専用設計のプラットフォームにF1の技術を取り入れたエンジンを搭載するメルセデスAMGの新型SLが日本上陸

メルセデスAMGによる独自開発の2+2ラグジュアリーロードスター「メルセデスAMG SL43」が日本で発売。専用開発の高剛性プラットフォームや専用デザインの内外装、F1由来の技術を組み込んだエンジンなどを採用して新世代のSLを具現化

 メルセデス・ベンツ日本は2022年10月24日、新型2+2ラグジュアリーロードスターのメルセデスAMG SL43(R232)をラインアップし、同日より発売した。車両価格は1648万円に設定する。

▲メルセデスAMG SL43 価格:9SAT1648万円 全長4700×全幅1915×全高1370mm ホイールベース2700mm 車重1780kg 乗車定員4名 WLTCモード燃費10.8km/リットル 性能面では最高速度275km/h、0→100km/h加速4.9秒を実現

▲メルセデスAMG SL43 価格:9SAT1648万円 全長4700×全幅1915×全高1370mm ホイールベース2700mm 車重1780kg 乗車定員4名 WLTCモード燃費10.8km/リットル 性能面では最高速度275km/h、0→100km/h加速4.9秒を実現

 

 第7世代となる新型SLは、メルセデスAMGによる完全独自開発のロードスターとして企画。モータースポーツ起源のスポーツカーという原点への回帰と、新しい時代のラグジュアリーの融合を目指し、専用開発の高剛性プラットフォームや専用デザインの内外装、F1由来の技術を組み込んだエンジンなどを採用して、新世代の「SL」を具現化した。

▲第7世代となる新型SLはメルセデスAMGによる完全独自開発の新世代2+2ロードスターとして企画された

▲第7世代となる新型SLはメルセデスAMGによる完全独自開発の新世代2+2ロードスターとして企画された

 

 エクステリアに関しては、メルセデス・ベンツのデザインの基本思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」を踏襲したうえで、光と影の交錯によって全体に軽やかな、かつ高い質感と高級感を演出した新進のロードスターに仕立てる。基本フォルムは2+2レイアウトのシートを収める目的で、従来のR231よりも拡大。2700mmのロングホイールベースと短いオーバーハング、そしてブラックペイント仕上げのフレームを持つ大きく傾斜したウインドスクリーンによって、低く構える精悍なルックスを創出する。長いボンネットや後方に 大きく下がったパッセンジャーコンパートメントなど、SL 独自のアレンジを継承したこともトピックだ。空力特性の向上にも重点を置き、各部のフラッシュサーフェスを徹底するとともに、アクティブエアコントロールシステムのエアパネルや、走行状態によって電子制御で角度を変えるリトラクタブルリアスポイラー(車速80km/h以上で5段階に展開)などを装備。空気抵抗係数はオープントップのスポーツカーとしてはトップレベルのCd値0.31を成し遂げている。

 各部のアレンジも徹底してこだわる。フロントマスクは300SLロードスターをオマージュした下側が幅広の輪郭と14本の垂直ルーバーを配した専用グリルや、前後に長いフラット基調で2本のパワードームを組み込んだボンネット、スリムでシャープな輪郭をもつDIGITALヘッドライトなどを採用して、精悍かつ印象的なマスクを創出。一方、サイドビューは力強く際立つショルダーと20インチAMG5ツインスポークアルミホイール(タイヤは前265/40/後295/35R20サイズ)、ふくよかなくびれのあるパネル面、精密なアレンジのフェンダートリム、格納式のシームレスドアハンドルなどによって、スマートかつ筋肉質なフォルムに仕立てる。そしてリアビューは、省スペース型ソフトトップを配備して高さを抑えたコンパートメントや、ほぼ境目を感じさせることなく組み込んだリトラクタブルリアスポイラー、ワイドトレッドを強調したバンパー、4本出しマフラーエンドを組み込んだ専用デザインのディフューザー、ヘッドライトに対応させたスリムな形状のLEDコンビネーションランプなどを配して、スポーティで安定感のある後ろ姿を実現した。

