新型デリカミニは日産ルークスとBROS車の関係になる三菱オリジナルモデル。フロントウィンドウ位置を従来より10cm前方に移動、キャビンのキュービック化で逞しさが高まった。新型は大きく見える。ボディカラーは新色のデニムブルー(写真)など、2トーン6種、モノトーン9種の全15タイプを設定。4WDの最低地上高は160mm
三菱自動車は、2025年8月22日、新型デリカミニとeKスペースの概要を発表した。「デリ丸。」として高い人気を博しているデリカミニは2023年5月に発売。「もう新型を発売するの?」というイメージだが、現行型は、eKクロススペースの改良版として新ネーミングで登場した経緯がある。ベースモデル、eKクロススペースを起点に考えると5年以上が経過しているから、新型デビューは順当といえば順当といえる。
デリカミニ、ekスペースとも、日産ルークスと基本プロポーションとメカニズムを共用するBROS車だが、それぞれが三菱のスーパーハイトワゴンとしての独自の魅力を発散する。魅力はデリカミニが独自のアウトドアイメージ、eKスペースは、幅広い世代にマッチするフレンドリーな雰囲気。販売主力のデリカミニの魅力を紹介しよう。
デリカミニの開発コンセプトは“Advanced Active reliable partner=進化したアクティブな頼れる相棒”。デリカミニは伝統あるデリカの弟分だけに、各部の工夫とこだわりは格別。存在感たっぷりのエクステリアはもちろん、圧倒的に広く使い勝手に優れた室内。とてもKカーに見えない優れた質感と先進装備。さらに三菱らしいタフなメカニズムなど、どのポイントも商品力は抜群だ。「比較して選ぶ」のではなく、「指名買い」したくなる強いアピール力を発散する。
開発陣は「初代デリカミニは、ベースモデルの改良版だったため、変更部位や搭載装備に制約がありました。新型はゼロから[理想のデリカミニ]として開発しました。これが私たちが作りたかったモデルです」と説明してくれた。
ラインアップは従来と同様にワイド。パワーユニットは自然吸気とターボが用意され、本命の4WDは大径タイヤを標準装備。最低地上高は160mmを確保した。なお新型のパワーユニットは旧型のマイルドハイブリッドから純エンジンに変更された。これは各部の効率改善により純エンジンで優れた燃費を実現できたことが要因。パワートレーンの軽量化という点でも大きなメリットを生んでいる。
スタイリングは、デリ丸。ならではのキュートな目元が印象的だ。Kカーなので3395×1475mmの全長と全幅は従来と変わらないが、一段とタフで伸びやかなイメージに仕上がっている。ガッチリとした印象を高めた要素はフロントウィンドウの位置変更とキャビンのスクエア化。新型のウィンドウは従来比で10cm前方に移動され、キャビンは一段とキュービックスタイルに変更。つまり理想のBOXスタイルに近づいた。デリカミニはそのうえで前後バンパー、ボディサイドに専用造形を採用。安定感とタフなイメージを訴求する。ボディカラーは新色のデニムブルー(とサンドベージュを加えた合計15タイプ。ブラックルーフの2トーン6種と、モノトーン9種から選べる。リアのスライドドアはクラス最高レベルの650mm。ワイド開口の持ち主である。
室内に乗り込むと上質さに圧倒される。先進の装備群と丁寧な仕上げが印象的。もちろん広さも抜群である。インパネは12.3インチのセンターディスプレイと7インチメーターを一体化したデジタル仕様。造形とカラーリングの工夫で高い質感を実現した。フロントクォーターウインドウの大型化により視界が一段とワイドになったのもうれしいポイントだ。
センターディスプレイはGoogle搭載の最新タイプ。つねに最新の地図情報を表示するだけでなく、音声による各種の車両操作が可能だ。もちろん各種のアプリが活用でき、停車時にはYoutubeなどの動画コンテンツが楽しめる。使い慣れたスマホと同じイメージで多彩に使いこなせるのは大きなアドバンテージだ。立体的に確認できる3Dマルチアラウンドビューモニターの設定もニュースである。
シートは前後ともソファー感覚の座り心地に優れた設計。後席は左右独立でスライド&リクライニングが可能。アクティブ派にとってうれしいのは、フルフラット機能の進化だ。後席シートバックを前倒しし、前席をリクライニングさせると車中泊にも最適なフラットスペースが出現する。前後席との段差は旧型の58mmから40mmに低減。簡単なマットを用意するだけでくつろぎの空間にアレンジできる。
なおシート生地は撥水処理済み。ラゲッジボードと後席シートバックは汚れに強く、濡れても安心な樹脂&PVC製。アウトドアでも安心して使える。上級グレードは前席シートヒーターに加え、ステアリングヒーターを装備するのもポイントだ。
新型は走りも充実。エンジンとトランスミッションの協調制御を徹底し、加速の力強さと静粛性を大幅に改善。足回りにはカヤバ製の“Prosmooth“ショックアブソーバーを採用した。路面追従性と乗り心地は大幅に向上したという。さらに路面状況に合わせ、ノーマル/エコ/パワー/グラベル/スノーの5種の走行モードが選べるグリップコントロールを装備。新型はデリカのネーミングにふさわしいオールラウンド性能を確保した意欲作。1台で日常からアウトドアシーンまで多彩に楽しく使える、まさに”頼れる相棒“といえる。