【Mを知る】最新M5は電動化にもこだわった新世代。1000Nmの圧倒的トルク、究極のスーパーセダン!

BMW M5/価格:8SAT 2048万円。第7世代のM5は時代が求める電動化に対応。4.4リッター・V8ツインターボ(585ps/759Nm)とモーター(197ps/280Nm)、そして22.1kWhバッテリーを組み合わせたPHEV。システムトータルスペックは727ps/1000Nm! 実力はスーパースポーツに匹敵。バッテリーは床下に配置。前後重量配分は50対50

BMW M5/価格:8SAT 2048万円。第7世代のM5は時代が求める電動化に対応。4.4リッター・V8ツインターボ(585ps/759Nm)とモーター(197ps/280Nm)、そして22.1kWhバッテリーを組み合わせたPHEV。システムトータルスペックは727ps/1000Nm! 実力はスーパースポーツに匹敵。バッテリーは床下に配置。前後重量配分は50対50

Mはスポーツセダンづくりの名手。M5はその代表

 M5は、いわずと知れたBMWを代表するリアルスポーツセダンである。昨年10月に発売された最新G90型は第7世代だ。ちなみにM5のベースとなる5シリーズは、現在のBMWの技術的な礎を築いた1961年登場の4ドアセダン、1500(通称ノイエクラッセ)がルーツ。Mのイメージリーダーは「3シリーズから発展したM3(そしてM4)である」という説にも賛同するが、個人的にはM5をM3以上の王道モデルと考えている。これには3代目と4代目のM5をプライベートカーとして楽しんだという経験も大いに影響している。

スタイル

エンジン

 M5は、Mが考える理想のスポーツセダンを実現するため、時代に即してパワーユニットを革新してきた。初代(E28)と2代目は名車M1由来の直6ストレート6で、排気量は3.4〜3.8リッター。3代目(E39)で4リッターのV8に発展し、4代目(E60)でついに5リッターのV10に上り詰める。ここまでは自然吸気の時代。5代目以降はターボを組み込み、5代目(F10)/6代目(F90)とも4.4リッター・V8ツインターボをノーズの下に配置した。

 もちろん最高出力はいつの時代も超パワフル。初代こそ285psだったが、2代目は300psオーバー、3代目で400psに到達し、4/5代目は500psを突破、先代の6代目でついに600psの大台に到達した。そのハイスペックは、セダンの範疇を大きく超え、スーパースポーツと同等である。

リア走り

 最新7代目のパワーユニットは、時代が求める電動化を導入しながら、さらに過激に進化している。585psの4.4リッター・V8ツインターボに第5世代のBMW eDriveテクノロジーを採用した電気モーターと22.1kWhのバッテリーを組み合わせ、システムトータルで727psの最高出力と1000Nmの最大トルクを発揮するのだ。まさにスーパーな強心臓である。しかもプラグインハイブリッド(PHEV)なので、満充電時で75kmのEV走行が可能。圧倒的なスペックと、優れた環境性能の両立は、さすが最新のMだと感心する。ちなみにこのパワートレーンは、XMのリファイン版。つまりすでに信頼性とドライバビリティが実証されている。その点もさすがである。

ただならぬ存在感と見事なサウンド演出。ドライバーを陶酔の世界に誘う

 対面したM5は、圧倒的な存在感の持ち主だった。試乗車がマットカラーだったこともあるが威圧感MAX! ブラック仕上げの大型キドニーグリルとヘッドライト、前後とも大きく張り出したフェンダーで、ただならぬ気配を発散する。歴代M5は、どちらかというと、さりげない造形だった。しかし最新型は全身マッスル。高速道路では、普通に走っていても前方の車両が道を譲ってくれた。最近、フェラーリやポルシェでも道を譲ってくれない。上品とはとてもいえないが、主張を感じる造形であることは確かだ。

 ボディサイズは5075×1970×1510mm。大柄だが、思った以上に車両感覚の把握は楽。街中やワインディングでも持て余すことはなかった。

走り

インパネ

 圧巻は、やはりドライブフィールである。最新M5はモーターで走っていても、つねにエンジンが主張する。それはどういう意味か。Mのエンジニアが見事なV8サウンドを調律。走行状況に応じて車内に響かせるのだ。最初はエンジンが起動しているのかと思った。だがタコメーターを確認すると0を指している。通常のPHEVの場合、モーター走行時は「無音」が一般的だがM5は例外。心地よい鼓動がある。だからアクセルを深く踏み込んでエンジンが始動しても違和感は皆無。一貫したパワフルなイメージが感覚面でもシームレスに繋がる。このサウンド演出は決してギミックではない。心地よいスポーツランには、それ相応のBGMが必要と開発者が判断した結果だ。その演出は見事。アクセルの踏み込み、スピードの上昇にリニアに対応し、本物のV8サウンドと渾然一体となって「M5の世界」にいざなってくれる。最新M5は、エンジンを愛する旧来のマニアにも深い満足を与える電動車だ。

タイヤ

マフラー

 もちろんパフォーマンスは超一級。ドライバーの望むまま、いや望む以上の速さを瞬時に提供する。フルに727ps/1000Nmの実力を味わうにはサーキットに持ち込むしかないだろう。

 最高に楽しかったのは2速が主体、つまり速度があまりハイスピードにならないワインディングランだった。最先端のシャシー制御プログラムとM5初の4輪操舵機構、Mデファレンシャルなどがスクラムを組み、ドライバーに歓びの時間を提供する。ハンドリングはまさにスポーツカー感覚。エンジンのレスポンスも最高。しかもクルマ側が破綻をきたさないように守っているのに、うまく操っているという満足感を与えてくれるのがいい。久しぶりに心地いい汗をかいた。

前席

後席

 乗り心地は低速時こそ硬質だが、スピードが上昇するとフラットに変化。最上のツーリングカーとなる。ただし個人的にシートが合わなかった。1時間以上座っていると腰痛が発生。BMWでは初めての経験だ。座り方の問題かもしれないが、これだけは残念だった。

エンブレム

諸元フォトギャラリー

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