2019年9月中国新車販売はダウントレンドが続くなか、トヨタとホンダが続伸

下げ止まりの端緒が見えない、中国市場の恐怖

 中国の新車セールスのダウントレンドが続いている。中国汽車工業協会の発表によると、9月の新車販売台数は、商用車と輸出を含めて約227万1000台。前年同月比は5.2%減と、15カ月連続で前年実績を下回った。中国経済の減速の影響は、深刻さを増しつつある。

レビンプラグイン.jpg▲トヨタ・レビン・プラグインハイブリッド 広汽トヨタが販売するモデル 一汽トヨタが販売するカローラ・ハイブリッドのBROS車

 そんな中、日系メーカーは4社中2社が前年実績超え。日系メーカー首位は、8月の2位から浮上したトヨタ。9月としては過去最高の14万3100台を販売し、前年同月比は1.6%増と、2カ月ぶりに前年実績を上回った。カムリや大型セダンのアバロン、小型セダンのレビンは好調だったが、カローラの販売が減少。レクサスは同10.2%増の1万7700台と伸びた。2019年1~9月は、前年同期比8.4%増の118万1300台を販売した。

 2位はホンダで、13万8056台を販売。前年同月比は4%増と、7カ月連続でアップした。シビックとアコードの主力2モデルが、それぞれ2万台以上を販売。ハイブリッド車も好調が持続した。アコード・ハイブリッドやCR-Vハイブリッド、オデッセイ・ハイブリッドなど5車種合計で1万3270台を販売。19年1~9月は、前年同期比16.4%増の112万9570台のセールスを達成した。

日産ラニア縮小.jpg▲日産ラニア 日産が中国の若いユーザーを想定して開発したモデル ラニアは藍鳥の意味 かつての「ブルーバード」敬意を払った名称だ

 3位は日産。8月の首位から後退した。販売台数は13万4713台で、前年同月比は4.6%減と、6カ月ぶりに前年実績を下回った。コンパクトカーのティーダが同25.1%増の7213台。SUVは、キックスが同22.4%増の4103台を売り上げた。7月発売の新型シルフィは、同16.2%増の3万7944台と、良好な立ち上がり。新型アルティマは1万345台を販売。ラニアは同25.5%増の4859台。19年1~9月、前年同期比0.4%減の109万983台を販売した。

 マツダは、2万617台にとどまり、前年同月比5.9%減と、3カ月連続のマイナス。アテンザとアクセラ、CX-5、CX-4の4車が販売の中心。アテンザが4092台、アクセラは7824台、CX-5が3111台、CX-4が5425台を販売した。19年1~9月は、前年同期比23.2%減の16万1742台にとどまった。

 プレミアムブランドは、メルセデス・ベンツが9月の新記録の6万1664台をセールス。前年同月比は12.9%増と、4カ月連続で前年実績を上回った。EクラスとCクラスのロングホイールベース車が販売の中心。Sクラスは9月の販売記録を更新した。19年1~9月は、同期で過去最高の52万5890台を販売。前年同期比は5%増と、前年実績をクリアしている。

 アウディは6万3593台を販売。前年同月比は3.3%減と、4カ月ぶりに前年実績を下回った。現地生産のセダンとSUVのロングホイールベース車が人気だ。19年1~9月は、前年同期比1.7%増の49万1040台を販売した。

 ボルボカーズは1万4920台を販売。前年同月比は13%増と、7カ月連続でアップした。現地生産のXC60とセダンのS90が販売の中心。19年1~9月は、10万9512台を販売し、前年同期比13.8%増と、前年実績をクリアした。

 ジャガー・ランドローバーは前年同月比24.3%増(台数は未公表)と、3カ月連続のプラス。これは、7月に新型レンジローバー・イヴォークを発売した効果が大きい。世界的に見ると、ジャガー・ランドローバーの販売は微減状態だが、中国市場は極めて好調だ。19年1〜9月は、9万1630台で、前年同期比4.2%増加している。

 ジャガー・ランドローバーの営業担当チーフ、フェリックス・ブラウティガム氏は、「逆風が吹く中国市場において、3カ月連続で2桁の成長を達成した。これは、現地の再建計画の効果だ」と語り、中国市場への確かな手応えを示している。

 19年1~9月の中国新車累計販売台数は約1837万台にとどまり、前年同期比は10.3%減と落ち込んだ。年間販売2000万台超えは確実にしても、一時の勢いはすっかり薄れた。

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