ル・マン24時間に挑むトヨタ、フェラーリ、ポルシェ、キャデラック、プジョーの横顔

ル・マン6連覇を狙うトヨタに対し、ニューカマー4チームはどう戦うのか

 WEC(FIA世界耐久選手権)第4戦ル・マン24時間の決勝レースが6月10日〜11日に行われる。今年で開催100周年を迎え、ウイナーには主催者がパリ造幣局に製作を依頼した記念トロフィーが手渡される。

 記念大会の盛り上がりを演出するのが、21年に導入された最上位カテゴリーのハイパーカーだ。空力性能を一定のレベルに抑えることによりデザインの自由度が生まれ、ブランドの個性を豊かに表現できることになった。エンジンの形式や排気量は従来と同様に自由だが、最高出力は520kW(707ps)に規制される。

 BoPと呼ぶ性能調整策によって速い車両に最高出力や最低重量などでハンデを加え、パフォーマンス差が拮抗するよう調整されるのも、新カテゴリーの特徴。23年からはアメリカIMSAの最上位カテゴリー(GTP)とWECハイパーカーの相互乗り入れが実現し、GTPに参戦するLMDh規格の車両でもWECのハイパーカーカテゴリーに参戦できる規則になった。これが、WEC全体を盛り上げる要因になり、22年のル・マン24時間に参戦したハイパーカーは5台だったが、今年は16台に激増している。

 16台を構成するハイパーカーは7車種だ。このうち、自動車メーカーが開発した車両は5車種で、残りの2車種はプライベーターが開発・製作した車両。自動車メーカー系ハイパーカーとプライベーター系ハイパーカーの最大の違いは、前者がハイブリッドシステムを搭載していることだ。

 自動車メーカーはトヨタ、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、キャデラックが参戦。ル・マン5連覇中のトヨタはハイパーカーの前身であるLMP1時代の12年から連綿とWECの最上位カテゴリーに参戦しており、新規定に移行した21年にいち早くハイパーカーを投入。

 3.5リッター・V6ツインターボエンジンを搭載するGR010ハイブリッド(7、8号車)だ。7号車は21年のル・マンウイナーの小林可夢偉選手らが、8号車は22年のル・マンウイナー、平川亮選手らがステアリングを握る。

 2.6リッター・V6ツインターボエンジンを積むプジョー9X8も2台(93、94号車)が参戦。9X8は22年からWECに参戦しているが、昨年はシーズン後半からの参戦だったため、ル・マン24時間は初挑戦となる。

 フェラーリは3リッター・V6ツインターボエンジンを積む2台の499Pを投入(50、51号車)。カーナンバーの50は、50年ぶりの耐久レース復帰にちなんだものだ。

 LMDh車両で挑むポルシェは4台の963(4.6リッター・V8ツインターボ)を送り込む。うち3台(5、6、75号車)は米国の名門ペンスキーと組むワークス参戦で、75号車はポルシェ・ブランドの誕生75周年を記念したカーナンバーだ。3台はいずれも、ル・マン24時間で活躍した歴代車両のカラーリングをミックスした特別カラーで走る。残りの1台(38号車)はプライベーターである。

LMDhのキャデラックは3台のVシリーズ.R(2、3、311号車)をそれぞれ青、黄、赤のカラーに塗り分けて出走する。

 今季はトヨタが開幕3連勝を達成。ただし、フェラーリやポルシェ、キャデラックが僅差で食らいついている状況。24時間の長丁場となるル・マンで、トヨタが積み上げてきた経験がどう発揮されるのか。地元開催だけに力の入るプジョーの巻き返しにも期待。スタートからゴールの瞬間まで目が離せない展開になるのは間違いない。

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