子供の安全を守るのは親の責務である。子供をクルマに乗せるときには、必ずチャイルドシートやジュニアシートを利用して、子供の安全を確保する。小さな子供に補助シート利用の習慣を持たせるのは親の務めといえる。クルマの安全はシートベルト着用が大前提。そして体格に応じて的確なデバイスを利用しよう。
家族でクルマに乗るとき、子供の乗せ方にもきれいな運転、キタナイ運転がある。同乗者の安全を守れるのがきれいな運転、危険にさらすのがキタナイ運転だ。
車内の乗員全員がシートベルトをすることで初めて最低限の安全性が保たれる。シートベルトをしていない乗員がひとりでもいると、その人が危険なだけでなく、衝突の際にはシートベルトをしていない人が飛んでいきシートベルトをしている人にぶつかって危害を加える恐れがある。
さて子供の場合はどうするか。JAFのチャイルドシート乗車状況の2022年の調査レポートを見ると、チャイルドシート使用が74.5%で4分の3の子供しか守られていない。さらによく読むと1歳未満の乳児の場合には89.9%なのに、1歳~4歳児の場合は76.7%、5歳児は53.5%と成長するにつれ装着率が下がってしまっている。
そしてこれらは6歳未満の幼児に限った調査である。というのも、日本では6歳以上の小学生になるともう法律で縛られない。チャイルドシートに座らなくても罰則がないことから、使用率はもっと下がっていると予想できる。これは日本の法律を改正して、すべてのクルマに乗る子供の安全性を確保できるようにしなくてはならないと思っている。
ドイツでは12歳になるか、身長が150cmに達するまではチャイルドシートに座らなければならないと決められている。これはタクシーに乗るときでも同じで、捕まれば5000円程度の罰金が課せられる。
体の小さな子供は大人用に作られたシートベルトでは安全性が確保できない。子供は骨盤が小さいためラップベルトは腹部に掛かり、衝突時に内臓破裂の危険がある。背が低いとショルダーベルトは首に掛かり衝突時に首にケガを負う危険性がある。だから大人用のシートベルトが使えるような体格になるまではチャイルドシートが必要なのだ。
幼稚園から小学生向けにはジュニアシートと呼ばれるチャイルドシートがある。子供の成長に合わせてバックレストを伸ばすことができ何年にもわたって使用できる。
生まれるときにはあれだけ心配し、気を配っていたのに、少し大きくなると平気で子供を危険にさらしている。「チャイルドシートに座らせると子供が泣くので……」という父母がいる。筆者はそのとき、「泣く子供と、泣かなくなる子供とどちらがいいですか?」と聞くと、ハッという顔をして「これからはチャイルドシートに座らせます」と答える。それくらい真剣に子供の安全を考えてほしい。
夏の暑い時期にはチャイルドシートも熱くなる。金具の部分は火傷の危険もある。駐車するときはバスタオルなどでチャイルドシートを覆っておくといい。
もうひとつ夏になるとニュースになるのが子供をクルマの中に放置する事故だ。アメリカでは子供を車内に残していたら虐待になる。子供は寝ているし、エンジンをかけてエアコンをつけているから大丈夫と思っていても、子供が目を覚ましエンジンを切ってしまったり、スイッチに触れてエアコンがオフになったりすると炎天下の車内はすぐに温度が上がる。
車内に残された子供たちは何をするかわからない。車内に設置してある発炎筒で遊んでいて、火事になったという事例もある。 走っているときのチャイルドシートと同じように、止まっているクルマに子供を置き去りにする行為はキタナイ運転のトップランクに位置する。