約10年ぶりに全面改良した新型トヨタ・ハイラックスがタイでワールドプレミア。日本市場にはディーゼルモデルを2026年年央に発売予定

Toyota Motor Asia(TMA)がタイのバンコクで開催した新車発表イベントにおいて、第9世代となる新型ハイラックスを世界初披露。マルチパスウェイの取り組みをいっそう加速すべく、ディーゼルモデル、BEVモデルに加えて、48VマイルドハイブリッドモデルやFCEVモデルを設定すると公表。発売はタイを皮切りに、アジア市場で2026年以降順次開始。日本市場ではディーゼルモデルを2026年年央に発売するとアナウンス

 トヨタ自動車は2025年11月10日、カーボンニュートラル社会の実現に向けたマルチパスウェイの取り組みのもと、BEVやFCEVなど多様なパワートレインをグローバルで展開していくことを発表。そして、Toyota Motor Asia(TMA)がタイのバンコクで開催した新車発表イベントにおいて、第9世代となる新型ハイラックスを世界初披露した。また、日本においては新型ハイラックスのティーザーサイトを開設し、順次最新情報を掲載していくとアナウンスした。

▲第9世代となる新型トヨタ・ハイラックスがワールドプレミア。日本市場にはディーゼルモデルを2026年年央に発売予定

▲第9世代となる新型トヨタ・ハイラックスがワールドプレミア。日本市場にはディーゼルモデルを2026年年央に発売予定

 トヨタ自動車は、これまで「もっといいクルマづくり」を目指し、商品と地域を軸とした経営を推進。その中で、カーボンニュートラルの実現に向けたパワートレイン開発においては、各国・各地域のエネルギー事情やユーザーの志向によって異なるニーズに応えうる電動車の選択肢を用意する“マルチパスウェイ”の取り組みのもと、さまざまなモビリティを展開してきた。そして、約10年ぶりにフルモデルチェンジした第9世代の新型ハイラックスでは、マルチパスウェイの取り組みをいっそう加速すべく、ディーゼルモデルとBEV(バッテリーEV)モデルに加えて、2026年に48Vマイルドハイブリッドモデル、2028年にFCEV(燃料電池EV)モデルを設定すると公表する。ディーゼルおよびBEVはタイを皮切りに、アジア市場で2026年以降、順次発売を開始。日本市場ではディーゼルモデルを2026年年央に発売するとアナウンスした。また、開発中のFCEVモデルは、欧州やオセアニアに2028年以降、順次投入する計画である。

▲タイ市場では“TRAVO”のサブネームを付けて、いち早く新型ハイラックスを発売。写真はレジャー志向のフラッグシップモデル「OVERLAND(オーバーランド)」。ボディサイズは全長5320×全幅1885×全高1815mm、ホイールベース3085mmに設定

▲タイ市場では“TRAVO”のサブネームを付けて、いち早く新型ハイラックスを発売。写真はレジャー志向のフラッグシップモデル「OVERLAND(オーバーランド)」。ボディサイズは全長5320×全幅1885×全高1815mm、ホイールベース3085mmに設定

 いち早く市場デビューを果たしたタイでは、“TRAVO”のサブネームを付けて新型ハイラックスをリリースする。車種展開はディーゼルモデルのダブルキャブの4WD“4TREX”と2WD“PRERUNNER”、スマートキャブの4WD“4TREX”と2WD“PRERUNNER”、スタンダードキャブの4WD“4TREX”のほか、レジャー志向のダブルキャブとなるOVERLAND(オーバーランド)の4WD“4TREX”と2WD“PRERUNNER”を設定。さらに、前後にモーターを配したダブルキャブのBEVモデルのTRAVO-eをラインアップした。

▲ダブルキャブの4WD“4TREX”(中央)と2WD“PRERUNNER”(左・Premium/右・Smart)

▲ダブルキャブの4WD“4TREX”(中央)と2WD“PRERUNNER”(左・Premium/右・Smart)

▲スマートキャブの4WD“4TREX”(中央)と2WD“PRERUNNER”(左・Premium/右・Smart)

▲スマートキャブの4WD“4TREX”(中央)と2WD“PRERUNNER”(左・Premium/右・Smart)

▲スタンダードキャブの4WD“4TREX”

