nm(30.6kgm)/1600〜3600rpm
WLTCモード燃費=13.6km/リッター(燃料タンク容量63リッター)
(市街地/郊外/高速道路:10.0/14.5/15.3km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/55R18オールシーズン+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
主要装備:アイサイトコアテクノロジー(プリクラッシュブレーキ+前側方プリクラッシュブレーキ+緊急時プリクラッシュステアリング+後退時ブレーキアシスト+AT誤発進&誤後進抑制制御+ツーリングアシスト+全車速追従機能付きクルーズコントロール+車線逸脱警報+ふらつき警報+先行車発進お知らせ機能+青信号お知らせ機能など)/運転支援テクノロジー(後側方警戒支援システム+エマージェンシーレーンキープアシスト+アレイ式アダプティブドライビングビーム)/視覚拡張テクノロジー(デジタルマルチビューモニター+前側方警戒アシスト)/アイサイトXテクノロジー(渋滞時ハンズオフアシスト+渋滞時発進アシスト/アクティブレーンチェンジアシスト+カーブ前速度制御+料金所前速度制御+ドライバー異常時対応システム)/歩行者保護エアバッグ/アクティブトルクスプリットAWD/フルLEDハイ&ロービーム(ウオッシャー付き)/ハンズフリーパワー・リアゲート/本革巻きステアリング&シフトノブ/アルミパッド付きスポーツペダル/左右独立温度調節式フルオートAC/12.3インチフル液晶メーター/11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステム/ハーマンカードンサウンドシステム(10スピーカー)/トリコット&ファブリックシート/前席電動調節機構付きスポーツシート/ワンタッチフォールディング機能付き4:2:4分割リアシート
装着メーカーop:スマートリアビューミラー5万5000円/本革シート13万2000円/サンルーフ11万円
ボディカラー:セラミックホワイト

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