ひとつの時代を構築した伝説のスペシャリティクーペ、ホンダ・プレリュードが復活。それを祝して歴代モデルを一気乗り。ドライバーは青春の思い出、歴代を知るX世代の岡本幸一郎氏と、初体験のZ世代、西川昇吾氏の両名
Generation X/岡本幸一郎
プレリュードはデートカーの大定番。その全盛期、筆者は貧乏学生で指をくわえて見ていた側。いわば“うらやましいクルマ”という印象でした。運転席から助手席が倒せるなんて、きっと当時、開発陣にそういう人がいたんでしょう(笑)。チャラいイメージも強いけど、さすがホンダ、スポーツカーとしても見どころ満載で、エンジンだけでなく足まわりも相当いいという話もよく耳にした。4WSやATTSのように革新的なメカニズムも印象に残っている。
Generation Z/西川昇吾
「デートカー」ともいわれたプレリュードは、バリバリのスポーツカーではなく、GT的なキャラクターのスペシャリティカー。美しいスタイリングを追い求め、豪華装備が充実しています。今、2ドアクーペというとサーキットでのタイムや加速性能、各種スペックが注目されますが、そうではない価値が評価されていた事実は若手にとって新鮮です。「クーペで贅沢をする」ことが出来た日本の豊かだった時代を感じるモデルです。
Generation X/岡本幸一郎
現役当時にもリアが顔みたいだと思っていた。実際そのように造形したという話を当時のデザイナー氏から聞けて面白かった。初代だけ隔世の感があって、ピラーがやけに細くて唯一フェンダーミラーで、MTの細いシフトノブのストロークがやけに長くて、4本スポークのステアリングのそれぞれにホーンボタンがあって、回すとやけに重くてスローなことときたら。昔のクルマでよく見かけたレッド系のインテリアもなつかしい。
Generation Z/西川昇吾
初代は何だかアメリカ車的なイメージを思わせるデザインだと感じました。1978年登場ですが、この頃まだ日本人の「良いクルマ」のイメージがアメリカ車にあったのだなと思います。全体的に角ばっていて、実際のサイズよりも大きな印象を感じるスタイリングと、ヘッドライト周りまで取り囲むメッキが印象的なグリルが、USAを感じさせます。サンルーフやコノリーレザーシートなど時代を超える豪華装備も必見でした。
Generation X/岡本幸一郎
初代から乗り換えるとがぜん現代的になり、インパネが低くて見晴らしがいい、いかにも当時のホンダ車っぽい雰囲気になる。メーターはデジタル式。思えば当時はとても先進的に見えたものだった。当時最先端のエレクトリックナビゲーターもぜひ試してみたかった。運転した印象はラックアンドピニオンになったステアリングが初代とは別物。足回りの感覚もいまどきっぽくなって乗りやすい。「ALB」の表記がなつかしい。
Generation Z/西川昇吾
ココからデザインのテイストがガラッと変わってヨーロッパを意識した印象です。1~3代目のプレリュードを見ていると、日本人のクルマの好みが変わっていったことが実感できます。販売台数でも初代の約4倍も売れたのですから、確実に市場の好みを読み取ったデザイン変更といえます。また、リトラクタブルヘッドライトの採用はフロントフードの低さを際立たせるなと、初代と比べて見て改めて痛感しました。
Generation X/岡本幸一郎
プレリュードといえばやっぱりコレだよね。今回の中で一番、所有したい1台。学生だった頃に知人に乗せてもらったことはあったけれど、実は運転するのは初めて。こうして見比べるとフロントの異様な低さがあらためて印象的だ。4WSは初期が同相で途中から逆相になることを今回改めて理解した。いざ運転してみるとちょっと不思議な感じ。ドライビングしてこの3代目が現役だった頃のことをいろいろ思い出してなつかしかった。
Generation Z/西川昇吾
歴代モデルの中で最も売れた3代目、それは時代の後押しもあったのかなと思います。エピソードトークで語られましたが、「女子大生が選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたそうで、「多くの若い女性が車種名を知っている」のは若手にとって不思議な状況です。フェラーリよりも低いフロントフードや新技術の4WSなど、分かりやすく多くの人を振り向かせる要素が詰まっていたのもこの3代目だったのではないかと思います。
Generation X/岡本幸一郎
4代目は、某走り系編集部に在籍していた頃の現役モデル。頻繁に乗る機会があり、そのたびこの絶品なエンジンにホレボレしていたことを思い出した。始動時の軽やかなクランキング音もいい。今回は制限があって思い切りは踏めなかったが、ぜひまたいつか全開にして7500rpmまで回してみたい。奥で浮かび上がるようなディスプレイも印象的だ。ただ、あらためて見ても、もう少しカッコよかったらなぁと思わずにいられなかった…苦笑。
Generation Z/西川昇吾
個人的に今回の取材会で一番好みだったのがこの4代目でした。それはスタイリングが好印象なこともありますが、何といっても歴代プレリュードで初めて搭載されたVTECエンジンが、回したくなるフィーリングです。最高速度が50km/hika以下に制限された試乗だったため、「これからエンジンの美味しいところが…」と思って終わってしまいましたが、その先を期待してうずうずしました。最もスポーツ度が強いプレリュードだったといえます。
Generation X/岡本幸一郎
好評だった3代目に回帰したような外観は、いま見てもなかなかスタイリッシュだ。全開にしなくてもエンジンのよさは伝わってくるし、足回りもほどよくスポーティに仕上がっている。インテリアの雰囲気もいい。快適性も高そうだ。にもかかわらず国内販売台数が1万4000台ほどにとどまったと聞いて衝撃を受けた。どうしてそんなに売れなかったんだろう? まあ、このクルマが現役の頃は、みんなタイプRに目が向いていたからな…。
Generation Z/西川昇吾
歴代の中でも最も販売台数が少なかった5代目ですが、4代目と比べると原点回帰していると感じました。それを印象付けたのがインテリアです。4代目も未来的で挑戦的でしたがが、5代目は高級車の王道を行くような雰囲気となっていました。乗り味も4代目よりGT色が強くなっていた感触です。ただ、原点回帰しても売れなかったことを考えると、市場の価値観が時代と共に大きく変わっていったのだなと思わせます。
歴代プレリュードはセダン派生ではなく、当初からクーペとして開発されたスペシャリティモデル。美しいスタイリングと快適な装備群が最大のセールスポイント。ホンダ車ならではのスポーティな走りも追求していた。約25年ぶりに復活する新型は伝統の正統継承車