世界最高レベルの高効率太陽電池。公道での走行実証がスタート

 世界最高水準の高効率太陽電池を搭載した電動車の公道走行実証が7月下旬より開始される。
 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)、シャープ株式会社(以下、シャープ)、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)が行う。高効率太陽電池を電動車に搭載することによる、EV航続距離や燃費向上効果の検証が目的だ。

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▲太陽電池パネルは変換効率34%を超える複数の太陽電池セルを使用

 NEDOが2016年4月に設置した、産学の有識者からなる「太陽光発電システム搭載自動車検討委員会」。シャープやトヨタも参加し、これまでの成果として、「変換効率30%以上の太陽電池モジュールを使用すれば、自動車のような限られた設置面積においても、1kWの発電電力を実現することが可能である」「ユーザーの利用パターン次第では、年間の充電回数をゼロにすることが可能である」などと試算している。

 今回、実証を行うにあたり、シャープは、世界最高水準の高効率太陽電池セル(変換効率34%以上)を車載用にモジュール化して太陽電池パネルを製作。
 また、トヨタは、プリウスPHVのルーフやフード、バックドアなどに同パネルを搭載し、公道走行用実証車を製作した。
 太陽電池セルは約0.03mmの薄いフィルム状で、クルマのルーフやフード、バックドアなどの限られた設置面積でも曲面形状に沿って効率よく搭載可能。本実証車では、約860Wの定格発電電力を実現した。これは、市販の「プリウスPHV」(ソーラー充電システム装着車)と比べて約4.8倍になる。

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▲駆動用バッテリーへの充電を走行中にも行えるシステムを採用 EV航続距離や燃費の大幅向上を見込む

 トヨタによる走行実証は愛知県豊田市や東京都などで実施。太陽電池パネルの発電量や駆動用バッテリーへの充電量などのデータを検証。今後の車載ソーラー充電システムの開発に活かすことを目的とする。

 トヨタによる実証データの一部は、NEDO・シャープにも共有。「太陽光発電システム搭載自動車検討委員会」などで、CO2削減効果や、充電回数低減などの利便性向上効果などを評価し、運輸部門を含めた太陽電池パネルの新規市場創出とエネルギー・環境問題解決へのさらなる貢献を目指す。

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