ボッシュ、cellcentricへ燃料電池コンポーネントを提供

 ボッシュはダイムラー・トラックAGとボルボ・グループABの折半出資の合弁会社であるcellcentricと、パワーエレクトロニクス付き電動エアコンプレッサーのコンポーネントを提供する長期契約を締結したと発表した。

▲ボッシュ、cellcentricとパワーエレクトロニクス付き電動エアコンプレッサーの長期供給契約を締結
▲ボッシュ、cellcentricとパワーエレクトロニクス付き電動エアコンプレッサーの長期供給契約を締結

 昨今、世界中で燃料電池が自動車向けに採用され始めている。ボッシュは、この展開における次のマイルストーンとして、パワーエレクトロニクス付き電動エアコンプレッサーの大型受注を獲得している。このコンプレッサーは、燃料電池システムの酸素供給量を調節するものだ。

今回、ボッシュとcellcentricの間で締結された長期契約は、将来、大型トラックの重要な役割を担う燃料電池システムに欠かせないものになると考えられている。

 ダイムラー・トラックAGとボルボ・グループABの折半出資の合弁会社であるcellcentricは、バリューチェーン全体におけるあらゆる活動に関与している。この合弁会社はボッシュと同様に、燃料電池システムの製造で世界をリードし、2050年までにクライメートニュートラルで持続可能な輸送の実現に貢献することを目標として掲げている。このエアコンプレッサーは将来、大型トラックおよび定置用途で重要な役割を担うcellcentricの燃料電池システムに欠かせないものになると考えられている。量産は、2020年代中頃から始まる予定だ。

▲高速電気モーターの生産は複雑な技術を伴うため、ハイテク製品が雇用を守るとも
▲高速電気モーターの生産は複雑な技術を伴うため、ハイテク製品が雇用を守るとも

 燃料電池の内部では、水素が大気中の酸素と反応し、電気エネルギーに加えて水と熱を生成する。燃料電池パワートレインをグリーンな水素、すなわち再生可能エネルギーを用いて作られた水素で動かせば、その車両はクライメートニュートラルになる。必要な量のろ過された空気を供給する電動エアコンプレッサーは、燃料電池システムのコアコンポーネントのひとつだ。

ボッシュは、このコンポーネントの開発に尽力しており、15の部門横断チームが電動エアコンプレッサーの市販化に取り組んでいる。現在20kWと30kWの2つの出力クラスのエアコンプレッサーを提供している。

 30kWクラスは作動電圧450~850V、20kWクラスは作動電圧250~450Vまたは450~850Vを誇る。コンプレッサーホイールの回転数は、100,000rpm以上に達する。

■ボッシュのパワートレイン ソリューション事業部長 Uwe Gackstatter氏 コメント
「高速電気モーターと内蔵パワーエレクトロニクスの組み合わせにより、競争力のある製造コストを維持しながら、簡単にシステムを統合することが可能になります。加えて、ボッシュのパワーエレクトロニクスに使われているシリコンカーバイド半導体が、このパワフルなコンポーネントの効率を大きく高めます。こうした特徴は、cellcentricが探し求めていたものです」

 また、ハイテク製品が雇用を守るともGackstatter氏は語る。エアコンプレッサーにおける最大の技術的課題は、エアベアリングとパワーエレクトロニクスを含めた高速電気モーターの生産規模を、特注生産から量産へと拡張することだ。これらのシステムは、全体的に商用車のディーゼル燃料噴射システムに匹敵するほど技術が複雑であるため、雇用に好ましい影響を及ぼすという。

ボッシュはモバイルおよび定置用燃料電池に取り組む

 ボッシュは、水素にはエネルギー媒体としての明るい未来があると信じており、この領域に多額の先行投資を行っている。2021年から2024年にかけて、モビリティ用途の燃料電池に約6億ユーロ、さらに発電と熱を生成する定置型燃料電池に4億ユーロを投じる計画だ。車両向け製品ポートフォリオは、個々のセンサーをはじめ、電動エアコンプレッサーやスタックなどのコアコンポーネント、燃料電池モジュール一式にまで及ぶ。

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