▲フロントマスクは300SLロードスターをオマージュした下側が幅広の輪郭と14本の垂直ルーバーを配した専用グリルや前後に長いフラット基調で2本のパワードームを組み込んだボンネット、スリムでシャープな輪郭をもつDIGITALヘッドライトなどを採用

▲フロントマスクは300SLロードスターをオマージュした下側が幅広の輪郭と14本の垂直ルーバーを配した専用グリルや前後に長いフラット基調で2本のパワードームを組み込んだボンネット、スリムでシャープな輪郭をもつDIGITALヘッドライトなどを採用

▲省スペース型ソフトトップを配備して高さを抑えたコンパートメントやワイドトレッドを強調したバンパー、ヘッドライトに対応させたスリムな形状のLEDコンビネーションランプなどを配備

▲省スペース型ソフトトップを配備して高さを抑えたコンパートメントやワイドトレッドを強調したバンパー、ヘッドライトに対応させたスリムな形状のLEDコンビネーションランプなどを配備

▲走行状態によって電子制御で角度を変えるリトラクタブルリアスポイラーを装備

▲走行状態によって電子制御で角度を変えるリトラクタブルリアスポイラーを装備

▲足もとには20インチAMG5ツインスポークアルミホイール+前265/40/後295/35R20タイヤを装着

▲足もとには20インチAMG5ツインスポークアルミホイール+前265/40/後295/35R20タイヤを装着

 

 基本骨格には自立構造を持つアルミニウム製スペースフレームに、アルミニウムやスチール、マグネシウム、繊維複合材を適材適所に使用した新開発のボディシェルを採用。ねじり剛性は従来モデル比で18%、横方向剛性はAMG GTロードスター比で50%、前後方向剛性は40%ほど高くなる。ホワイトボディの重量は約270kgに仕上げた。一方、ルーフ部は従来の金属製バリオルーフに代えてZホールド電動開閉の3層構造ソフトトップを組み込み、フレームには重量を最適化したスチール/アルミニウム材と2本の丸いアルミニウム製クロスビームを採用して、約21kgの軽量化と低重心化を達成する。トップ自体はセンターコンソールのスイッチパネルまたはタッチ機能付のメディアディスプレイで行い、画面には開閉動作の進行状況を動画で表示。開閉は約15秒で完了し、車速60km/hまでであれば走行中の開閉も可能だ。また、トップ色はブラックを標準で、レッドとグレーをオプションで設定。リアウィンドウにはヒーター付きの安全ガラスを配備する。キャビン後方のトップコンパートメントは軽量かつコンパクト化を狙って新方式のファブリック製で仕立て、余剰分はトランクルームに充てて、容量213リットル(ソフトトップを閉じた際はパーティションがスライド上昇して約240リットルに拡大)を確保した。

▲ルーフ部は従来の金属製バリオルーフに代えてZホールド電動開閉の3層構造ソフトトップを採用。トップ自体はセンターコンソールのスイッチパネルまたはタッチ機能付のメディアディスプレイで行い、開閉は約15秒で完了する

▲ルーフ部は従来の金属製バリオルーフに代えてZホールド電動開閉の3層構造ソフトトップを採用。トップ自体はセンターコンソールのスイッチパネルまたはタッチ機能付のメディアディスプレイで行い、開閉は約15秒で完了する

 

 インテリアについては、300SLロードスターに始まる伝統を現代的に解釈したうえで、上質な素材と丹念なクラフトマンシップ、そしてディテールに対する配慮により、スポーティかつラグジュアリーなキャビン空間を創出する。コックピットはアナログ的幾何学フォルムとデジタル技術を融合した“ハイパーアナログ”と称する新デザインを採用。ダッシュボードは彫刻的で力強い翼形とし、同時に上下2つのパートに分ける。パワードーム形状の上部には4つの新タービンノズル形エアアウトレットを配備。また、下部はセンターコンソールから流れるように広がり、2 つの部分に連続性を持たせた。ブラックのピアノラッカー調トリムを装備して、スポーティなイメージを演出したことも訴求点だ。一方、ドライバー前には専用アレンジの12.3インチ液晶ディスプレイを配備。また、運転席と助手席を大きく分割するセンターコンソールにはNACAダクト形状の金属パネルを配し、ここからほぼ継ぎ目なく11.9インチの縦長のメディアディスプレイへと移行する。ディスプレイ自体はタッチパネル機能を組み込み、合わせてオープン時に日光の差し込む向きが変わることで生じる光の反射を防ぐために傾きを12~32度の範囲で電動調整する機構を内蔵した。さらに、ステアリングにはAMGドライブコントロールスイッチを配したナッパレザー巻きのAMGパフォーマンスステアリングを装備。重要な走行機能とすべてのドライブモードを、ステアリングホイールから手を離すことなく操作できるようアレンジしている。

