メルセデスAMG・EQE53・4マチック+ 試乗記
「電動化」をチャンスと捉えるAMGの解答、それがEQE53
メルセデスAMGは「ハイパフォーマンスカーブランドにとって、電動化はピンチではなくチャンス。電気モーターの強力なトルクと鋭いレスポンスは、大きな武器になる」と説明する。EQE53・4MATIC+は、そのメルセデスAMGがリリースした最新BEVである。
EQE53は、BEV専用プラットフォーム、EVA2を用いる全長5m弱の車体の前後に、高出力化に対応したAMG専用の電気モーターを搭載。試乗したAMGダイナミック・プラスパッケージ装着車は、最高出力687ps、最大トルク1000Nmを誇り、0→100km/h加速は3.3秒でクリアする。 圧倒的なパフォーマンスに合わせて、シャシーにはバンプ/リバウンドの減衰力を独立調整できる電子制御ダンパーとエアサスペンション、リアホイールステアが備わり、アクスルマウントも強化されている。ホイールは最大21インチとなる。
実用域の走りは想像するより穏やかだった。デフォルトのCOMFORTモードでは出力が80%に抑えられることもあり、落ち着いて走ることができる。乗り心地は上々。強固なボディを土台に、サスペンションがしなやかによく動く。車重の重さも快適性にはプラスに作用しているに違いない。
パワーをフルに引き出すと「狼」に変身。刺激的な加速に驚嘆した!
しかし、100%のパワーを解き放つSPORT+モードでアクセルを深く踏み込むと、世界は一変。太いトルクが鋭く立ち上がり、そり返るほどのダッシュを見せる。フットワークも気持ちいい。サイズを意識させないとはいわないが、重量バランスがいいので楽しめる。 ただし、エンジン音に代わって響くゲームような電子音はいまひとつ。果たしてメルセデスAMGのV8を愛したファンを納得させられるのだろうか? 電子音でも、もう少し大人っぽい音色がいいと思うのだが。
内外装にも触れておこう。キャビンフォワードの個性的な外観は、定番の縦スリット入りブラックグリルや専用の空力パーツを装着する。これらは空気抵抗を増さずにアンチリフト効果を発揮する設計。ホイールも同様に空力デザインで仕上げられている。 黒基調に赤ステッチで仕立てられたインテリアは、合成皮革とマイクロファイバーという、いわゆるヴィーガンレザーのコーディネート。ただし、オプションでナッパレザーも選べる。
メルセデスAMGは、強い趣味性をアピールするブランド。最新作となるEQE53・4MATIC+は、電動化の時代にあってもそのスポーツスピリットに揺るぎはない。一方で進化すべきは大胆に進化させた1台である。
メルセデスAMG・EQE53・4マチック+ 主要諸元
グレード=EQE53・4マチック+
価格=未定(2022年秋発売予定)
全長×全幅×全高=4964×1906×1492mm
ホイールベース=3120mm
トレッド=フロント×リア:1648×1648mm
車重=2525kg
モーター=2モーター(交流同期電動機)
モーター最大出力kW(㎰)=462kW(626ps) ※1
モーター最大トルク=950Nm ※1
一充電走行距離(WLTPモード)=459〜526km
交流電力量消費率(WLTPモード)=22.6〜20.2Wh/100km
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電力量=90.6kWh
サスペンション=前:4リンク/後:5リンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:265/40R20/リア:295/35R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
0→100km/h加速=3.5秒 ※1
最高速=200km/h ※1
※スペックは欧州仕様
※1 AMGダイナミックプラスパッケージ仕様は505kw/ps/1000Nm/3.3秒/240km/h