【エンジン車よ永遠なれ!】太陽標準装備のMR・Kカー、ビートのE07Aはまるでバイクのように痛快。「エンジンを回す快感」が味わえた

ホンダ・ビート/新車時価格:5MT 138万8000円。ビートはKカー初のMRオープンスポーツとして1991年5月に登場。当時「NSXのミニチュア版」と呼ばれた。ミッド配置のE07Aユニットは軽乗用車トゥデイ用の大幅改良版。直3OHC12Vのレイアウトを持ち、656ccの排気量から64ps/8100rpm、6.1kgm/7000rpmを発揮。キビキビ走るにはパワーバンドの5000〜6500rpmをキープする必要があった

ホンダ・ビート/新車時価格:5MT 138万8000円。ビートはKカー初のMRオープンスポーツとして1991年5月に登場。当時「NSXのミニチュア版」と呼ばれた。ミッド配置のE07Aユニットは軽乗用車トゥデイ用の大幅改良版。直3OHC12Vのレイアウトを持ち、656ccの排気量から64ps/8100rpm、6.1kgm/7000rpmを発揮。キビキビ走るにはパワーバンドの5000〜6500rpmをキープする必要があった

HONDA BEAT/E07A

ビートエンジン種類:直列3気筒OHC12V
総排気量:656cc
ボア×ストローク:66×64mm
圧縮比:10:1
最高出力:64ps/8100rpm
最大トルク:6.1kgm/7000rpm

 ホンダ・ビートは生まれて初めての私の愛車です。過去形じゃないのは、何を隠そう、いまも持ってるから(笑)。というと、たいていの場合、皆さま驚かれます。レーシングカーとしてチューニングしてしまったこともあり、1992年に免許を取ってからずっと、私の相棒の1台なのです。

 実はビートが最初の愛車になったのは、私の意思ではありませんでした。この業界で私が最初に入った会社の社長、モータージャーナリスト&レーシングドライバーの日下部保雄氏が、会社に入る条件として貸してくれたのがビートだったんです。

ビート透視図

 日下部氏がなぜビートを選んだかというと、手元にあったから(笑)、というのが本音だと思いますが、“エンジンを回すこと”を学ばせたかったからなんだそうです。

 ビートのE07A・直3OHC12Vユニットは656ccから64ps/8100rpm、6.1kgm/7000rpmを発揮します。パワーバンドは5000~6500rpmくらい。いちばん美味しいのは、5500rpm付近。教習所を卒業したばかりの私でも、これは普通のクルマと違うというのはよくわかりました。私はバイクの免許を持っていないのでわかりませんが、皆さんバイクのエンジンみたいだとよくおっしゃいます。NAエンジンでこんなに高い回転域がパワーバンドの4輪車なんて、そうそうないんだということは後々理解しました。

 このエンジン、上は気持ちよく回るのですが、下、つまり低回転域でのトルクがまったくないと言い切りたいくらい薄いんです。1速ギアで発進してもアクセルの踏み込みが足りないとストン!とエンストするほど(笑)。かといって、高回転まで回してレーシンングスタートのように発進するわけにもいかないし、最初はスタートにも苦労したのをよく覚えています。
 そんな関係で、5速MTをきっちりシフトしていかないと、思うように走れないんですよ。エンジンを回すことの大切さと、適切なシフトの大事さをビートで体に叩き込まれたというわけです。ありがたい。

ビートリア

ビート室内

 そのうち、私がシフトチェンジするとガタガタ、ブルブルとクルマがシェイクするのに、日下部氏がシフトするとまったくスムーズなのに気づき「どうして社長がシフトするとガタガタしないんですか?」と素直に質問。そこで最初に教わったのがダブルクラッチでした。通勤の東京・環状7号線の信号でダブルクラッチを練習し、その後そこにブレーキを加えたヒール&トゥを教えてもらい、またまた練習。むやみに信号手前でシフトダウンしてました。

 ある程度年数が経ってきたら、このクルマはむしろハイオクガソリンのほうが合うんじゃないかな? なんて思い出し、満タンでも24リッタータンクなのをいいことに、ハイオクを入れて走っていました。ただ、だいたいGSのプレゼント企画は20リッター以上の給油で……というのが多かったので、そこには到達しなかったのも懐かしい思い出です(笑)。

ビートマーク

ビート2面図

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