▲スタンダードキャブの4WD“4TREX”

▲ダブルキャブのBEVモデル「TRAVO-e」。ボディサイズは全長5320×全幅1855×全高1800mm、ホイールベース3085mmに設定。フロントグリルのエアインテークは埋められる

▲ダブルキャブのBEVモデル「TRAVO-e」。ボディサイズは全長5320×全幅1855×全高1800mm、ホイールベース3085mmに設定。フロントグリルのエアインテークは埋められる

 デザインについては、“Tough&Agile(タフ&アジャイル)”をテーマに、力強くかつ俊敏性を併せ持つスタイリングに進化したことがトピック。また、フロントビューは“Cyber Sumo(サイバー相撲)”をコンセプトに据え、取組前の力士の仕切りをイメージした、“Stable(腰の据わった)”“Strong(強い)”“Steady(安定した)”の3つのコア特性を融合させたオリジナリティあふれるマスクを採用する。ちなみに、発表イベントには第69代横綱の白鵬翔さんが出席。白鵬さんは親交の深い豊田章男会長から同イベントに誘われ、すぐに「もちろん行きます」と答えたという。

▲“Tough&Agile”をテーマに、力強くかつ俊敏性を併せ持つスタイリングに進化。フロントビューは“Cyber Sumo(サイバー相撲)”をコンセプトに据え、取組前の力士の仕切りをイメージした、“Stable”“Strong”“Steady”の3つのコア特性を融合させたマスクを採用する

▲“Tough&Agile”をテーマに、力強くかつ俊敏性を併せ持つスタイリングに進化。フロントビューは“Cyber Sumo(サイバー相撲)”をコンセプトに据え、取組前の力士の仕切りをイメージした、“Stable”“Strong”“Steady”の3つのコア特性を融合させたマスクを採用する

▲リアゲートには“TOYOTA”ロゴを配備。OVERLANDはブラックカラーのパーツを随所に配備する

▲リアゲートには“TOYOTA”ロゴを配備。OVERLANDはブラックカラーのパーツを随所に配備する

 インテリアについては“Robust Simplicity(ロバスト シンプリシティ)”というコンセプトのもと、シンプルさを強調しつつも力強さが感じられるデザインで仕立てる。インパネは水平基調でアレンジし、ここに12.3インチまたは7インチのフルデジタルメーターディスプレイや12.3インチセンターディスプレイ、マルチファンクションステアリングホイールなどを装備。最新のインフォテインメントシステムや「MyToyota」アプリによるコネクテッド機能も配備する。また、シートにはSoftex表皮のエルゴノミクスシートを装着して、高いサポート性と快適な座り心地を実現。さらに、操舵機構には電動パワーステアリング(EPS)を、制動機構には電制ブレーキシステムを採用した。

▲インテリアは“Robust Simplicity”というコンセプトのもと、シンプルさを強調しつつも力強さが感じられるデザインで仕立てる。インパネは水平基調でアレンジ

▲インテリアは“Robust Simplicity”というコンセプトのもと、シンプルさを強調しつつも力強さが感じられるデザインで仕立てる。インパネは水平基調でアレンジ

▲多様な情報を見やすく表示する12.3インチフルデジタルメーターディスプレイを設定

▲多様な情報を見やすく表示する12.3インチフルデジタルメーターディスプレイを設定

▲Apple CarPlay/Android AutoやBluetoothに対応した12.3インチセンターディスプレイを装備。空調などの物理的スイッチは使い勝手を鑑みてあえて残す

▲Apple CarPlay/Android AutoやBluetoothに対応した12.3インチセンターディスプレイを装備。空調などの物理的スイッチは使い勝手を鑑みてあえて残す

▲制動機構には電制ブレーキシステムを採用。センターパネルに2H/4H/4Lの切り替えスイッチを配備

▲制動機構には電制ブレーキシステムを採用。センターパネルに2H/4H/4Lの切り替えスイッチを配備

▲シートにはSoftex表皮のエルゴノミクスシートを装着して、高いサポート性と快適な座り心地を確保。写真はダブルキャブのキャビン空間

▲シートにはSoftex表皮のエルゴノミクスシートを装着して、高いサポート性と快適な座り心地を確保。写真はダブルキャブのキャビン空間

 パワートレインに関しては、まず前述したディーゼルモデルとBEVモデルが市場に放たれる。ディーゼルは最新の1GD-FTV型2754cc直列4気筒DOHCコモンレール式直噴インタークーラー付ターボディーゼルエンジンを搭載。最高出力は204ps/3000~3400rpm、最大トルクは500Nm/1600~2800rpmを発生する。トランスミッションには6速MTと電子制御式6速AT(6 Super ECT)を設定した。

