【Ferrari News】日本にも降臨! フェラーリ296スペチアーレ&296スペチアーレA誕生。システム出力880cv! ドライビングの興奮は新たな高みに

フェラーリ296スペチアーレ。パワートレーンは3ℓ・V6ツインターボとモーター、総電力量7.45kWhのバッテリーで構成。エンジン単体出力は700cv、システム出力は880cvを誇る。トップスピードは330㎞/h

フェラーリ296スペチアーレ。パワートレーンは3ℓ・V6ツインターボとモーター、総電力量7.45kWhのバッテリーで構成。エンジン単体出力は700cv、システム出力は880cvを誇る。トップスピードは330㎞/h

スペチアーレはエレガントにしてスパイシー

 標準モデルをまずは発表し、そのデリバリーがある程度落ち着いた頃に高性能版を発表する。そして、その開発プロセスで得られた知見を標準モデルのマイナーチェンジもしくはフルモデルチェンジに活かす。そんな開発と商売の輪廻は、マラネッロに限らず、スーパーカーブランドのいつもの戦略である。

 カスタマーもそれを知っているから、新しいモデルが出るたび、「数年後の高性能版」を期待する。中には高性能版を手に入れるためにスタンダードモデルを何台か買う猛者もいるほどだ。

アンベール

 フェラーリ296GTBのデビューは2021年半ば、スパイダーの296GTSは2022年の春だった。296シリーズが揃ってから3年が経つが、当初から高性能グレードへの期待は高まっていた。296は非常によくできたリアルスポーツカーだから、その高性能版を期待するなという方がおかしい。そして未来のカスタマーは「まだ見ぬ高性能版」をシンプルに「VS(バージョン・スペチアーレ)」もしくは「スペチアーレ」と呼んでいた。スペシャルモデルという意味である。

サイドビュー

2台リア

 マラネッロが発表した296高性能版の正式名称は、ベルリネッタが296スペチアーレ、スパイダーは296スペチアーレA(アペルタ)である。スペチアーレは、以前にもあった名称(458スペチアーレ)だったし、あまりに予想どおりで驚いた。F80にスペチアーレと、このところフェラーリはストレートな名前が続く。理由は「予想どおりのクルマ(296高性能版)で、カスタマーも296スペチアーレと呼んでいたから」、らしい。王者の振る舞いである。

 実物をマラネッロで見て個人的にはとても驚いた。ベルリネッタがアッセンブルラインでも多く見かけたグリーン系の新色ヴェルデ・ニュルブルクリンク、スパイダーは懐かしくも鮮やかなロッソ・ディーノというやや朱色がかった赤に塗られていたからではない。

 エクステリアデザインに驚いたのだ。これまでの高性能版と同様に、296スタンダードモデルのエレガントさを存分に残している。最近流行りの大型エアロデバイスがなかったからだ。F80の流れに乗って、296のレーシングカーであるチャレンジストラダーレやGT3のイメージで出てくるかも、と期待していたファンも多かった。

 とはいえチェントロスティーレがエアロダイナミクスの性能アップを控えたわけでも、カーボンウィング代をケチったわけでもなかった。空力性能は確実に、そして想像以上に向上している。

赤フロント

クーペリア

 フロントのエアロダンパーは従来からのSダクトに代わる装備。ラゲッジ容量を標準モデルと同等レベルに確保しつつ、スタビリティを高めることでハンドリング性能を向上させた。ダウンフォースはバンパースポイラーのサイド部分で稼ぐのだという。実にロードカーらしい工夫だ。リアを見ればボディサイドまで回り込んだ控えめなサイドウィングが特徴的である。これを標準モデルにも存在したアクティブスポイラー(新たに三段階となってレスポンスも早くなった)と組み合わせた。ダウンフォース総量はスタンダードモデルに比べて2割増し(250㎞/hで435㎏)。ちなみにリアセンター出しのエグゾーストシステムはF80風デザインだ。

室内01

室内02

 インテリアはマラネッロ製スペシャルモデルの伝統に則ったシンプルな仕立てだ。センターコンソールはほぼ直線的な造形にリデザインし、ドアインナートリムも簡素化された。マテリアルはカーボンやアルカンターラの使用量が見るからに増えている。足元フロアには滑り止め付きパネルが敷かれていた。

 パワートレーンも魅力的に映る。120度3ℓ・V6ツインターボエンジンはワンメイクレース仕様のチャレンジ用と同等レベルの最高出力700cv/8000rpm、最大トルク755Nm/6000rpmまで引き上げられ、電気モーターも出力アップが図られた。結果、システム総合でなんと最高出力880cvに。マラネッロの2WDミッドシップロードカー史上、最高スペックだ。トランスミッションは専用セッティングの8速DCT。F1や499SP、GT3、チャレンジといったモータースポーツ活動の結晶というべきパワートレーンである。

リア

リアサイド

 スペチアーレは、細部まで手が入って総合パフォーマンスは全方位で引き上げられた。まだまだ語るべきことはたくさんあるのだが、今回は要点の報告に止めておく。いずれにしてもマラネッロが最もこだわったのは、ドライビングファンの追求だった。そのために軽量化を優先した。エンジンをはじめ、グラム単位のダイエットも多岐に及んだ。そのうえで空力やパワートレーンの性能を引き上げた。加えてサウンドチューニングにもこだわったという。296スペチアーレとスペチアーレAではサウンド作りも手の込んだ仕掛けをしている。

 繰り返すが、296は標準モデルでもクラス随一のドライビングファンを提供していた。そのスペチアーレである。パフォーマンスとともに楽しさの向上は約束されている。早く試乗してみたいものだ。

グリーン

レッドリア

タイヤ

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