▲コックピットはアナログ的幾何学フォルムとデジタル技術を融合した“ハイパーアナログ”と称する新デザインを採用。ダッシュボードは彫刻的で力強い翼形とし、同時に上下2つのパートに分ける。日本導入モデルのハンドル位置は右/左の選択可

▲コックピットはアナログ的幾何学フォルムとデジタル技術を融合した“ハイパーアナログ”と称する新デザインを採用。ダッシュボードは彫刻的で力強い翼形とし、同時に上下2つのパートに分ける。日本導入モデルのハンドル位置は右/左の選択可

▲11.9インチの縦長メディアディスプレイにはタッチパネル機能を組み込み、合わせてオープン時に日光の差し込む向きが変わることで生じる光の反射を防ぐために傾きを12~32度の範囲で電動調整する機構を内蔵する

▲11.9インチの縦長メディアディスプレイにはタッチパネル機能を組み込み、合わせてオープン時に日光の差し込む向きが変わることで生じる光の反射を防ぐために傾きを12~32度の範囲で電動調整する機構を内蔵

▲ステアリングにはAMGドライブコントロールスイッチを配したナッパレザー巻きのAMGパフォーマンスステアリングを装備

▲ステアリングにはAMGドライブコントロールスイッチを配したナッパレザー巻きのAMGパフォーマンスステアリングを装備

 

 4代目SLのR129(1989~2001年)以来となる2+2のシートレイアウトで構成する前席には、前衛的かつ彫刻的なデザインのナッパレザー表皮AMGスポーツシートを装着。カラーはブラックのほか、レッドペッパー/ブラック、シエナブラウン/ブラック、セージグレー/ブラックを設定する。シートバックに内蔵したヒーターによって温めた空気をヘッドレスト下部から吹き出して乗員の首まわりを温めるエアスカーフも装備した。キャビンの安全性も最大限に重視し、コックピット回りを入念に補強したうえで、中空の熱間成形高張力スチールによるウインドスクリーンフレームやオートマティックロールバーを組み込んでいる。

▲シートレイアウトは2+2で構成。前席には前衛的かつ彫刻的なデザインのナッパレザー表皮AMGスポーツシートを装着する

▲シートレイアウトは2+2で構成。前席には前衛的かつ彫刻的なデザインのナッパレザー表皮AMGスポーツシートを装着する

▲シートおよびトリムのカラーはブラックのほか、レッドペッパー/ブラック、シエナブラウン/ブラック、セージグレー/ブラックを設定

▲シートおよびトリムのカラーはブラックのほか、レッドペッパー/ブラック、シエナブラウン/ブラック、セージグレー/ブラックを設定

▲シートバックに内蔵したヒーターによって温めた空気をヘッドレスト下部から吹き出して乗員の首まわりを温めるエアスカーフを装備

▲シートバックに内蔵したヒーターによって温めた空気をヘッドレスト下部から吹き出して乗員の首まわりを温めるエアスカーフを装備

 

 注目のパワーユニットは、メルセデスAMG社でマイスターにより組み上げられたM139型1991cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジン(最高出力381ps/6750rpm、最大トルク480Nm/3250~5000rpm)で、F1由来のエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーを採用する。同ターボチャージャーの電気モーターは厚さ約4cmで、排気側のタービンホイールと吸気側のコンプレッサーホイールの間のターボチャージャーの軸に一体化。このモーターが電子制御でターボチャージャーの軸を直接駆動してコンプレッサーホイールを加速し、コンプレッサーホイールが通常のターボチャージャーと同じく排気の流れによって駆動されるようになるまで過給を行う仕組みだ。特性上、アイドリングスピードから全回転域にわたってレスポンスの速さが大きく改善され、合わせてアクセル操作に対するエンジンのレスポンスがいっそう自然なフィーリングとなることから、よりダイナミックな走りが楽しめる。

