【スーパースポーツ特集】フェラーリ・ローマは「美女と野獣」が共存するエレガントなFRクーペ。ドライビングには大人の分別が必要である

フェラーリ・ローマ 価格:2682万円 試乗記

フェラーリ・ローマ ローマは往年の名車を彷彿させるエレガントなロングノースシルエットが特徴 走りは「美女と野獣」 超一級スポーツとしても完成度が高い

フェラーリ・ローマ ローマは往年の名車を彷彿させるエレガントなロングノースシルエットが特徴 走りは「美女と野獣」 超一級スポーツとしても完成度が高い

ローマは「レースの匂い」がしない希少なフェラーリ

 ローマのスタイリングは典型的なロングノーズ&ショートデッキのクーペ(ベルリネッタ)。独特のエレガンス表現をまとった、まさにイタリアンクラシックだ。鋭く尖ったフロントノーズはややバランスを崩しながら(つまり表情を露わにしつつ)前方へと下がり、+2構成のキャビンは低く小さくまとめられている。前後のフェンダーラインはグラマラスで、美しい時代のフェラーリを彷彿させる。
 ローマにはサイドフェンダーのSFシールドエンブレムが似合わない。スクーデリア・フェラーリ=レースの匂いがしない、珍しい跳ね馬である。

 インテリアもエレガントだ。デュアルコクピットスタイルと名づけられた室内は左右のパッセンジャー席が美しく仕切られており、ドライビングに熱中することはもちろん、居心地そのものを楽しむ空間にもなっている。この流れはSUVのプロサングエにも引き継がれた。

 メカニズムはポルトフィーノをベースとしつつ、その70%を新設計とし、進化したパワートレーンを積む。注目はフロントミッドに積まれたパワートレーンだ。3.9リッターの直噴V8ツインターボエンジンは620psを誇り、8速DCTを組み合わせる。

ローマのトップスピードは320km/h メカニズムはポルトフィーノをベースに約70%を刷新 「毎日乗りたいフェラーリ」の筆頭

ローマのトップスピードは320km/h メカニズムはポルトフィーノをベースに約70%を刷新 「毎日乗りたいフェラーリ」の筆頭

3856cc・V8DOHC32Vツインターボ 620ps/760Nm パワーユニットはフロントミッドに配置 3000rpm以上で奏でるサウンドは超魅惑的

3856cc・V8DOHC32Vツインターボ 620ps/760Nm パワーユニットはフロントミッドに配置 3000rpm以上で奏でるサウンドは超魅惑的

足元は前後20インチ仕様 アルミのカラーなどは多彩なオーダーが可能

足元は前後20インチ仕様 アルミのカラーなどは多彩なオーダーが可能

上質なGTであると同時に超一級のスポーツ。2面性がローマの魅力

 ローマのドライブフィールは「美女と野獣」が同居していた。街中をクルーズするようなシーンでは、優雅なスタイリングそのままに洗練されたラグジュアリークーペに徹する。弾性の効いた乗り心地でフロントがやや硬いが、それでも扱いやすい。毎日でも乗りたい気分になる。

 だが、ワインディングロードに繰り出して、マネッティーノ(ドライブモードセレクター)をスポーツもしくはレースにスイッチするとローマは豹変する。自ら意思を持って曲がっていくかのようにシャープなハンドリングをみせ、そのあまりのアジャイルさに怖くなってしまうほどだ。

 低回転域からモリモリと湧き出るトルクに背中を押しまくられ、3000rpmを超すあたりからはエグゾーストノートの迫力がガツンと増す。さらに高回転まで回すと、強大かつ精緻なパワーフィールに圧倒される。それがめくるめく快感を呼び、ドライバーを虜にするのだ。優しい表情とは裏腹に、スリリングなスポーツベルリネッタ、まさに野生の悍馬である。

 ローマにはひけらかさないラグジュアリーがある。一方、その気になればレーサー気分を味わわせてくれる。上質なGTでありながら超一級のスポーツカーであることを忘れていない。それはマラネロ製ロードカーの伝統でもある。

ローマは「ラ・ヌォーバ・ドルチェ・ヴィータ」(新・甘い生活)をコンセプトに開発されたFRクーペ リアウィンドウ下部に可変リアスポイラーを内蔵 足回りは4輪ダブルウィッシュボーン式

ローマは「ラ・ヌォーバ・ドルチェ・ヴィータ」(新・甘い生活)をコンセプトに開発されたFRクーペ リアウィンドウ下部に可変リアスポイラーを内蔵 足回りは4輪ダブルウィッシュボーン式

室内は「デュアルコクピットスタイル」と呼ぶ左右分割形状 ステアリングに各種コントロールを集約するのはフェラーリ共通

室内は「デュアルコクピットスタイル」と呼ぶ左右分割形状 ステアリングに各種コントロールを集約するのはフェラーリ共通

シートはサポート性とデザイン性を融合したスポーツ形状 日常使用時の乗り心地は洗練された味わい 各部の作りは上質

シートはサポート性とデザイン性を融合したスポーツ形状 日常使用時の乗り心地は洗練された味わい 各部の作りは上質

+2設定の後席はGTとしての使い勝手に貢献 荷物置き場に最適

+2設定の後席はGTとしての使い勝手に貢献 荷物置き場に最適

メーターはフルデジタル仕様 タコメーターを中央にレイアウト レッドゾーンは7500rpm以上

メーターはフルデジタル仕様 タコメーターを中央にレイアウト レッドゾーンは7500rpm以上

コンソールのシフトセレクターは往年モデルのMT基部が造形モチーフ

コンソールのシフトセレクターは往年モデルのMT基部が造形モチーフ

フェラーリ・ローマ 主要諸元

サイドビュー

グレード=ローマ
価格=8DCT 2682万円
全長×全幅×全高=4656×1974×1301mm
ホイールベース=2670mm
車重=1570kg
エンジン=3855cc・V8DOHC32Vツインターボ
最高出力=456kW(620ps)/5750~7500rpm
最大トルク=760Nm(77.5kgm)/3000~5750rpm
燃料タンク容量=80リッター
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:245/35ZR20/リア:285/35ZR20
駆動方式=FR
乗車定員=4名
0→100㎞/h加速=3.4秒
0→200㎞/h加速=9.3秒
最高速度=320km/h
※価格は消費税込み、性能スペックは欧州仕様

エンブレム

雑誌『CAR and DRIVER』連動記事

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