 BEVについては、フロントアクスルに最高出力82.2kW/最大トルク205.5Nmを発生する電動モーター、リアアクスルに最高出力129.3kW/最大トルク268.6Nmを発生する電動モーターを配して4輪を駆動し、ダイヤモンド形状のサブフレームに取り付けられる駆動用バッテリーには総電力量59.2kWhを確保したリチウムイオン電池を採用する。駆動用バッテリーおよび電動駆動系は、フロントとアンダーボディの安全強化プレートで保護した。一充電走行距離は現地モードで315kmを実現している。

 2026年春に生産開始予定の48Vマイルドハイブリッドシステムは、2.8リットル直列4気筒エンジンに電動モーターおよびDC-DCコンバーターとリチウムイオン電池を組み合わせる。リチウムイオン電池は後席の下に配置し、キャビンスペースを大きく犠牲にすることなくハイブリッド化を達成している。

 2028年に登場予定のFCEVについては、現状では開発中のため詳細が明らかになっていないものの、トヨタが蓄積してきた燃料電池技術を存分に採用したうえで、悪路での走破性も考慮したシステムを搭載してくることが予想される。

▲ディーゼルモデルは最新の1GD-FTV型2754cc直列4気筒DOHCコモンレール式直噴インタークーラー付ターボディーゼルエンジンを搭載。最高出力は204ps/3000~3400rpm、最大トルクは500Nm/1600~2800rpmを発生する

▲ディーゼルモデルは最新の1GD-FTV型2754cc直列4気筒DOHCコモンレール式直噴インタークーラー付ターボディーゼルエンジンを搭載。最高出力は204ps/3000~3400rpm、最大トルクは500Nm/1600~2800rpmを発生する

▲BEVモデルはフロントアクスルに最高出力82.2kW/最大トルク205.5Nmを発生する電動モーター、リアアクスルに最高出力129.3kW/最大トルク268.6Nmを発生する電動モーターを配して4輪を駆動。駆動用バッテリーには総電力量59.2kWhを確保したリチウムイオン電池を組み合わせる

▲BEVモデルはフロントアクスルに最高出力82.2kW/最大トルク205.5Nmを発生する電動モーター、リアアクスルに最高出力129.3kW/最大トルク268.6Nmを発生する電動モーターを配して4輪を駆動。駆動用バッテリーには総電力量59.2kWhを確保したリチウムイオン電池を組み合わせる

 基本骨格については、新設計の高剛性キャブおよびフレームに、大幅改良を果たした前ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング式(アンチロールバー付)/後マルチリーフスプリング式のサスペンションを採用。グランドクリアランスはダブルキャブで224~225mmを確保し、BEVモデルのTRAVO-eでも215mmを実現している。

▲新設計の高剛性キャブおよびフレームを採用

▲新設計の高剛性キャブおよびフレームを採用

▲足回りは大幅改良を果たした前ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング式(アンチロールバー付)/後マルチリーフスプリング式サスペンションで構成

▲足回りは大幅改良を果たした前ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング式(アンチロールバー付)/後マルチリーフスプリング式サスペンションで構成

 先進安全運転支援システムのバージョンアップを図ったことも訴求点で、最新のToyota Safety Senseを採用。具体的には、カーブ減速とレーントレーシングアシストを備えた全速度域ダイナミックレーダークルーズコントロールや、ステアリングアシスト付きレーンディパーチャーアラート、プレコリジョンシステム、ブラインドスポットモニター、リアクロストラフィックアラート、前後パーキングセンサーなどの機能を組み込んでいる。

▲先進安全運転支援システムのバージョンアップも図り、最新のToyota Safety Senseを採用する

▲先進安全運転支援システムのバージョンアップも図り、最新のToyota Safety Senseを採用する

 

 

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