中国で日本車のユーズドカーが高評価なワケ

日本車は故障が少なく、信頼性が高い。新車販売にも好影響

中国の中古車 メインカット.jpg▲ホンダ・アコド・スポーツハイブリッド(写真はホンダのHPから)

 2019年の中国自動車市場(工場出荷台数)は1〜11月累計で2311万台、前年同期比9.1%。1年連続の前年比マイナスが確実になった。自動車メーカーの国別で見ると中国民族系は前年比16.9%減、米国系は同23.2%減、フランス系は同53.7%減と軒並み減少。ドイツ系は0.7%増と手堅いが、日系は3.0%増である。日系車の人気の秘密は何か。

 中国のある大学で自動車流通を研究している教授によると「日本メーカー勢は欧米勢の市場開拓が進んでいない内陸部の都市に、3〜4年かけて販売店を展開してきた。その成果が確実に現れた」という。同時に「日本車はユーズドカーとしての価値が高く、買い換えるとき下取り価格で有利という認識が広まった」点を指摘する。

 実際、中国のユーズドカー市場は成長を続けている。16年にユーズドカー取り引きをめぐる販売業者の税制が変更され、一般の自動車ディーラーや査定業者がユーズドカー販売に参入。初めて年間1000万台を突破した。17年は前年比19.3%増の1241万台、18年は同11.5%増の1382万台となり、19年は1500万台を突破する勢いだ。JETRO(日本貿易振興機構)によると、中国の新車販売台数に対するユーズドカー販売の比率は16年が37.1%、17年が43.0%、18年が49.2%と急上昇している。

 19年の新車販売台数が昨年12月並みになると仮定すると年間の販売台数は2577万台。ユーズドカーが昨年より10%増えると1520万台。新車に対するユーズドカーの比率は59%となる。ユーズドカーが増えた理由として販売関係者は「30代を中心にユーズドカーに対する抵抗感が薄れた」「ユーズドカー専門のウェブサイトとユーズドカー検索アプリが登場した」「短期間で買い替え、いろいろなクルマに乗りたいというユーザー層が出現した」などを挙げている。

中国のアルファード.jpg▲トヨタ・アルファード(写真はトヨタのHPから)

 モデル別では「日本車の人気が全体的に高い」という。たとえば人気輸入車のトヨタ・アルファードは、新車登録から1年後に残存価格87%、3年後でも74%が保証されている。中国ブランド車の大半が購入後1年でせいぜい60%台ぎりぎり、3年乗れば50%を下回る例も少なくない中で、アルファードは圧倒的に価値が高い。そのためトヨタは姉妹車のヴェルファイアも中国に輸出を始めた。

 トヨタ・カムリも残存価格が高く、1年後に77%、3年後でも63%。中型セダンではホンダ・アコード、日産ティアナも高い。マツダの最上級セダン、マツダ6は1年後に76.8%、3年後にはメルセデスCクラスよりも率がよく65%。輸入車のSUBARU・BRZは1年後77.6%、3年後65%が相場だという。  別のユーズドカー査定業者は「アコードやカムリなど日本車の中型セダンは、新車購入から3年後で手放す場合はアウディA4やBMW3シリーズよりも下取りで有利」という。BMWなど欧州製セダンは、ロングホイールベース仕様は日本車を上回るが、通常仕様は日本車のほうが査定額は上になってきたようだ。

 こうした残存価値の理由は「故障しにくい」「品質が安定している」「修理費が安い」点にある。2019年は中古車人気の影響で、日本の新車も好調だった。

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