高額なECVを購入するために必要な「大前提」に誰もが納得。News from EU

欧州で明らかになった電動車と年収の相関関係

ボルボEX90はボルボが昨秋発表したBEV。全長×全幅×全高5037×1964×1744mm。モーターの出力は408〜517hp)、航続距離は590〜600km(WLTPモード)

 ACEA(欧州自動車工業会)は4月12日、「ECV(充電できるクルマ=BEVとPHEV)の購入は、収入と相関関係がある」とするレポートを明らかにした。
 ACEAの発表によるECVシェアの高い国は次のとおり。

■ECVシェアが高い国/平均年収
1)スウェーデン=56.1%/3万5486ユーロ(約525万円)
2)デンマーク=38.6%/3万9274ユーロ(約581万円)
3)フィンランド=37.6%/3万3155ユーロ(約490万円)
4)オランダ=34.5%/4万312ユーロ(約596万円)
5)ドイツ=31.4%/3万2850ユーロ(約486万円)

■ECVシェアが低い国/平均年収
1)スロバキア=3.7%/1万985ユーロ(約162万円)
2)チェコ=3.9%/1万3836ユーロ(約204万円)
3)ブルガリア=4.0%/7272ユーロ(約107万円)
4)ポーランド=5.0%/1万782ユーロ(約159万円)
5)クロアチア=5.0%/1万391ユーロ(約153万円)

 ACEAの発表によれば、2022年にEU域内(英国は除く)で販売されたECVのシェアは21.6%に達している。

 ECV比率が高い上位5カ国の年収は3万2000ユーロ(約473万円)以上。オランダとドイツは、充電拠点が充実していることでも抜きん出ている。EUで最も充電拠点が多いのはオランダで11万1821拠点、次がドイツで8万7674拠点。ドイツは2021年当時は充電拠点数がフランスよりも少なかったが、2022年時点で8万3317拠点のフランスを抜いた。オランダとドイツでEU全体の42%の拠点数に達している。

 BEV、PHEVの普及に関しては、政府による購入サポート(税制優遇を含む)がカギになるということはしばしば指摘されてきた。また、ICE(内燃機関)モデルよりも価格が高いECVを購入するには、所得が大きなポイントになることが改めて浮き彫りになったといえる。

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 日本の平均年収は443万円(国税庁発表、2021年)、正社員の場合は508万円、正社員以外は197万円で、過去5年間にわたってほぼ横ばいだ。

 日本はECVよりもハイブリッド車(HEV)の普及が進んでいる。政府がECVを軸にしたカーボンニュートラルを推進するのであれば、賃金の引き上げにつながる政策を積極的に推進する必要がある。ACEAのデータからは、そういう現実が見えてくる。

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