日産が第7世代のパトロールに高性能モデルの「パトロールNISMO」を設定。最高出力495hpを発生する専用チューニングのVR35DDTTエンジンや専用エキゾースト、高出力化に合わせてセッティングを見直した専用サスペンション、NISMOならではのアイコニックなデザインを纏ったエクステリアおよびインテリアなどを採用して、高性能SUVとしてのパフォーマンスを向上
日産自動車は2025年6月25日、第7世代のパトロール(Y63)の高性能モデル「パトロールNISMO」を初公開した。
パトロール史上初のNISMOモデルとなる新型パトロールNISMOは、高性能モデルの企画・開発を得意とするチームが、既存のパトロールをベースにサーキット由来の高い技術を組み合わせて設計。専用にチューニングされたV6ツインターボエンジンや、ひと目でNISMOと分かる、優れた空力性能を持つエクステリアに加え、専用サスペンションや専用エキゾーストを採用して、NISMOモデル独自のハイパフォーマンスSUVに仕立てたことが特徴である。
▲新型パトロールNISMOはパトロール史上初のNISMOモデルに位置。高性能モデルの企画・開発を得意とするチームが、既存のパトロールをベースにSUVの力強さとサーキット由来の高い技術を組み合わせて設計する
まずエクステリアは、NISMOならではの個性とSUVらしい力強さを強調するとともに、空力性能を大幅に高めたことがトピックだ。フロントビューは縦と横のラインによって構築されたVモーショングリルと立体的なハニカムメッシュを採用し、ラジエーターへの空気流入を最適化。合わせて、フロントバンパー左右に設けたエアカーテンと、カナード形状のフロントスポイラーによって風の流れをコントロールすることで、空気抵抗の低減とともに効果的なダウンフォースを生成する。また、新設計のフロントバンパーはブレーキの冷却性能を高めるデザインとし、ブレーキディスクの温度を6%低下させることで高負荷走行時での安定した制動力を確保した。一方でリアセクションは、延長されたリアスポイラーとエッジが重なって見えるレイヤード・ディフューザー形状のリアバンパーを配して、車両後方の風の流れを整流して空気抵抗を低減。さらに、バンパーの両端にエアスプリッターを装備することで、ボディサイドからの風の流れを理想的に剥離させる。NISMOを表現する赤いアクセントと機能性を両立した専用パーツを随所に組み込んで、より存在感を強調したことも訴求点である。ボディサイズは既存のパトロール比で90mm長く、40mm幅広く、高さとホイールベースが同寸の全長5295×全幅2070×全高1945mm、ホイールベース3075mmに設定。最低地上高は既存のパトロールの244mmに対して195mmにローダウンする。ボディカラーはNISMO専用のNISMOステルスグレーのほか、ホワイトパール、グレーメタリック、ブルーメタリック、ブラックパールをラインアップ。モノトーンのほかに2トーンのカラーも選択可能としている。
▲ボディサイズは既存のパトロール比で90mm長く、40mm幅広く、高さとホイールベースが同寸の全長5295×全幅2070×全高1945mm、ホイールベース3075mmに設定。車重は2817kgと、既存のパトロール比で+4kgに抑える
インテリアに関しては、ダッシュボードやシート、ステアリング、ドアパネルをブラック基調としたうえで、精巧な金属調のフィニッシャーと高級感を醸し出すスエード調の表皮を採用して、スポーティさと上質さを強調。また、赤いシートベルトやスタータースイッチ、カーボン調の加飾を随所に配置することで、高性能モデルならではのキャビン空間を演出する。スポーティ感を高めるアルミ製のアクセルペダルおよびブレーキペダルなども装備した。一方、シートレイアウトは2/3/3名乗車の8名乗りで構成。ヘッドレスト部分にNISMOロゴを刺繍した前席スポーツシートには、本革と赤いスエード調素材の表皮を組み合わせるとともに電動ボルスター調整機能を内蔵して、体の滑りを抑えながらしっかりとしたホールド性を確保した。
注目のパワートレインは、既存のVR35DDTT型3492cc・V型6気筒DOHC24V直噴ガソリンツインターボエンジンをベースに、専用チューニングを施して搭載。最高出力はべースユニット比で70hpアップの495hp/5600rpm、最大トルクは700Nm/3600rpmを発生する。製造は日産のいわき工場が担当し、赤いエンジンカバーとスペシャルメタルプレートを配備した。一方、トランスミッションにはエンジンの高出力化に合わせてセッティングを見直した電子制御式9速ATとパドルシフトを採用し、直線でも山岳路でもダイレクトな走行感覚を提供する。さらに、深みと迫力を感じるサウンドを奏でる専用のエキゾーストシステムを配備。エンジンサウンドの音質を高める、室内のアクティブサウンドエンハンスメント(ASE)システムと組み合わせることで、ドライブ時の高揚感をいっそう向上させた。
▲専用チューニングを施したVR35DDTT型3492cc・V型6気筒DOHC24V直噴ガソリンツインターボエンジンを搭載。最高出力は495hp/5600rpm、最大トルクは700Nm/3600rpmを絞り出す。赤いエンジンカバーとスペシャルメタルプレートを専用装備
シャシー面の強化も図り、NISMOによって専用チューニングを施した電子制御ダンパーは、リアルタイムに減衰力を自動調整。制御の応答性を引き上げたことで、鋭いコーナリング性能と砂漠地帯などの高速クルージング時の安定性を両立する。また、電子制御パワーステアリングのチューニング変更も敢行。都市部などの低速走行時においては取り回し性を重視して操舵力を軽くし、高速走行時には路面状況を的確に把握でき、安定感を感じる操舵力に調整するようセッティングした。さらに、足もとにはRAYS社と共同開発した22インチ鍛造アルミホイールを装着。9スポークデザインで仕立てたこのホイールは、リム幅をワイド化しながら軽量化と高剛性を両立し、合わせてホイールに大きな開口部を設けてブレーキの冷却効果を向上させる。表面をグロスブラックで仕上げるとともに切削加工を施し、リム部にNISMOロゴを入れて、上質感と機能性の両方を感じるデザインとしたこともアピールポイントだ。そして、タイヤには専用開発のブリヂストン製高性能タイヤを組み合わせ、より高い次元の高速安定性とコーナリング性能を実現している。
▲NISMOによって専用チューニングを施した電子制御ダンパーはリアルタイムに減衰力を自動調整。制御の応答性を向上させたことで、鋭いコーナリング性能と砂漠地帯などの高速クルージング時の安定性を高次元で両立する
なお、日産はパトロールNISMOを本年7月より中東地域で販売開始すると予告。日本への導入に関しては、ベースとなった第7世代パトロールを含めて、現在のところ正式なアナウンスはない。