 M139エンジンには、電気モーター(最高出力10kW、最大トルク58Nm)と第2世代BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)、48V電気システム、駆動用リチウムイオンバッテリーが組み合わされる。ターボチャージャー自体は48V電気システムを電源とし、最大17万回転まで作動。また、ターボチャージャーと電気モーター、そして電子制御ユニットはエンジンの冷却システムに接続され、常に最適な温度に管理する。さらに、48V電気システムはスタートストップ機能やセーリングモードの間の切り替えがほぼ感じられないほど滑らかに行われるようにセッティングした。

▲パワートレインはM139型1991cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジン(381ps/480Nm)、電気モーター(10kW/58Nm)、第2世代BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)、48V電気システム、駆動用リチウムイオンバッテリーでシステムを構成する

▲パワートレインはM139型1991cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジン(381ps/480Nm)、電気モーター(10kW/58Nm)、第2世代BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)、48V電気システム、駆動用リチウムイオンバッテリーでシステムを構成する

▲M139エンジンにはF1由来のエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーを組み込む

▲M139エンジンにはF1由来のエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーを組み込む

 

 組み合わせるトランスミッションには、専用セッティングのAMGスピードシフトMCT(9速AT)を採用する。トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを搭載し、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現した。一方、駆動機構は後輪駆動で構成し、瞬時に行われる緻密な制御によってコーナー脱出時にアグレッシブにアクセルが踏める電子制御AMGリミテッドスリップデフを標準で装備。エンジンとシャーシを一体化するダイナミックエンジンマウントなどによって走行性を高めるAMGダイナミックプラスパッケージも組み込んだ。また、ドライビングモードとして、高速走行時などにアクセルから足を離すとエンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリング機能の採用によって燃費を優先する「Comfort」、よりスポーティなドライビングが楽しめる「Sport」「Sport+」「RACE」、滑りやすい路面を安全に走行する「Slippery」、様々なパラメーターを個別に設定できる「Individual」という6つのモードを設定している。

▲トランスミッションには専用セッティングのAMGスピードシフトMCT(9速AT)を採用

▲トランスミッションには専用セッティングのAMGスピードシフトMCT(9速AT)を採用

▲瞬時に行われる緻密な制御によってコーナー脱出時にアグレッシブにアクセルが踏める電子制御AMGリミテッドスリップデフを装備

▲瞬時に行われる緻密な制御によってコーナー脱出時にアグレッシブにアクセルが踏める電子制御AMGリミテッドスリップデフを装備

 

 懸架機構は前後を5リンク式のマルチリンクで構成したうえで、鍛造アルミニウム製のリンクやステアリングナックル、ホイールキャリアなどを採用して軽量化と高剛性化を実現。ここに、高性能なアルミニウム製アダプティブダンパーと軽量コイルスプリングを配備した新開発のAMG RIDE CONTROLサスペンションを組み込む。また、制動機構にはAMGロゴ入りイエローブレーキキャリパーを備えた大径ベンチレーテッドディスクを採用した。

▲高性能なアルミニウム製アダプティブダンパーと軽量コイルスプリングを配備した新開発のAMG RIDE CONTROLサスペンションを組み込む

▲高性能なアルミニウム製アダプティブダンパーと軽量コイルスプリングを配備した新開発のAMG RIDE CONTROLサスペンションを組み込む

 

 安全運転支援機構のインテリジェントドライブについては、メルセデス・ベンツの最新ハードウェアおよびシステムを導入。機能としては、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付)やアクティブステアリングアシスト、渋滞時緊急ブレーキ機能、アクティブレーンチェンジングアシスト、アダプティブエマージェンシーストップアシスト、アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し/右折時対向車検知機能付)、緊急回避補助システム、トラフィックサインアシスト、アクティブレーンキーピングアシスト、アクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)などを採用する。また、最新の対話型インフォテインメントシステム「MBUX」や、テレマティクスサービス「Mercedes me connect」といった先進機能も装備した。

 

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