【合成燃料の利活用】最新パワートレーン関連の動向

大阪・関西万博の来賓者用車両。合成燃料の活用を来賓にアピール

 

最近のパワートレーン関連の動き

 乗用車用パワートレーンの最新トピックスをお届けしよう。

<合成燃料の利活用>

 大阪・関西万博ではカーボンニュートラル化に向けた取り組みとして合成燃料を使ったクルマによる来賓や関係者向けの会場内運行が行われている。この取り組みはENEOS、スズキ、スバル、ダイハツ、トヨタ、マツダの6社によって実施。ENEOSは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用し中央研究所内に合成燃料の実証プラントを完成。供給体制を整えた。合成燃料は水素と二酸化炭素が原料で製品ライフサイクル全体で二酸化炭素排出量を抑える仕組み。既存インフラが活用できるため内燃機関のカーボンニュートラル策として注目されている。

大阪・関西万博の関係者用車両でも合成燃料の活用をアピール

 

 資源エネルギー庁では合成燃料の活用促進を徐々に推進するが、新しい技術である合成燃料は大量生産やコスト面などの課題がある。つまり研究を進め、普及段階に至るまで、まだ年数がかかる。そこでバイオ燃料に着目し、バイオ燃料を現在の燃料に混ぜて活用を進め、合成燃料の研究開発推進までの補完をする方法が考えられている。

 バイオ燃料は生物資源(バイオマス)を原料として製造される再生可能な燃料で、廃棄される植物油や堆肥、家畜の排泄物などを利用する。元の原料は植物なので二酸化炭素を吸収して成長しているため、燃焼時の二酸化炭素排出と相殺されカーボンニュートラルな燃料として期待されている。ガソリン、ディーゼル、航空燃料などにも利用可能。すでにブラジルではバイオエタノールがガソリン代替として使われていて、カーメーカー各社が技術対応済み、という利点もある。

資源エネルギー庁の発表資料より抜粋

 合成燃料の研究開発を進めながらバイオ燃料も合わせて活用し、BEVやFCEVだけでなくさまざまなエンジン車も含めたカーボンニュートラルを推進しようというのが現在の日本の考え方だ。

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