2025年――J-POPシーンは例年以上にアニメ主題歌が席巻した1年であった。音楽業界における最重要指標の一つであるBillboard JAPAN 年間総合ソング・チャート(JAPAN Hot 100)において、年間トップ10内にランクインした楽曲のうち半数となる5曲がアニメ主題歌という異例の顔ぶれとなったのである。これは単なる“アニメソングの隆盛”ではなく、アニメとJ-POPの両輪が相乗効果を生み出した結果と言えるだろう。
1位Mrs. GREEN APPLE「ライラック」TVアニメ『忘却バッテリー』
4位米津玄師「IRIS OUT」劇場版『チェンソーマン レゼ篇』
5位Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期 第2クール
7位サカナクション「怪獣」TVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』
10位米津玄師「Plazma」TVシリーズ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』
まず2025年の年間総合チャートの第1位に輝いたのは、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」である。「ライラック」はTVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマとして起用され、2024年のリリースにもかかわらず、2025年の年間チャートでも首位を獲得するロングヒットを記録した。アニメ放送時点から高い支持を得ていた本楽曲は、その躍動感あるロックサウンドと共に視聴者・リスナーの双方に強く訴求し、アニメ楽曲としての域を超えた国民的ヒットとなった点が、年間首位獲得につながったのである。
4位にランクインしたのが、米津玄師の「IRIS OUT」。この楽曲は劇場版アニメ『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として書き下ろされ、映画公開と同時期にリリースされると、アニメおよび映画ファンの双方の支持を背景にJAPAN Hot 100で長期にわたり上位をキープした。激しくも叙情的なサウンドは、作品世界のダークで荒廃した物語と密接に結びつき、楽曲そのものが劇場体験の象徴となるほどのインパクトを残した。
第5位には再びMrs. GREEN APPLEの「クスシキ」が登場する。この楽曲は人気TVアニメ『薬屋のひとりごと』のオープニング・テーマとして楽曲が広く認知され、ドラマティックな旋律とアニメの魅力的な世界観が結びついてファンの心をつかんだ。アニメ音楽としての完成度だけではなく、一般リスナーにも聴きやすいポップ性が高評価を受けたことは疑いない。
第7位にはサカナクションの「怪獣」がランクインしている。本楽曲はTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』の主題歌として制作され、サカナクションならではの革新的なサウンドが話題となった。疾走感と実験性を内包するこの作品は、アニメの壮大な物語と重なり合い、作品を象徴するテーマ曲として支持されたと言えるだろう。
第10位には米津玄師「Plazma」がランクインしている。「Plazma」はTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のオープニングテーマであり、ガンダムシリーズという国民的コンテンツの新章を飾る楽曲として発表された。放送開始直後からファンの間で話題となり、チャートでもトップ10入りを果たす結果となった。米津玄師による楽曲は、アニメの世界観をポップミュージックとして再構築する巧みさが評価され、アニソンの枠を超えた支持を得たと言える。
このように、アニメ関連曲がチャート上位を占める背景にはいくつかの理由がある。第一に、アニメというメディアそのものの人気が引き続き高く、視聴者層が楽曲への感情移入を深める傾向が強いことが挙げられる。アニメ視聴後に主題歌を繰り返し聴くという行動が日常化している状況は、ストリーミング再生数やダウンロード数というチャート指標に直結する。第二に、楽曲そのもののクオリティが高く、アニメファン以外のリスナー層にも受け入れられるポップ性や革新性を備えている点である。
また、年間チャートにランクインした楽曲の中には、アニメ放送終了後も長期的に再生される「ロングヒット」の傾向も見られた。これはアニメ視聴者がそのまま音楽ストリーミングサービス利用者となるという好循環が生まれていることの証明であり、アニメ関連曲が単なる“番組イメージ曲”を超えて、生活の中のサウンドトラックとして定着していることを意味している。
