2026年7月号インタープロト関係情報

 

 2026年インタープロトシリーズPOWERED BY KeePer第1・2戦が5月9日~10日に富士スピードウェイで開催された。インタープロトはKYOJO CUPと併催され、初夏の陽気の気持ちよく晴れた富士のすそ野に過去最高となる9400人の観客を集めて開催された。

 インタープロトはご存知の方も多いと思うが、2013年に関谷正徳氏が中心となって立ち上げたワンメイクレースだ。関谷正徳氏は1995年に日本人初のル・マン24時間耐久レースで総合優勝を果たしたレジェンドドライバー。レースを人が主役となるスポーツにしたいという関谷氏の思いから車両をワインメイク化し、全車がイコールコンディションでドライバーのテクニックを競うのがインタープロトの魅力の源泉だ。ワンメイクレースでありながら、スーパーGTやスーパーフォーミュラに参戦中のトップドライバーが競う点も醍醐味のひとつ。インタープロトは1台のマシンをプロフェッショナルドライバーとジェントルマンドライバーが共有し、データロガーなどを用いてプロとの差をジェントルマンドライバーがチェックしながら弱点を克服しタイムアップを狙う。こういった参加を促すさまざまな仕組みがよく整備されており、年々ますますの盛り上がりを見せている点は、インタープロトの特徴といえる。

 観客サービスも独自のイベントを多数用意している。トークショーやピットウォーク、グリッドウォークは選手やマシンと観客の距離が近く、観客も間近で迫力と臨場感が味わえる。そして何と言っても注目を集めているのが同乗走行だ。

 筆者は今回、初めてインタープロトの同乗走行を体験した。取材でさまざまな同乗走行を経験してきたが、ほとんどはレース車両やラリー車両の助手席に乗り込み、単独で走行する場合が多い。それはそれで貴重な経験なのだが、インタープロトの場合は、ローリングスタートから始まるレースを模擬した同乗走行であり、音や横Gとともに視覚的にレースの疑似体験ができる点は、ほかで見たことがない。しかも抽選ではあるが、多くの観客が体験できる仕組みになっている。できるだけ多くの人を楽しませたいというサービス精神を実感できる取り組みといえる。

 同乗走行の仕組みは、まず誓約書に署名捺印。注意事項をレクチャーされ、ヘルメットを装着し点呼を待つ。点呼されマシンがポジションに着くと、指定された番号の車両に向かう。インタープロトのマシンは全長×全幅×全高4410×1950×1150㎜の比較的コンパクトなロー&ワイドフォルムが印象的だ。カーボンコンポジットとパイプフレームを組み合わせたマシンは、レーシングカー特有の開口部が小さい作り方で剛性を高めている。サイドシルは幅広く高さがありヒトが乗り込むために最小限の開口部となっているため、乗り込むにはコツがいる。インタープロトのマシンはとくに開口部が小さく、現代的な設計思想を感じた。足を先に入れて腰を滑り込むようにスライドさせて乗り込む。レースに必要な最小限のメーターやスイッチ類が整然と並ぶスパルタンなコックピットだ。ドライバーとの間隔は意外と近く、ワイドボディでありながら室内はタイトだ。

 今回の同乗走行はゼッケン37のKeePer号だった。ドライバーの牧野任祐選手に挨拶しながら4点式シートベルトをがっちり締める。ドアが閉められエンジンスタート。ミッドシップに搭載された3950㏄V6エンジンは1発で始動。牧野選手はスチールクラッチの感触を確かめるように発進させた。3位から前の2台を追うポジションだ。

 隊列が整いランプがグリーンに変わり、各車いっせいにアクセルを踏み込む。前2台はサイドバイサイドで1コーナーに飛び込んでいく。牧野選手はわずかに早めにブレーキングを踏み、前2台との間隔を一瞬あけた。コーナリング中に追いつき接近する。ブレーキングでは無理をせず、加速区間を重視する走り方であり、マシン同士が不必要に接触してしまうことを防ぐ有効策だと感じた。あっという間に1周の同乗走行は終了したが、途中GRスープラコーナーで一瞬だけリアがスライドし牧野選手がカウンターステアをあてた。小さくリアスライドしただけだったが、思いのほか素早く大きくカウンターステアを切ったことに少し驚いた。しかし、スリックタイヤとミッドシップカーとの組み合わせなので、リアスライドは一瞬にしてスピンに陥る可能性もあり、アクセルを緩めずタイムロスを防ぎながら早いタイミングでカウンターステアをあててスライドを抑える操作が必要なのだろう。溝があるタイヤとの違いをはっきりと認識させられた瞬間だった。

 インタープロトの同乗走行は貴重であり価値が高い。ぜひ1度、試してみることをお勧めする。

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